紙の本
そこにある川の深さ。
2009/02/01 22:47
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オクヤマメグミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
8人の女性作家による、29歳の女性を描いた短編集。
こうして読むと同い年が決して1括りでないことを実感する。
20代最後の年。
30歳になる手前。
微妙に揺れる年頃なのだろうが、数年前に超えてしまった今では当時の気持ちを思い出せない。
大袈裟に受け止めていたのか、それとも知らぬ間に飛び越えたのか。
収められている物語の女性たちは割と重く「29歳」を受け止めているように感じた。
転機や迷い、あきらめのようなもの。生々しい感情が散りばめられていて、同じ年の女性が、作家によってはまるで違う年齢のように描かれる。
そりゃ境遇も生き方も違うのだから、年齢で区切るのは変だ。
後味が良かったのは野中柊の『ひばな。はなび。』
宮木あや子の『憧憬☆カトマンズ』。
迷いの中で最後自分の気持ちにハッと気付く柴崎友香も良かった。
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図書館の新刊の棚に見つけて、山崎ナオコーラさんの名前を見つけて「わーい」と思って借りました。
女性作家好きなので、こういう短編集は大好きです。
山崎ナオコーラさん
タイトル「私の人生は56億7000万年」からして、センスいい!ってまたもや感じました。
主人公カナが好きな「梅田」がよい感じ。
★気になったぶぶん
自分が余計なことに、ずっとこだわっていたのだということに気がついた。
ニートもフリーターも、他人からの命名だ。本人たちが言い出したわけではない。
雇用の形を表す言葉は、概して、雇う側からの呼び名になっている。
アルバイトでも、正社員でも、契約社員でも、派遣社員でも、なんでもいい。
そして、自分で納得できる形で、好きなものと関わることができれば、それでいいのだ。
本が好きだ。でも、だからといって、必ずしも本に関することでメシを食う必要はない。
愛情は、仕事でしか示せないわけではない。
柴崎友香
なつかしいスポーツクラブを思い出した。
中上紀
外国に行ったような気持ちになれるお話。
雲南の「cafe」を想像して、実際にあったらすごく行ってみたくなった。
話のどんでんがえしにびっくり。
また中上さんの本を読んでみたい。
野中柊
ふうちゃん。奥山くん。岡本さん。
実際にどこかにありそうな話。つむぎだしていくユラユラ。
ひさしぶりに会う奥山くん。
対する主人公の気持ち。 ああ〜 て思いました。
宇佐美游
モデル、商社OL、ネイルアーティストを経て、フリーライターとして活躍した後、小説家としてデビュー。
そんな著者自身に興味があります。
大崎と隆介のあいだでゆれる気持ち。
あっけない終わりにびっくりしたけど、あるよな。。こういう話。。と思います。
柳美里
柳美里でもこんなお話書くんや〜。。って意外なくらい読みやすい話。
みうとゆうとさん。
がっぽりはまっていくみうの気持ちがすぅーっと入ってきて、短い話なのにすっぽり世界に入り込んだ気分。
やっぱり柳美里はすごい。この短編集のなかで飛びぬけてる感。
あんまり暗い話じゃなければまた読んでみたいなと思いました。
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実力派の作家たちの作品集なので安心して読めた。
突出したインパクトがあった作品はなかった。レベル高めの粒ぞろい。
同じ状況にいる29歳の人ならどれかの作品にもっと感情移入できるだろう。
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29歳の頃、早く30歳になりたかった。それは早く一人前として認められたいという思いと裏腹の感情だったと思う。社会の慣習の中における男と女の違いはあるだろうし、というよりもっと根源的な違いもあるのかとも思うのだけれど、ここに並んだ短篇に描かれている29歳の女性が、一人として早く次の世代に属する年齢になりたがっていないこと、そのことが、やはり最初に心に留まる。差異は意識にのぼり易いことだから。
本書が山崎ナオコーラと柴崎友香から始まっているのが、今回の読書に何か作用したように思う。この二人の文章には慣れているといってもよいので、主人公のつぶやく言葉の、言い回しの、そして無意識の隠喩も、ある程度飲み込める。だから割と素直に、何を書こうとしているのかというところへ意識も動いた。二人の作家が、意外な程に共有しているもの、それは未来に対する何とはない不安であると思う。というより、二人に限らず、この本で出てくる主人公は誰もがその感情と向き合っている。29歳という年齢が作家に与えられた条件だったのだと思うが、そろいも揃って家庭に収まらず、かといって会社の中での将来像にも期待できず、自分はこれからどうなるのか、という不安を抱えた主人公が並んだ。そんな風に理屈にしてしまうと簡単なのだけれど、恐らくそう理解したところで何も解決されない。その感覚は、不思議と自分の29歳の頃に抱いていた不安と一致する。
これは何も今の29歳の女性だけが抱える精神状態ではないだろう。あるいは現代の29歳が、と拡張してもよい。論語をみれば「三十而立」という。こういう警句のようなものは、大概が現実がそうなっていないことを示したりするものだから、孔子が30歳になったら一人前だといったのは、一人前になりきれない人が多かったからなのだろうと勝手に解釈する。ああやっぱりね、と思うのだ。
論語で脱線ついでに言えば、惑わなくなる筈の歳になって自分は更に惑うようになったし、この後天命を知ることもないだろうと思う。せめて60歳になったら耳に従って生きられるようになりたしと思う。だが、まあ、無理だろうなあ、と直感する。
人間て迷う生き物なんだなあと、このアンソロジーを読んでいてますます思う。年齢とか性別とか関係なく、迷うものなんだなあ。なんか非常につまらない、馬鹿みたいな感慨だけれど、それがやっぱり繰り返し繰りかえし浮かび上がってくる思いだ。
ところで、こういうアンソロジーってなんで出版されるのだろう。好みの異なる人たちを対象に、好きな作家が一人でも入っていれば買ってもらい易いだろうという一網打尽的戦略ってことなのかな(って、まんまとそういう意図にはまっている自分もいるけれど)。でも、やっぱりというか当たり前のことだとおもうけれど、気に入っている作家のことがやっぱり好きなんだなあ、ということが確認されてしまう結果になる。一方で、いいことか悪いことか、よく解らないけれど、単行本で手を伸ばすことはないだろう自分が容易に想像できる作家もいることも同時に確認されてしまう。実はこういうアンソロジーを読むのは初めてじゃないけれど、この黒い感情が湧いてくるのが解っているので、たとえ川上弘美の短篇が入っ��いてもアンソロジーを読むのは苦手。同じ場所に自分の気分を置いておくことができないので。
それにしても、別々な作家が文章を書いているのにテーマが余りにも近いね。発表された媒体のせいなのかな。誰もが不安を自分の中で愛でているような描き方だ。そんな中で、柳美里のこの突き放したような、全てを自分の立つ現実の生活空間(こっち側)から、非現実の舞台の上(あっち側)に投げ出してしまうような描き方って、ちょっと衝撃的。やっぱりすごいね、柳美里って。
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8名の女流作家が、29歳の女性を主人公としたアンソロジー。
なんだか、いろんな29歳がいるんだなーって。
今まで頑張ってた分認められると言うか、
結果が出てくる(見えてくる)歳で、続けることって
ホント大事だなと感じました。
作家さんの名前忘れたけど、
『私の人生は56億7000万年』
『絵葉書』
『ひばな。はなび。』
『クーデター、やってみないか?』
が、好きだったかな。私も頑張ろって思えた。
なんか設定、不倫率高めだったかなー。。。
それがちょっと残念☆
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29歳独身女性が主人公のアンソロジー。落ち着いているようでそうでもなくて、若いようでそうでもなくて、微妙なお年頃の主人公。いろんなものが見えてきているけど、実際には手に届かないもどかしさがたくさんある。
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柴崎友香、中上紀、栗田有起、宮木あや子(敬称略)
の作品が特に面白かったです。
面白くない(というか、好みじゃない)作品もありました。
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リアルに29歳なもので。
普段読まない女性作家の人なぞもあり。
おなかいっぱいです。
みんな同じようなことで思い悩んでいるのだね。。
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初めて読む人(中上 紀,宇佐美 游,栗田 有起,宮木 あや子)が多くて、意外にもそっちの方が面白かった。
それぞれカラーがあって、これからの作品が楽しみな感じ。
特に好きなのは宮木さんかな。今までに出てるのも読んでみよ。
29歳って、やっぱりみんな焦る年なのかな。
自分はそういう感覚があまりなかったから(20代のうちに結婚したいとか)、ちょっと不思議な感じ。
なんとなく32歳あたりが区切りになるような感覚はあるんだけど。そういえば厄年もこの辺だし。
来年は32歳になる年。すっきり厄を落としたいな〜。
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もうすぐ29歳ですので、読んでみました。
境遇が近いと共感もしやすいですな。
不倫が多いのは何故だ!
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山崎 ナオコーラ:★★★
柴崎 友香:★★☆
中上 紀:★★☆
野中 柊:★★☆
宇佐美 游:★★☆
栗田 有起:★☆☆
柳 美里:★★☆
宮木 あや子:★★☆
各物語の主人公が独身の29歳の女の子
29歳にもなると、いろんなことを経験していろんなことに悩み生きている
不倫で悩んでいたり、仕事で悩んでいたり・・・
やりたいことが見つからない、自分の人生ってこれでいいのかなと疑問を持ってみたり
今の私と同じだ
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29歳のイメージって"不倫"だけかよ。
栗田 有起
この作品だけが他の作品と毛色が違って前向きで明るくて良かった。
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29歳、独身
恋に、仕事に、揺れて将来を思う女性たち。
そんな女性たちを描いた8人の女性作家たちによる短編集
みんな必死なんだよねーーって、そんな感じ(笑)
不倫率高いのは何故?そんなイメージなのかねぇ
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「本作り」を目指して会社を辞めた書店アルバイト、地元大阪の実家で暮らす電機設備会社社員、
友人の夢に乗りアジアに旅立つファッションビル営業職、小三の男の子が家に遊びに来る老舗企業の一般事務職、
妻子あるエグゼクティブと関係を続ける財閥系企業秘書、主婦を夢見る中途採用の同族経営会社社長秘書、
猫とふたり暮らしのデパート園芸売り場店員、IT企業サポートセンター勤務の派遣社員という29歳独身女性のオムニバス。
最初は、普通の短編集で、29歳という年齢をピックアップしてることに期待をして呼んでたんだけどガッカリ。
ただ、後半に入ってきて、自分に重なる部分が増えてきてビックリ。
本としておもしろいというよりは、29歳女子として共感できるというのが大きかったな。
それにしても、不倫をテーマにしたものも多かったけれど、年齢的にそんなものなのだろうか。
なんとなく違和感。
「不倫相手が必死になって自分の家庭の悲劇を語って、いかに自分が必要かを求めてくるけれど、そんなこと私にとってはどうでもいいこと」
「一度不倫をしてしまうと、垣根がゆるくなってしまう。自分が結婚したとき
も、すぐにその垣根を越えちゃうのよ」
などなど。29歳女子ってそんなもの!?読んでいて、共感できるような怖くなるような。
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妙齢の女たちの話。
うーん、いろんな作家が書いた割には
「おっとりとした、重機系会社の事務・秘書」
みたいなのが多かった気が・・・
そして「不倫」ねぇ・・・
ありきたりなテーマは置いておいても
うーん。どうかなー
あまったるい、感じ。
ちょっと今は気分と違った。