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紙の本
「眼と太陽」2千年前と同じ光を浴びている
2009/11/29 19:30
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:soramove - この投稿者のレビュー一覧を見る
この作品は磯崎憲一郎の「肝心の子供」に次ぐ2作目、
早くも芥川賞候補となった。
著者は4作目の「終の住処」で芥川賞を受賞した。
「ブッダの次はアメリカ中西部で暮らす
日本人商社マンが主人公、
仕事仲間との付き合いや、
出合った女性と過ごす時間を描いている」
不思議な小説だ、
仕事上の上司との話を書いているかと思うと
突然別の短い話が「挿入」され、
どこかへ行き着くわけでもなく、
また別の話へと脈絡無く続いていく。
深読みというわけじゃないけど、
自分達の毎日もこんなものかもしれない、
もちろん自分自身はひとつの時間軸で
過ごしているけれど、
誰かと話しているとき、自分の話も
相手の話も別の時間をどんどん取り込んでいくわけだし、
でもこんなふうに小説のなかに
突然現れると、どうしても関係性について
考えてしまい、そのあたりが作者の意図なのかどうか、
不思議と感じる部分だ。
印象に残ったのは
いつもいく日本食堂で上司から
「気をつけろよ」と眼もあわせずに言われたことに
驚き、不愉快になって立ち去るというシーン、
これは出会った女性がバツイチの子持ちで
そういう深みにはまるなよということだと思うが、
自分でも整理できていない関係を、
簡単に知ったようなこと言われたくなかっただろうな、
特に事情を知っていると思ってる人には。
タイトルの太陽の描写も印象的だ、
2千年前と同じ太陽の光を浴び、
その光の中では全てが混ざり合い、
眼で見た瞬間、それらの区別が曖昧になる、
太陽を背にしたシルエットをイメージすると
その輪郭だけで表情の見えない映像が
サッと広がる、誰にでも経験があるが
それほど気にもしていない一瞬だ。
でもこの小説は一体何を言おうとしているのかは
1作目同様、簡単に文章から見つけることが出来ない、だからだろう、この小説に感激して
涙が出るとか心が震えるということは無い、
でもなんか気になる作品だ。
きっとこの書かない部分をどう読むかが
今度は読み手の作業なのだろうが、
最近は答えまで書いてくれる本が多いので、
解答がどこかにないだろうかと、
どうしても求めてしまう、
本読みの快楽とも言えるけれど、
もっと胸のここらへんをグラングラン揺り動かすものは
まだここにも見つけられない。
さて、ラストにこの小説が好きかどうかと聞かれたら
答えるだろう、「特に好きじゃない」と。
★100点満点で70点★
http://yaplog.jp/sora2001/
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