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紙の本
452ページひたすらテキストの「人間情報学」
2008/12/03 23:41
8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:wildcat - この投稿者のレビュー一覧を見る
第一印象は、とにかく厚い。
パラパラとめくってみた。
文字しかない。
ノウハウを見開きにまとめて見やすくするとかそういったことは一切ない。
たまに濃く強調している単語があるのと、
オリジナルと引用がしっかり分けてあるというくらいだ。
そして、注がまた細かい。
が、かなり早く読めたと思う。
なぜか?
おそらく、似ていたからだ。
思ったことをそのまんま文字にするところが、である。
細かいところを思い出すとみんな書き込むから、
注だってたくさんで、文字だらけになる。
現象に対する最強の名づけとたくさんのたとえ話で、
あっという間に400ページを超える。
目の前にちょっとテンションの高くなった著者がいて、
一気に講演してくれているようだった。
もちろん、書いたのは一息ではないはずだけど、
勢いで一気に読めてしまいそうだった。
彼女は、名付けのセンスが抜群である。
タイトルの「スルーできない脳」も各章題も味がある。
太字になっているキーワードを眺めるだけでも、
ひざうちしたり、ふっと笑えたりしてしまう。
本当は、かなり深刻なことなのだけど・・・。
・ココロの荷づくり、ココロの荷ほどきのコストが高い
・合宿免許体質
・脳ミソのキャパが先着一命様
・全画面表示
・自閉は情報の便秘
目次の前に書かれているのエピソードからして、
こんなキーワードのオンパレードなのである。
私自身、人付き合いの失敗とたくさんの読書で
経験を積み上げてきたけれど、
きっと著者もそうなんだろうなと思った。
それを私の百倍してきたんだろうなと。
でも、それが苦しいばかりの苦労ではなくて、
ちょっと楽しそうなんだな。
そういうものがこの語りの中に、縦糸となり横糸となり織り込まれている。
練習とか実験とか、試行錯誤をどこか楽しみつつ、
どんどん言語化していっている。
それは、浦河べてるの家の精神障害当事者が
自己病名を付け、自分との付き合い方を
仲間と一緒に研究しているのとどこかつながった。
べてるの家のメンバーは、仲間との語りが自己の言語化を支えていて、
著者の場合は大量の読書に裏打ちされる知識が
自己と仲間に起こってる現象の言語化を静かに支えているのが感じられる。
著者自身が翻訳した本の一部や
読書した数々の本の引用がとてもなじんでいるのである。
それから、この本は、「人間情報学」
(これは私なりの勝手な名づけだが。)としても
楽しめるし、ためになる。
著者の名づけは人をパソコンにたとえているようなところがある。
モンダイな画面分割、モンダイな解像度、モンダイな消去ボタンや、
テキスト化でファイルが軽くなる・・・などである。
自分もよくやっているテキスト化が特に興味深かった。
放っておくと画像処理になってしまう場合は、
テキスト化はファイルを軽くする行為なのだけど、
私のように放っておくと忘れるからアンカーとして言語化する場合もあり、
それはファイルを軽くするというよりも作る行為だ。
だから、「名前は再訪・再会の手がかりになる」というところには
大いに共感した。
入ってしまったものを追い出すという意味でだが、
書くと語るについて場合わけをしているところもおもしろかった。
自閉についてだけではなく、
自分が好きでよく使っていたテキスト化という情報処理手段、
情報発信手段についてもたくさんのヒントをくれた一冊だった。
紙の本
あるある!と身を乗り出してしまうような本
2016/03/28 13:47
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かんちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
精神保健福祉士さんにニキリンコさんの本を勧められ、最初に手にしたのがこの本。
〈はじめに〉の部分からもう「あるある!」と叫びそうになった。「〈考え〉たちを、テキストにして軽量化してみたかった」というフレーズは、まさに私もそうだから。ざっと斜め読みするつもりが至る所で「あるある!」と引っかかり、付箋を貼りコメントをつけながら、がっつり読んでしまった。
そして「あるある!」と同時に「私は違うなあ」という部分もあり、発達障害というものが100人いれば100通りの特性があるというのを実感した。
なので、健常者の人にはいろんな特性があるとふまえた上で読んでいただきたい。そして障害者の人には、いろんな情報に一喜一憂することなく自分の特性を見つめるきっかけになる本だと思うので、ぜひ読んでほしい。
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