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紙の本

アメリカがこけたら世界がこける?

2009/04/01 12:08

6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:栗山光司 - この投稿者のレビュー一覧を見る

ここまで、アメリカ型金融資本主義は世界を覆っていたのかと、日々身近な暮らしまで、影響を及ぼし始めて投資とは無縁の庶民にとっても対岸の火事ではなくなった状況が迫って来ましたね。
サブプライムローン問題、リーマンブラザーズの破綻と、信じ切っていたアメリカ型資本主義の脆弱な正体が露わにされるにつけ、いわんこっちゃあない。アメリカにオンブにダッコしたツケだよと僕なりに哄笑して、これからは、新興国・ブリックスで、アメリカは終わりで、これを奇貨として日本は自立出来ると前向きに解釈したが、そうは問屋が卸さない。
逆に、アメリカはここまで、すべての国に影響を及ぼしていたのか。金本位制度はアメリカ本位制度として駆動してきたわけであって、変動相場制に移行しようが、中心を固定する社会モデルには何ら変更がない。
帯文で萱野稔人は《いくら国民国家の単位を超えて資本が移動しても経済は結局、国家の単位に基づいて進行していくはずです》と書いているが、現在進行中の金融危機で世界恐慌前夜とも言っていい迷走は日々の暮らしまで影響を及ぼしていますが、そんな状況で改めてアメリカの強さを再認識するわけですよ。
そのアメリカモデルを理想として小泉構造改革ののブレーンの一人であった中谷巌は荒涼とした日本の風土の変貌を目の当たりにして、懺悔の書として『資本主義はなぜ自壊したのか 「日本」再生への提言』を上梓して話題を呼んでいますが、一度壊れたものは単なる再生では如何ともし難いでしょう。
そうではなくて、新しいOS(社会基盤)を作る方途を考えるべきでしょう。それは多分、中心がない遍在するネットワーク型のOSがイメージされるが、どうしてもそこにリアルな暴力装置としての国家が予測し得ないノイズとして登場する。その問題を本山美彦との対談で萱野は語っているわけです。
そのような国家論だけではなく、本書は一貫して今回の金融危機に対して警鐘を鳴らし続けていた経済学者本山美彦を登場させて、アメリカ型金融資本は破綻すべく破綻したんだと歴史的記述に沿って説得力を持って分析してくれる。
萱野の国家論なきナイーブな市場原理主義的グローバリズムは破綻すると哲学する議論と交差するわけです。
アメリカの「世界の金融センター」化は、ニクソンショックからプラザ合意、BIS規制によってつぶされた日本の銀行、間接金融から直接金融への転換、「年次改革要望書」とアメリカ通商代表部、時価会計の衝撃などによって、強化されるわけです。
「金融権力とは何か、投資銀行はなぜ消滅したのか、ファンドの存在。債権の証券化とは何か。CDSとシンセティックCDO。拡散されるリスクと蓄積されるリスク。オフバランスというトリック。先物取引のメカニズム。通貨先物市場の成立におけるイデオロギー。財政政策の変容とマネタリズムの誤り。投入された公的資金はどこへいくのか、」など。
目次に掲げられているトピックをピックアップしてもあまりにも 僕の金融知識の貧困さに汗顔の至りなのですが、お二人の対談はとても深い世界観に基づいているにもかかわらず、わかりやすくて素晴らしい啓蒙の書になっている。
最終章の「金融危機のあとにー資本主義のゆくえ」で、基軸通貨の問題を取り上げて、お二人なりの処方箋を提示している。アジア共通通貨圏の可能性はどこまであるのか、興味はつきないが、果たして、金融は国家から独立したものなのか?という疑念がある。
市場主義の誤謬と価格決定メカニズム、市場原理主義をささえた人間像の崩壊の連立方程式の解には資本主義と国家の関係をみなおすという本質的な議論は避けて通れない。
最後に萱野稔人は経済的ナショナリストの立場を宣言する。本山美彦は経済的パトリオティズムともいうべきESOP(従業員株式所有制度)を核とした「地域の自立」を宣言する。どちらにしろ、アメリカからの自立を図るわけです。
終わりある日常

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紙の本

経済ナショナリズムの勧め

2009/08/04 16:42

5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:hisao - この投稿者のレビュー一覧を見る

“金融権力”でサブプライム不況をアメリカ金融資本の本質から抉りだした本山先生と“国家とは何か”“権力の読みかた”で暴力装置としての“国家”を暴いた気鋭の哲学者・萱野氏、“ご馳走”な対談である

*“今回の金融危機はアメリカ国家戦略の必然の流れ”
第2次世界大戦後の軍事ケインズ主義、ヴェトナム戦争の行き詰まり、1971年ブレトンウッズ体制崩壊、変動相場制への移行、プラザ合意でのドル安政策、一向に収まらぬアメリカの財政・貿易双子の赤字
主とするターゲットは日本、アメリカは日米構造協議で強引に日本の内需拡大、金融緩和を求めた
しかし事態は裏目に出る、80年代半ばより日本はバブル経済に突入
アメリカはどのような戦略で経済危機を乗り越えようとしたか?
売るものとてないアメリカガ目をつけたのは“金融立国”
国内にギャンブル場をつくり、世界のマネーをアメリカに集める体制をつくろうとする
1999年“金融近代化法”はその象徴である

*“アメリカが推し進めようとしたグローバルな金融システムとは?”
債券の証券化(ABS・CDOによるリスクの第三者への転化)
その証券の安全性を保証するモノライン(金融保証会社)、格付け会社、CDS
 CDSによって支払保証が商品として第三者に転売(なんとデフォルトが起これば儲かるのだ)
巨大化する先物市場、デリバティブ市場
結果、リスクは“ネズミ講”的に転化・拡散・蓄積されていった
両氏の主張の力点は、このような金融の“カジノ化”はアメリカの“国家戦略”として推し進められたと言う事だ
“国際金融は時の政治権力のもくろみや利益追求に依拠しながら発達する”
“市場主義はアメリカと言う国家が自らの金融権力と経済的ヘゲモニーを確立するために、
他国の市場への介入を批判するという文脈で出された方便である“
市場主義と言う旗印の下に推し進められたグローバリズム、実はアメリカ国家の帝国主義的野望だったのか?
そして今回のサブプライム不況によって“カジノ”経済が崩壊した

*“グローバル金融の頂点に立とうとしたアメリカの日本抑制戦略”
BIS規制(国際決済銀行の貸付は自己資本の12.5倍を超えてはならない)
 一方でアメリカは投資銀行のファンドやSIVで巧妙にBIS規制を回避
郵政民営化の要請(日本保険市場への参入が目的)
アメリカ金融資本にとって都合の良い時価会計導入
アメリカ“格付け会社”による日本金融機関の格付け
日本に求められた規制緩和と民営化(経済開放)

*盟友・日本はひたすらアメリカに追随、“アメリカ流グローバリズムの美名に翻弄される”
金融の基本は間接金融から直接金融、長期金融から短期金融に移行
(金融機関の企業育成の責務は放棄され、短期的利殖追求と保身に走る)
財政政策は禁じ手とされ金融システム保全のため厖大な公的資金が特定金融機関に注入
弱者は弱いが故に切り捨てられ、日本戦後の福祉国家的枠組みは崩壊する
建設業はじめ地元中小企業の破局、地域間格差の増大

*“アメリカはどう変わろうとするのか?”
アメリカは孤立から逃れるべく焦っている
投資銀行の消滅(その投資銀行を日本の金融機関が買収・てこ入れしようしているが訳が解らない)
オバマはニューディール政策復権を掲げようとしている
金融当局は規制強化の流れを強めよう
アメリカ資本が本国に逃げ帰っている状況下で現在はドル高、ドルの新しい使い道として資源開発とCO2排出権取引が有力視されている

*“さて日本は?”
アジアが世界に於ける経済成長の拠点になる可能性が大である
通貨取引所、石油取引所、天然ガス版OPECと、ルーブルを基軸通貨にする要素をすべて揃えようと狙うロシア、アジアのヘゲモニーを握ろうとする中国
アメリカ弱体化を前にして、それぞれの国が国家戦略で経済覇権を握ろうとしている
その中にあって、日本に国家の戦略が有るのだろうか?

*萱野氏による“経済ナショナリズム”の勧め
市場原理主義は誤りである(価格は需要供給のみで決定されるのではなく、“儲かる”という動機に従っての行動が合理的であるとも言えない)
しかし今度の危機で資本主義が崩壊するとは考えられない、資本主義の本流に戻る
資本主義の本流は福祉型資本主義である、徴税による再分配、財政支出など強制的な富の移転がなければ資本主義は成り立たない
国家と資本は対立するものではない、強制力をもった権力機構によって資本主義をコントロールすべきである
具体的戦略として“地元地域経済自立への枠組み”“食糧自給率の向上”“ESOP(従業員株式所有制度)”“アジアへのシフト”“アジア共通通貨圏設立”を挙げられています

*“感想”
アメリカ国家が打ち出した(似非)グローバリズム=市場原理主義の崩壊を受けて、“経済ナショナリズム”は、大いに“時代受け”する理論と思います
本山氏の今回金融危機必然性のスッキリした説明、萱野氏の(似非)グローバリズム(市場原理主義)に対する的を得た批判には思わず拍手したくなりました
国家戦略もなく、選挙戦を前にして単に見栄えの良い税金分配政策を羅列する政治家諸氏に飲ませたい薬でもあります
しかし国家の“介入”“強権”が国家共同体成員わけても弱者の利に積極的に結びつくかどうか、昔から論じ尽くされ、なお答えの見つからぬ問題には直接の言及がなく、気になる所であります

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2010/02/14 23:02

投稿元:ブクログ

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