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イスラーム世界研究マニュアル みんなのレビュー
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紙の本
放課後、病院の待合室、夕刊で。
2008/08/22 16:21
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Living Yellow - この投稿者のレビュー一覧を見る
目に飛び込んできたのが「イラン革命」の大文字だった。なぜか新聞を偏愛する子どもだったのだが、今にして思えば、現在進行形の「革命」の報に触れたのはそれが最初だったのかもしれない。理解は当然していなかった。ただ。何かしら、畏れと不安を感じたのを覚えている。あれからずいぶん経つ。各新聞や、最近は『東洋経済』に至るまで、「イスラーム」の文字を見ない日はない。日々わからなさだけが増していた。
本書を手にとったのも、そんな苛立ちからかもしれない。分厚い。わからないことだらけだ。ざっと通読してみても余り「わかった」ことはない。しかし。「こんなにも知らないことだらけだったのか」という心地よい疲れに包まれた。
管見だが、本書が、当該研究の最前線に着実に案内してくれるマニュアルとして丁寧かつ親切に構成されていることはほぼ間違いないだろう。門外漢から見ても、精鋭という感じがする執筆陣である。
構成は、資料へのアクセス解説、専門用語、歴史・地理・国際情勢、もちろん宗教上の重要なトピックなどなど、総合的で、かつ通読しやすい。各節、多くて10ページ前後。短いが濃密なページ設定である。そこに節ごとに詳細な参考文献リストが付されている。
現地、ウェブサイト、一次、二次資料へのアクセス方法もきちんと整理された上で、詳述されている。巻末のキーワード100語の解説、関係各国事情の一覧も、も読みやすく整理されている。
そこから先を目指す方々にも、専攻科目の一つとして検討中の方々にも、ビジネス上の必要に迫られた方々にも、有用であろう。
安くはない。しかし、学術書という範疇、データ量、データの客観性・批評性からいっても、本当に必要とされる方々には、決して、高い買い物にはならないのではないだろうか。
今後、「儒教」世界、「キリスト教」世界、「仏教」世界という研究分野、あるいは「東ヨーロッパ」、「中央アジア」などの、地域史、あるいは軍事学などの各領域で、本書のように、データの鮮度と総合性・一覧性を両立させつつ、時事・文献学・歴史学・宗教・語学など、文字通り「学際的」に、学問領域を超えた協力態勢の元に奮闘された労作が、このような良心的なつくりで、紙媒体で出版されたらな、願う次第である。
やはり、紙ならでは一覧性・統合性が必要な分野・局面はある。
本書はWEBとの相互協力を意識し、相当の紙幅を割きつつ、あえて。紙の特性を生かしている意味でも、重要な仕事であろう。
分厚いが、紙の品質への配慮も為されているのだろう。手にとってみても、とても軽い。しかし、しっかりと「重い」一冊である。
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