紙の本
大英博物館からの知的な旅
2015/11/11 14:42
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投稿者:ゆうすげびと - この投稿者のレビュー一覧を見る
それぞれ数か月の出張をしながら、13の国を訪れた池澤さんの旅。かつて旅行関係の仕事をしていた身からは、あのときこの本を読んでおけばもっともっと、自分もお客様にも旅をたのしんでもらえたのに、と今更ながら残念に思います。雑誌に連載されていた当時の記事には載っていただろう多くの写真を見ることができたらいいです。
紙の本
時と場所を軽々と超えた文明への旅に、わくわくしました
2009/01/24 19:36
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:東の風 - この投稿者のレビュー一覧を見る
大英博物館の展示品の中から好きなものを選び、何百年、何千年前にその品が作られた土地を訪れる紀行文集。著者の分身であるひとりの「男」が、大英博物館を基点に世界のあちこちに出かけ、収蔵品の生まれ故郷に赴いて、古代文明の姿や都市の在りようを見つめ、思索するという体裁になっています。
時と場所を超えて、知的好奇心の世界へといざなってくれる一冊ですね。本文庫に没頭していたここ二、三日間、古代から現代にわたって、世界の様々な場所へと、無形の存在となって精神の旅、思索の旅をした、そんな心持ちになりました。第一級のスリリングな興奮を味わうことができて、わくわくしました。
「男」が訪れた国は、全部で十三。ギリシャ、エジプト、インド、イラン、カナダ、イギリス、カンボディア、ヴェトナム、イラク、トルコ、韓国、メキシコ、オーストラリア。
とりわけ、次の四つの旅が印象に残ります。
◆アンコール・ワットの遺跡への旅が、人間の意志と自然との戦いをめぐる思索へと広がる『カンボディア篇』。
◆隣の韓国と日本で共通する点、違っている点の指摘が興味深かった『韓国篇』。
◆メソアメリカ文明の終末観の異形、その世界観の異様さに魅惑された『メキシコ篇』。
◆物質から解放され、自由な精神性を獲得したアボリジニの文化、芸術に心惹かれた『オーストラリア篇』。
手元に置いて見てみたいなあと最も強く感じた展示品は、今から四千年以上前の紀元前2350年頃、トルコ(当時は、アナトリア)の遺跡から出土した牡牛の像。大英博物館の第53室に展示されている逸品。銀の鋳物(いもの)で出来ているのですが、牛というより、馬に角が生えたようなエレガントな立ち姿の像。格別、後ろに反り返った二本の角の曲線が素敵だなあと。
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大英博物館で展示されている品々が発掘(発見)された場所を巡る旅。ギリシア、イギリス、トルコ、イラク、韓国、インド、オーストラリアなどさまざまな国々を訪れています。最後の方は、大英博物館に展示されているのは略奪物だという意見と大英博物館にあったからこそ、いい状態で保存されていたんだという意見、どちらが正しいとはすぐに判断できないが、考えさせられた。面白いという意味では「リンドウマン」の章が秀逸。リンドウマンの死因が現在の調査で判明し、彼は「3度」殺されていたということが分かるのだが。。ってドキドキしました。
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大英博物館でみた13の美術品を巡る歴史巡礼の旅。人類の進化は我々が思っている程進んでいないのではないかという疑問が浮かぶ。4000年前に、文明は既に完成していたのではないか。現在の文明が2000年後に遺跡として、あるいは美術品として残っているか。どんな文明もやがて滅びるとしたら、我々も滅びに向かっているのではないか。ちょいちょい顔を出す、筆者の左翼的日本史観は鬱陶しいけれど、面白い。
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少々スノビッシュかつキザではあるけれど、異国情緒と、それを時間軸方向に敷衍したロマンチックな旅行記(小説)。
大学の授業で「南の島のティオ」を植民地的な観点でステレオタイプ的な描き方だと教わった記憶があるけど、本書を読む限り自覚的だと思われる。
大英博物館、というか、その主人である大英帝国の植民地に対する収奪の歴史が、世界史自体がそれの繰り返しといった諦念とともに書かれていて、悪くないという印象でした。
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旅行記的な静かな旅の記録。
現地で見つけた事から歴史を思う著者の思考とシンクロして、
自分も旅をしている気分になる。
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大英博物館を起点とした旅。
展示室で心ひかれたもののふるさとに向かう旅を繰り返す男。
古きものを愛する「パレオマニア」を標榜しながら、旅に出るたび「文明」に批判的になっていく男、の心の移り変わりを我が事のように読ませる文章にやられました。
熱くも説教臭くもないんだけど、時々ズドンと響くフレーズがあります。
読んで知った気になれるけど、やっぱり大英博物館に行ってみなければ。
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ぼちぼちと電車の中で。こんな贅沢な旅がしてみたい!大英博物館、早足で見回っただけだけど・・・あの展示物すべてに歴史が、時代が、かかわった人々がいるのかと思うと・・・わお。
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見た目以上のボリューム感で、
一日一国分しか読めない。
だって旅って一日に2つも3つも国回れないでしょ?
つまり読んでる方も、「男」いや池澤夏樹と一緒に旅をしているわけです。
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男の考え方にちょっとイラっとなることもあるけど、物へのこだわりや背景の人を考えるところは読んでよかった。贅沢な旅、うらやましい。でもこれだけの予習がないと実りある旅にはならないのでしょう。
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文庫にあるまじきお値段。
んでも、大英博物館の展示物をきっかけに
その起源を求めてどこまでも旅してしまう、
そういうのすごく好きだ。
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[ 内容 ]
大事なのはいいものが残ること。
作者の名がなくてもそれ自身の力で生き残るようなものを作ること。
だからそれを作った人間は美しいものを作っただけで幸福。
五千年前のメソポタミア、二百五十世代重ねた昔の人と、人の精神の基本形は変っていない。
古代妄想狂を自称する男が大英博物館で気に入った収蔵品を選び、それが作られた土地を訪ねる、知的興奮に満ちた旅。
第8回桑原武夫学芸賞受賞。
[ 目次 ]
ギリシャ篇其の1 話のはじまりとギリシャの乙女
ギリシャ篇其の2 若くして死んだデロスの青年
エジプト篇其の1 ナイルを渡るガラスの棺
エジプト篇其の2 四千六百五十年前の船大工
インド篇其の1 シャカの隣に美女二人
インド篇其の2 出家のために妻を忘れる方法
イラン篇其の1 ホメイニが消し忘れた女
イラン篇其の2 牡牛に噛みつく獅子の図
カナダ篇其の1 サンダーバードに導かれて
カナダ篇其の2 まだ立っているトーテムポール〔ほか〕
[ 問題提起 ]
[ 結論 ]
[ コメント ]
[ 読了した日 ]
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大英博物館の収蔵物のうち著者が特に気に入っている物について、そのゆかりの土地に行き調査し思索する、ちょっと変わった旅行記。
面白い。再読したい。
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池澤夏樹のこういう趣味が嫌みだと思う人には向かない。ぼくは、どっちかというと、とても好きな人なのでハマってしまう。書評であれ、旅であれ、読み始めるとやめられなくなるのが池澤の仕事っぷりということだ。
できれば、若い人に、こういう人がいることを紹介したくて、ブログに書いた。
https://plaza.rakuten.co.jp/simakumakun/diary/201911010000/
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インテリ臭かおりたつ男目線でかかれていて、いやんなって途中でやめる。うんちくの内容も通りいっぺんだった。
大英帝国博物館に行く予定があるけど予備知識がない人にはいいと思います。