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紙の本
今後も繰り返し読みたいと思う良書
2008/11/08 08:45
8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:yukkiebeer - この投稿者のレビュー一覧を見る
アメリカの二大政党制といえば、リベラルな民主党と保守的な共和党という紋切り型の区分けをして済ませてしまっていました。
しかし高校の教科書で目にしたアメリカ史をちょっと思い返すだけで、その理解が誤っているかが良く分かります。
奴隷解放を宣言したリンカーンの共和党。
ベトナム戦争を激化させたジョンソンの民主党。
こうした史実と自分のアメリカ二大政党の見方との間にしっくりこないものを感じる私のような読者は、ぜひこの本を手に取るべきだと思います。
本書を読むと目からうろこが落ちるように、自分の不勉強ぶりを思い知らされることとなりました。建国の歴史からときおこして著者はこの二つの政党の拠って立つ思想の違いについて大変分かりやすい筆致で教えてくれるのです。
ただし、一点首肯しかねるのは、アメリカのテレビドラマを民主党カルチャーと共和党カルチャーで切り分けている箇所です。
「デスパレートな妻たち」という人気ドラマシリーズを著者は「人生というのは自分一人が『孤軍奮闘』してゆく『ほろ苦い』ものなのだ、という見事なまでにカウボーイ的思想なのである」として共和党カルチャーの番組だとしています。ですがこれは少々強引です。
このドラマのクリエーターであるマーク・チェリーはゲイであることを公言し、自分をモデルにしたキャラクターを登場させているほど。そんなゲイの彼が共和党的番組を作るでしょうか?
また著者はこのドラマ番組のタイトルを「デスペラートな妻たち」(117頁)とか「デスペレートな妻たち」(119頁)と誤記しています。
巻末にこのカルチャー分析はある文芸評論家との対話から生まれたようなことが記されていますが、そこからも分かるように、もともと著者が得意とする分野ではなかったようで、結果的に必ずしも成功していないような気がしました。
紙の本
民主党と共和党
2009/01/18 05:44
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:半久 - この投稿者のレビュー一覧を見る
重厚なものがあってももちろんいいが、新書の魅力のひとつはいい意味での「お手軽さ&わかりやすさ」にあると思う。おもしろく読めればもっといい。本書はその両方を兼ねそなえていて、著者の努力と才能が光る一冊だ。
建国以来、変わり続けてきた民主党と共和党の対立軸を、表を使ってわかりやすくレクチャーしてくれる第4章がいい。
それから、「民主党的なカルチャー」と「共和党的なカルチャー」というキーワードを、映画やテレビドラマ、スポーツから諜報活動に至るまで対比的に適用することで、民主党的なるものと共和党的なるものの違いをあぶりだそうとする手腕が鮮やかだ。ただし、そこには、ある種の飛躍のし過ぎといった「あやうさ」も看取できるのだが、著者もそれはおわかりでいらっしゃるのだろう。単純な決めつけは非常に危険であると、「はじめに」でたづなを締めてくれている。
それでも、たづなが緩んでいるところがあるので、以下ではそれを一点指摘し、補足もひとつしてみたい。
1.
《ブッシュ政権の軍事行動は、あくまでテロ撲滅のためであって、反共や人権といった大義を広める「民主党型の十字軍」ではない。また国連の枠組みを無視して、敵か味方かという峻別を行って「ついてこられる国だけでの有志連合」で事態に対処するという姿勢には、まだまだ孤立主義の匂いが残っている。》
「ブッシュ政権の軍事行動は、あくまでテロ撲滅のため」はいただけない。もっと複合的な要因が働いていると見るべきだ。それは、対象地域によっては資源確保の動機もあるだろうし、イスラエルとの関係も指摘される。また、アメリカ流の「民主主義」や「人権」を輸出しようとする動きは、共和党を支える保守派のなかにも見られるのだ。ネオコンのなかにもいる。
〈〈 三つには、人権とか民主主義を追求して、必要ならば力をもって体制転換を図る、という考えは、イラク攻撃ののちのヴィジョンを与えるものであった。そしてこのことは、ブッシュ(子)大統領の2003年2月、イラク攻撃の1ヶ月前のAEI主催の演説に如実にあらわれている。すなわち、その演説でブッシュ(子)大統領は、イラク攻撃の目的をイラクの民主化にあると位置付けたのである。 〉〉
『「帝国」の国際政治学』第2章「ネオコンの思想と行動--国際政治の観点から」より。
2.
《その一方で、日本が伝統的に苦手にしていた民主党カルチャーとの交流については、実はあまり心配しなくてもよいのではないか、とも思える。それは、昨今アメリカで根強いブームになっている「クールジャパン」こと日本のカルチャーがあるからだ。現在オバマの民主党を支持している三十代以下の若年層というのは、完全に「ポケモン世代」であり「マリオ世代」なのである。単にアニメやゲームに染まった世代というだけではなく、ディズニーの勧善懲悪二元論文化に退屈して、日本のカルチャーの持つ価値相対主義や自然との調和を強く支持する層だとも言える。》
あまり心配しなくてもいいのであれば、うれしい話だ。
ただ、「自然との調和」ということならアメリカにも少数派とはいえ長い伝統がある(『アメリカの環境保護運動』)。環境保護グループの多くは「ニュー・ポリティクス」派の一角を占め、現代においては民主党に対しても影響力がある。
また、アメリカン・リベラルにも価値相対主義的な発想はもともとある。それがあるから、同性愛や中絶にも比較的寛容なのだし、反共色の濃い保守派から「容共」などといわれることもあるのだろう。
「クールジャパン」の影響を否定はしないが、それだけではないという補足をしてみた次第だ。
一部、異論を述べたが、基本的には広くおすすめしたい好著であると思う。
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