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傍聞き みんなのレビュー

第61回日本推理作家協会賞短編部門賞 受賞作品

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みんなのレビュー95件

みんなの評価3.4

評価内訳

95 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

不勉強、っていうか最近、あまり新情報を追いかけなくなっているせいで、長岡の小説、すでに読んでいたのに忘れていました。社会派、って言っちゃうとどこか野暮な印象がありますが、人間をしっかり見据えた本格的文学ミステリです。出来不出来の差がなく、高いレベルでまとまっている、そういう作品集です

2009/11/14 19:54

6人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

何気なく手にした本で、とくに井筒啓之の装画が好きだったから、とか川上成夫の装丁がよかったから選んだものではありません。むしろ、本の色合いからいっても、あまり期待をしていなかった、というのが正直なところです。でも、これが意外でした。実にレベルの高いミステリ集。しかも、単なるパズル小説ではなく、きちんと文学をしているところが嬉しい。

でも、当然かもしれません、本のタイトルになっている「傍聞き」は第61回日本推理作家協会賞短篇部門受賞作なんです。読みながら、私、前にこれ読んでるジャン、なんて思いました。で、これについては脱線して言いたいことがあるので、とりあえずこの本に収められた各篇の初出と内容を先に簡単に紹介します。

・迷い箱(「小説推理」2007年6月号):更生保護施設『かすみ荘』の施設長・設楽結子がいまもっとも気にかけているのが碓井章由、今日から飯塚製作所の社員寮に入ることになる男。部屋が拾ったり盗んだものであふれる佐藤は餞別にものを贈るというが・・・

・899(「小説推理」2007年10月号):室江市消防署に勤務する35歳の諸上将吾が気にしているのは隣家に子どもと暮らしているらしい32歳の新村初美のこと。初美の東隣に住む認知症の気のある老人宅から出火して・・・

・傍聞き(「小説推理」2008年1月号):羽角啓子の近所に住む老人の家がイアキにあった。反抗期に入った娘の葉月と二人暮らしの彼女は杵坂署に勤務する強行犯係りの刑事。通り魔を追う彼女は娘にかまってやることも出来ない。そんなとき、被留置者が彼女に会いたいと言ってきて・・・

・迷走(「小説推理」2008年8月号):結婚相手の父親である室伏隊長と組むことになった柿沼市消防本部に勤務する蓮川潤也。腹部を刺された50代と思しき被害者を受け容れることが可能な病院を義父が指揮する救急車で探しているとき、隊長が見せた不可解な行動・・・

どれも立派な内容のものばかりで、例えば横山秀夫の短篇集を読んだときのような印象があります。ユーモアこそありませんが、今を生きている人間を真正面から見詰めている真摯さが伝わってきて、自然と頭が下がってしまう、そういう作品ばかり、最近では数少ない社会派ミステリと言ってもいいかもしれません。

で、「傍聞き」です。この小説の出来については、推理作家協会賞受賞も当然のレベルなので、読んで確認してください。で、私がこの作品を最初に読んだのが日本推理作家協会【編】『2008 ザ・ベストミステリーズ 推理小説年鑑』(講談社2008)でした。この年鑑に収められる作品の対象とされる期間について、千街晶乃は巻末の「推理小説・2007年」で

「今回は日本推理作家協会の選考方式の変更に伴い、紹介作品の刊行範囲が2007年1月から11月まで――というきわめて変則的なものであることを、あらかじめおことわりしておく。」

と断っています。でも、年鑑の最初を飾る「傍聞(かたえぎ)き」には、なんと(小説推理 '08年1月号)と、対象期間外の初出時期が書かれています。わけワカンネー、ですよね。ま、これは第61回日本推理作家協会賞短篇部門受賞作としての掲載であって、他の作品の掲載とは意味が違う、って言われればそれまでなんですが、それなら一言断れよ、って思ったわけです。

ま、これはあくまで「傍聞き」の『2008 ザ・ベストミステリーズ 推理小説年鑑』への掲載に対する不満というか疑問であって、「傍聞き」の出来については文句無しと言っておきます。で、ここまできて、あらためて思うのですが、これだけのリアルで社会に密着した作品ばかりを集めた今回の『傍聞き』に、井筒啓之の装画や、川上成夫の装丁は合っていなかったのではないでしょうか。

どちらかというと、ユーモアというか軽妙という印象の強い井筒の装画や、全体の色合いは、この作品集の持つイメージとは全く異なる気がするのですが・・・

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紙の本

後悔させない一冊です

2008/12/06 21:46

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:さあちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

表題作の他3編からなる短編集。保護司・消防士・刑事・救命救急士といずれも人との関わりが深い職業の人を主人公としている。どれも面白いが特に表題作が印象深い。
 傍聞きとは聞き慣れぬ言葉だがどうしても相手に信じさせたい情報を別の人を介して相手に伝えるというテクニックらしい。つまり漏れ聞き効果。相手から直接聞くよりも別の人から聞いた方が信じやすいということらしい。主人公の刑事は同僚だった夫に先立たれ今は女手ひとつで小学生の娘を育てている。娘は何か母親に腹をたてると口をきかなくなり代わりにハガキを書く。だからハガキが届くまでは何に怒っているのか解らない。これをやられるとかなりイライラするので文句があるのならちゃんと口で言いなさいと常々言い聞かせているのだが一向に直らない。そんな中隣家の一人暮らしの老女の所へ泥棒が入る。一人で留守番をしている娘の事が気にかかりつつも仕事のため連日帰りが遅い日々。そんな時にまた娘からのハガキが舞い込むようになる・・・
 意外な展開で読者を飽きさせない。特に最後にわかる娘の気持ちがいじらしくていい。寄り添い助け合う気持ちが伝わってくる。刑事物であると同時に親子物でもあり人情物でもある。短いけれどすごく感性されてると思う。
 どの物語にも共通しているのは主人公達がみな背筋をピンとはったような生き方をしていることだ。だから読後感が清々しいのだろう。出会えてよかったとおもえる一冊だ。

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紙の本

信じ込ませるテクニック

2009/05/28 17:36

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:かつき - この投稿者のレビュー一覧を見る

珠玉のミステリー短編集。
もともとプロットはうまい作家だったのですが
それに人情味が出てきました。
それも前面に押し出すのではなく、そこはかとなく漂うのがいい。

「迷い箱」
刑務所からの出所者の自立のための更生保護施設が舞台。
会社の寮に移る碓井の自殺を心配する設楽祐子施設長の奮闘を描きます。
出所者が生きる意味や糧はどこにあるのかを問う、
重くも、清々しい一編。

「899」
消防士の諸上将吾は、隣に住むシングルマザーに片思い。
隣家の火事によって、その家に踏み込んだ将吾は
乳児を発見できずに焦ります。
同時に幼子を亡くした同僚を心配。
熱血漢なお話。

「傍聞き」
殺人課の羽角啓子は夫亡き後、小学六年の菜月と二人暮らし。
ヤマを追う毎日に、裏の家に居空きが入り、
さらに昔、自分が逮捕した男の報復が菜月に向かうのを恐れます。
菜月も反抗期に入り、難しくなり、手を焼いています。
収録作品のなかで、この作品が秀逸で、ハートフルなラストがいい。
第61回日本推理作家協会賞短編部門受賞作。

「迷走」
蓮川潤也は交通事故で車いす生活になった
婚約者との結婚を間近に控え、
義父となる室伏光男と、勤務に就きます。
彼らは救急隊員で、その日のケガ人は、
その交通事故を不起訴にした検事。
そして搬入先は、交通事故を起こした医者であり、被告。
複雑な人間関係の中、室伏が復讐を企てているかのように
感じられ、緊迫した展開がいい。読ませます。



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紙の本

心のミステリーに向けられた温かい視線

2012/02/13 23:29

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ががんぼ - この投稿者のレビュー一覧を見る

短編部門の日本推理作家協会賞を受賞した表題作ほか、四編の短編集である。

なるほど、と読んでみて納得。これは才能ある作家だろう。
何が起こっているのか、これからどうなるのか、というサスペンスの濃さは半端ではない。
表題作は、「かたえぎき」と読むらしいが、そのまま読める読者は多くあるまい。
こうして題にこだわる作家は、空回りもないわけではないとはいえ、えてして創作への意識が高いのではないか。

しかし異色である。しいて言えば横山秀夫あたりが近いだろうか。
表題作には警察も犯罪も出てくるが、犯罪が焦点ではない。
ほかの三作には警察も探偵も登場せず、二作には犯罪すらない。

しかしミステリーには違いない。だがそこで追求される謎は、ある行動が何を意味するかということだ。
いわば犯罪という以前の、日常に潜む謎をミステリーとして描き出して見せるところが、この作家のユニークな手腕だろう。
結局、それは人間の心の謎を解き明かそうとするものだいえるかもしれない。
そしてありきたりの犯罪ではないことが、先を読めなくしていて、それがまた面白い。

その先には、人の世の苦しみ、生きる辛さに対する温かい視線がある。
物語とのからみで描かれるのは、交通事故による子供の死、幼児虐待、老人の一人暮らし、不正捜査といった暗い現実である。
それらの問題が解決をみるというわけでもないし、
より深刻な小説の素材ともなりえるそうした要素をミステリーの形で処理してしまうことに、
ある種の微妙な違和感もないではない。
しかし作者の謎解きは、そのまま人間の希望につながっているようでもあり、
それが一つの救いとも感じられよう。
作家としてまだ小粒な感じはあるが、こうしたところにはまってファンになる読者も少なくはないのではないかという気がする。

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2008/10/31 21:04

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2008/11/27 15:53

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2009/01/26 00:42

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2009/01/25 22:45

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2009/02/01 22:32

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2009/02/15 10:16

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2009/07/09 12:19

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2009/07/14 09:09

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2009/05/13 00:30

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2009/08/10 23:44

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2009/12/12 20:03

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