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紙の本
魅せられるということ
2008/07/29 20:56
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:mayumi - この投稿者のレビュー一覧を見る
幻の画家、石田黙をめぐるミステリー。
美術雑誌の編集長である主人公は、ある偶然から石田黙の絵を手に入れる。黒い、不思議な石田黙の絵に魅せられ、集めていく過程で、彼は謎の事件に巻き込まれていく。
絵画のオークションや、美術界の話などが珍しいのと、本の中に多数入っている石田黙の絵画が強烈なので、妙に納得させられるが、推理小説のトリックとしてはなんだかなぁという感じ。
が、これはトリックをめでる作品ではない。
というより、ストーリーさえどうでもいいように思えてくる。
そう、石田黙の絵にはそんなパワーがあるのだ。
本書は、石田黙に魅せられた折原一が、石田黙の絵を表にだすため、それだけのために書かれた、そういっても過言ではない気がする。
それは、決して悪い意味ではない。
偉大な芸術の前に、人はそれをまた別の形に昇華しようとするものだ。
ピアニスト加古隆は、パウロ・クレーの絵に感銘をうけ「いにしえの響き-パウル・クレーの絵のように」というCDを出している。
折原一は小説家だから、小説を書いた。多分、それだけのことなのだろう。
物語は、暗い情念を表現しているような石田黙の絵にふさわしいような展開ではあるが、奥底には石田黙の絵の中の「白」のような清らかさがある。
そして、それが折原一の石田黙への憧憬なのだろう。
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