投稿元:
レビューを見る
いつもの正体不明のざわつきはそれほど覚えず、ただとまどいながら読んだ。
第一部は女性の側、第二部は男性の側の物語。
同じことをしたはずの男女の言い分や感じ方が全く違っていることにとまどい、どちらかがおかしいのか、いや、両方、そもそもこの物語の登場人物の誰彼もが狂っているのを息苦しく感じた。
それでも何事もなかったように日常に戻る女、完全に狂う男。
やはり、女の方が図太くしたたかなのだろうか?
投稿元:
レビューを見る
この方は、井上光晴さんの娘さんだったのですね。
知りませんでした。
父の本も読んだことありません。
彼女の作品も初めてです。
う〜ん、わかりません。
小副川さんの行動とか、だんなの日記の内容とか、少年たちの不可解さとか、それらは男と女の主観のみで描かれているだけなので、それが結局はなんだったのか? 何を意味するものだったか? なんかまったくぶっ飛んじゃってます。
私にとっては共感することのできない作品であった・・・
投稿元:
レビューを見る
なにげない日常がじわじわと変わっていくかんじが少し怖い。お話しとしてはどんどん読めて面白かったが、もや〜っとした読後感が今の私の気分には合わなかった。愛だとは思う。
投稿元:
レビューを見る
井上荒野お得意の、行間にただよう男女の機微みたいなのは好きなんだけれど、、。うーん、これはあまりおすすめできない1冊の気がする。
まず、気をつけていただきたいのは、ちょっとふてぶてしいような子憎たらしいような猫が描かれたパステルカラーのキュートな表紙にけしてだまされていはいけないということだ。キュートでハッピーな小説ではないことだけは断言できる。
そして、帯のコピーに「静かに官能があふれてくる」とあるが、何が静かなものか。中途半端な官能小説みたいでなんだか気持ち悪い。
とはいえ、プロローグ、第一部(おわりのはじまり)、第二部(はじまりのおわり)、エピローグという章立てはなかなかいい。
主人公は数学教師の妻・知子と、美人税理士の妻を持つ古本屋の晩鳥の二人。下世話な分類だと二人はW不倫とでもいうのでしょうか。で、第一部は知子が話者、第二部は晩鳥が話者なんだけど、猫がきっかけで、二人のそれぞれの生活は狂気をはらみ出す。とはいっても、家庭を失うのは晩鳥だけ。つくづく井上荒野は、おとなしそうでしたたかな女を書くのはうまい気がする。
『切羽へ』は自分の気持ちにフィットしなかったが、本作を読んでみると、『切羽へ』は好き嫌いは別として、やはり行間にただよっていたものが「小説」の魅力であったと思う。こちらは、行間をあまり読ませないですね。色々な意味でエキセントリックで、それらが消化不良気味で残念だった。
投稿元:
レビューを見る
知子と夫の数学教師と晩鳥とその妻と、猫。
んーーーーー。
雰囲気はとてもよかったです。
けど、んーーーーーーー。
投稿元:
レビューを見る
迷い込んできた雉猫に導かれるように「女」が「男」に出会った時、ありふれた住宅街に不穏な空気が立ち込める。そして、静かに官能があふれてくる。女の視点と男の視点が交錯する破滅的な愛と官能の物語
投稿元:
レビューを見る
2009年3月28日読了。荒野さんの新刊です。
文章には、手触りならぬ目触りがあると、思いました。最初の6行を読んですぐに「ああ、荒野さんの文だ」と感じて、ここまで読んでくると読み慣れるんでしょうね、なんだかホッと落ち着きを感じました。
表紙のイメージから、のんびりほのぼのした話なのかと思わせつつ、そこはほら荒野さんですから、一筋縄ではいきません。タイトルをよく見ると「心中」の文字があることからもわかるように、やっぱり男女の情事が描かれます。
<夫と暮らし続けていることと同様に、晩鳥と関係してしまったことを、「しかたがない」と思っていけない理由があるだろうか?>
めちゃめちゃ荒野さんらしい一文ですね。この一文がもう、この小説のすべてを言い表しているといっていいと思います。日常が日常でなくなること、というのが荒野さんのテーマかもしれませんね。これまでの作品を思い出しても、そういう話が多かったように思います。
見えるもの、聞こえる音、におい、温度、明度、すごく細かいところまで描写されるがゆえのリアル感。これは荒野さんの筆力以外のなにものでもありません。<性交>のシーンは直接的には描かれていないのに、なんだろう、このムンと匂い立つ、湿り気すら感じるほどの、部屋に漂う濃密な、官能的な空気! 文章だけでここまで伝わってくるなんて、荒野さんてやっぱりすごいな、と思いました。
おもしろかったです。エンタメ的なおもしろさではなくて、なんて言えばいいかな、昼のメロドラマにハマってしまったようなおもしろさ、というのが近いでしょうか。猫がキーになっていて、それも良かったし。これは荒野さんの作品の中ではかなり上位に食い込んできてますよ。
読みながら勝手に頭の中でキャストを想像しちゃいました。わたしのイメージでは、大貫知子は寺島しのぶ、夫は佐々木蔵之介、かな。で、晩鳥の妻はりょうでした。ただ晩鳥がねぇ、誰かなぁとずっと考えてるんだけど、浮かばないんですよねぇ。今後も晩鳥探し、続けてみます。
投稿元:
レビューを見る
また読まずに居れればと思うんだけどつい読んでしまって。
井上さんはもういいです、他の誰かにお任せします。
投稿元:
レビューを見る
図書館にて。
井上荒野は好きな作家だけど、初めを少し読んでばかばかしくなって
飛ばし読みしたあげくさっさと返してしまった。
頭悪い人たちの頭悪い恋愛。
恋愛ですらない?出てくる人みんな気持ち悪い。
私には読み切れなかった…。
投稿元:
レビューを見る
井上荒野さんは
なんでこんな風に流れていくんだ
と言う流れ方をする女性を書くのが上手い。
投稿元:
レビューを見る
前作のあなたの獣があまりおもしろくなかったので、期待していなかったけど、これはおもしろかった。
恋は決して美しくなく、おわりはしあわせなものではない。
井上荒野さんのことばの使い方、選び方がすき。
投稿元:
レビューを見る
都下の石段の脇に住む主婦と南の島出身の古本屋~中学校に2年勤務して,同僚と結婚し退職し,夫の勤務先の石段下の築20年の借家に住む主婦は,庭に雉猫が来たことを喜び,その飼い主である男性と知り合い,男の家で関係を持つようになった。愛人に抱かれに行き,その晩は夫にスクール水着を着せられて抱かれる日もある。愛人の妻子のストーキングもしてしまう。男は町内会長の家で掘り出し物を見つけ,一儲けできると算段をしたが,町内会長の孫共に盗品を掴まされてしまって,自棄になっているが,女を抱いていても,妻を思い出してしまう。その中学生達が猫を虐めているのを見て,買い物の入ったプラスチックバッグを放り出し,中学生達に家まで追い込まれ,思わず男に電話してしまうが,出たのは会計士をやっている男の妻だった。男は浮気が発覚して,女を連れて逃げるしかないと車で出掛けるが金もなく,町内会長の蔵の中でやることもなく女とSEXに及ぶ。男が目覚めた時,女は立ち去り,家から妻も娘も姿を消していた~ハルとは何だったのか考えている。謎の女性は? 女の視点で書いているのがプロローグとエピローグと第1章。男の目線が第2章。時系列の整理が上手で感心した。女一人に振り回される周囲の人々を余所に,女は開き直っていて平然としている。ある人物を思い出してしまったが,鉄面皮なら女ほど強い男はいないかも知れない。それとも男でもこういう図々しい人間がいるのかも知れないが,犯罪者やその予備軍以外には思いつかない
投稿元:
レビューを見る
めっちゃコワい。
まぎれもなくホラー。
知子は、他の方がレビューで書かれているような、したたかな女ではない。
ただ、女は忘れてしまう。
男はそれに傷つき、執着する。それだけのこと。
投稿元:
レビューを見る
読み終わるまでの3時間、本の中にすっぽり入り込んでしまった。
レビューを見ると、あんまり評価よくないようだけど、わたしは好きだった。
投稿元:
レビューを見る
淡々と書いてるけど、実は結構エロい?内容だったりする。細くて背が高くて、すっきりとした顔立ちで、すとんとしたサラリ系の髪型で、乾いたようないわば色気のないタイプ。そんな主婦な女の人が近隣に住む男といきなり織りなす交わる?ことのみの半年間。ありえな~いと思いそうだけど、案外そういうことってあるのよねとある知人を思い出してしまった。作者の意図するところとは違うかもしれないけど、人にはいろんな面があるよねと、妙に納得してしまう。本としては、内容と筆致のさわやかさのギャップを楽しんだ一冊だった。