紙の本
3部作の第1編/物語の先行きが楽しみな長編SF
2009/09/18 21:24
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:yukkiebeer - この投稿者のレビュー一覧を見る
地球を包み込んだ大きな界面の外側では1億倍の速度で時間が流れ、やがて太陽が巨星化して地球を飲み込んでしまう危機が迫ってくる…。
実にSF的で奇抜な設定の妙もさることながら、3人の幼なじみタイラー、ダイアン、そしてジェイスンの30年にわたる人間関係が丹念に織り込まれていく様子に魅かれます。それぞれが地球滅亡にひた走る世界の中で、後悔と慚愧(ざんき)の念に苦悶する。それぞれが目指すところを心に強く抱きながらも、ままならぬ人生を惑いながら生きる。そんな3人の姿が確かな現実感を伴って読む者の前に立ち現れるのです。
「しっかりしなさい。世界は驚きで溢れているのよ。生まれたときから、人間は自分のなかに他人を抱えているものだし、その他人をちゃんと紹介してくれる人なんか、どこにもいないの」(323頁)
この言葉が心に添うほど、登場人物たちが多面的な自己を時にもてあましぎみである局面を見せます。こうした、生きることに迷う人間が描きこまれた物語を読み進めるにつけ、SFを読んでいることをときに忘れてしまうほどです。
一方で、この書を読了しても、SF的ストーリー展開は中途で終わった印象を残します。
「訳者あとがき」によれば、それはこれが作者ロバート・チャールズ・ウィルスンの中では「Axis」「Vortex」へと引き継がれる3部作の第1編に相当する物語だからです。
界面の持つ本来の目的とは。そして界面を創った仮定体の正体とは。
謎はまだ提示されたばかり。幸い「Axis」は「無限記憶」として同じ翻訳家によって訳出されたところです。
まずは第2編へと読書のコマを進めたいと思います。
紙の本
The Sense of Wonder
2014/03/04 18:16
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投稿者:k - この投稿者のレビュー一覧を見る
初めての切り口
テンポもよく人間描写も優れ一気に読み終えました
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巻末読んだら3部作の第1部だそうで、これからも人間模様を書いていくのだな。人物が良く描けている、のだそうだが、そうなのか? 都合の良い、予定調和の舞台立てで、なんだかツマラン。
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たまにSFを読みたくなるのですが、そのときに中々良い物にめぐりあわずSFが嫌いになりそうだったのですが、この作品と出会えて、いやいやSFも捨てたもんじゃないと思えました。設定について、読み出す前はちょっとどうなんだと思いましたが、いざ読み始めるとすんなりとこの設定を受け入れていました。最終的には仮定体のような存在があってもおかしくは無いと思っている自分に気づきます。
とりあえず、四の五の言わずにとりあえず読んでみてください。
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先ほど紹介した本の下巻。
とても感動的だし、どうやら三部作のようでちょっと謎が謎のままで終わってますが不満に思うほどでもなく、きれいです。
待ちきれないので夏休みになっても時間封鎖熱が冷めていなかったら続巻が原作で構わないので購入できないか探してみます。
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SF 作品としてだけではなく、
一般的な文学作品としても勝負できる作品。
やはり、人物の心理、細かいエピソードを、
丁寧に描いた作品は、読みごたえがある。
これが、3 部作の第 1 部らしい。
第 2 部、第 3 部が楽しみだ。
2006 年ヒューゴー賞(長編小説部門)受賞作。
2009 年星雲賞(海外長編部門)受賞作。
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上よりはすんなりと読めた下
最後は展開の面白さに一気に読んでしまいました
いつかはありうるかもしれないお話
地球がいつまでも今のままで存在してるとは限らないですよね
地球は宇宙の一部であること 忘れないようにしよ
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SFっつーかパニック映画やヒューマンドラマの印象が強かった。
複数の人物を描くなら、もっと書き込んで欲しかったなぁ、あくまで主人公から見た視点でしかないし。
面白くないわけじゃないんだけど、期待していたものとは違ったな、って感じ。
第4期という設定が今後どう生かされるのでしょう。なんか万能人間っぽくて面白みに欠ける気がするけど。これからに期待。
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<ネタバレあり>
2006年ヒューゴー賞受賞。「SFが読みたい! 2009年版 」1位。「WEB本の雑誌 今月の新刊採点」で採点員5人全員が満点をつけたというSFだ。
ある日、星と月が夜空からいっせいに消えてしまう。
この本の前に「1Q84/村上春樹」を読んだので、小説の世界ではよくまぁ月が消えることだと思う。
原因は地球が膜のようなもので覆われていて、膜の内側ではスピードが1億分の1になってしまう。地球から見ると膜の外では1億倍のスピードで動いていることになる。
となると太陽の死期が早まることとなり地球の存亡にかかわる。ということで、火星に微生物などのロケットを打ち込み人類が住めるように改造していく。
普通では時間を要する計画で間に合わないのだが、なにせ1億倍のスピードで動いてるので少しすれば人類が住める環境となりそのうち移住が始まる。移住した人類は1億倍のスピードで進化する。そして未来人の容姿と文化を持つ火星地球人が地球に降り立つというやっぱSFは面白いわと思う。
本書はそうしたハードSF的側面は最小限度にして大半は社会の動きや主人公たちの恋愛がメインになっていて読みやすい。ソフト面の描写も優れているので間口が広がり、人気が高いのでしょう。
しかしワタシにはハード面の発想の飛躍のほうがずっと面白い。恋愛ドラマは他で読むからはずしてよと言いたくなるところがある。
備忘録のためにその後の話も書いておく。
地球に続いて火星も膜に覆われることとなり時間は封鎖されてしまう。それを救うために火星人ワンはレプリケーターの打ち上げを提案する。レプリケーターとは無酸素のような劣悪な環境でもでも生物を発生する装置で、成長・増殖によって宇宙にネットワークをつくり、あらゆる場所で得た情報を地球に送ってくることができる。これによって地球及び火星の今後の方針を決めたり膜を設置した仮定体の正体に迫ろうとする。
しかし他の宇宙人からすでにレプリケーターは創造されており、地球のレプリケーターは破壊されていく。何もないと思っていた宇宙は実はジャングルであるというのが面白い。
結局、地球や火星を覆ったスピン膜とはレプリケーターのことであり仮定体はレプリケーターそのものであったということが分かる。
レプリケーターはたくさんの星の人類の滅亡を見るにつけ最高にその星が栄えているときに膜をはり、滅亡を遅くする対応をとったということだ。ということは地球も今が盛りで後は滅亡に向っていくってメッセージですかね。
仮定体は数日間だけスピン膜を解除し、アーチウェイと呼ばれる異次元ワープ装置をインド洋に落とし、人類は、異次元大陸に移住し始める。
というあたりで三部作の1部は幕をおろす。しかし長い話だ。
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RCウィルスン「時間封鎖」読了。面白かったー。ラストの種明かしあたりなどは、あまりのスケールの大きい話にぶっ飛んでしまった。仮定体がスピンを起こしたのは、人類が滅亡する前にとある物を届けるためだったのだ!科学的に難しすぎる話にならない点も、読みやすくてよい。
スピンの謎の話が魅力的である分、ちょっとしたアクションシーンなどがちっぽけに見えて、正直いらないなーと思った。あと、サイモンの悩みも必要なのかもしれないけれど、個人的にはなかったほうがテンポ良くよめたかなー。
「仮定体」のイメージは、涼宮ハルヒの長門有希みたいな感じで良いのかねぇ。ヒューマノイドインターフェースはないけれどw 涼宮ハルヒのファンにもオススメできる...かもしれないw
そして、仮定体の正体は何となくわかったけれども、その行動の目的は謎に包まれたまま。ということで、次の「無限記憶」に続くわけか。これは読まないわけにはいかんな。
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1億倍のスピードで時間の流れる外側では、太陽が巨大化して地球を飲み込もうとしていた。火星から地球にやってきた火星人は、ナノテクや医療技術において優れた技術をもっていた。が彼は殺されてしまう。火星人の技術をもとにレプリケーターが宇宙に打ち上げられる。レプリケーターは人工生命体で、宇宙環境でも生存でき集合体として、膨大な情報を蓄積できるネットワークとなる。スピンに包み込まれてからの人類の営み、スピンの秘密の解明など確かに面白い内容ではあった。この作品は3部作ということで、今後の展開が楽しみではある。
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SFであるがサイエンス的な要素はやや控えめで、むしろ危機的状況を迎えた状況での人の心理、そして主人公達の心の葛藤がきめ細かく書かれていて非常に引き込まれた。
回想シーンと最終盤の状況を織りまぜた構成も絶妙で、先の展開がわかっている安心感を感じつつもハラハラさせられる場面が多かった。結末も非常に美しく、感動させられた。
SFでここまでのめり込まされたのはディックの「パーマー・エルドリッチの3つの聖痕」以来のような気がする。
続編も購入したのでこれからの展開も非常に楽しみ。
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テラフォーミングや時間流の違いと言ったテーマを扱いつつもちゃんとしたストーリーを扱っていた。3部作の続きが楽しみ。
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永遠とも言える未来のはずだった太陽の死が、手の届く未来の話だった。
そんな状況の人類がとった行動は、テラフォーミングでした。
荒唐無稽な話もいいけど、これみたいにある程度理論的な裏付けがある話も、何が起こっているか理解しながら物語に入り込んでいけて良いですね。
訳わからんSFではなく、一つの壮大な物語として、とても面白かった。