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エンバーマーの橋爪謙一郎さんの本。
著者・橋爪さんがエンバーマーになられるまでの経緯や、
様々な人達の様々なお別れを知る事が出来ます。
読みやすくて大変おススメ。
最近の「おくりびと」ブームで納棺夫日記を読まれた方は、こちらも。
そうでない人にも是非読んでみて欲しい本。
いつかは来るお別れについて色々と考えさせられます。
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あるエンバーマーさんの自伝。
エンバーミングという技術は、日本には無いもの、
あってもごく一般的な人には施されることの無いもの、と思っていました。
また、ご遺体に施術するだけでなく遺族のケアもされると言うこと、
もっと広まって当たり前になると良いなと思いました。
アメリカでの赤ちゃんのお話が泣けました。
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エンバーマという職業、日本での受け入れられ方を知りたくて読んだ私にとってはすこし物足りないものだった。
エンバーマーという職業を知って、実際にその資格を取るまでの著者の経験が主に記されている。
全体としてはエンバーマーという職業への印象の為にも柔らかい書き口となっているが、
一歩間違えると著者の成功物語にしか見えないのをどうとるか。
そもそもが宗教観の違う国の職業で、日本の葬儀にどこまでどう取り入れられるのかと興味を持って読んでいた。
結果としてわかったのは、まあ富裕層向けのサービスであり、故人のための物ではなく、残された遺族達の心を慰める一つの手段であるということ。
葬儀自体がそもそも故人のための物ではないので、グリーフケア(遺族の心のケア)としては理解した。
生死感が宗教によって様々な為起こりうる問題にどの様に対応して行くのだろう。
著者の新刊も機会があれば手にとってみたい。
一番印象に残ったのは、妻を亡くした男性が再婚するにあたって、そのお墓には新しい妻と入るので、エンバーミングのち土葬してあった故人の遺体を火葬して灰を海にまいて欲しいとの依頼にきた話だ。
さて、日本の場合は気にせず埋葬しそうだが。
不謹慎ながらおもしろいお話である。
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借本。
著者の本はこれが初めて。
三原ミツカズ氏の「死化粧師」で気になったので。
エンバーマーって何なのか、よくわかる本。
とても読みやすい本となっているので、気になった方にはおすすめ。
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発売と同時に読んだ、友人の半生を描いた本。彼の想いが詰まっていて、文章から伝わってきて、通勤バスで読んでて涙が出そうになって困ったんだよね。
この先も、自分の使命に悩んだときに読み返そうと思う、一生付き合う本になるはず。
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だいぶくどいけど、
著者がかなりアメリカで頑張ったんだということは
留学経験者として凄くよくわかる。
その時代だけで著者のガッツや精神力がわかる。
まだまだ日本で一般的ではないエンバーミング、
黒鷺のあいつは本当にちゃんと学んだかな⁇
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エンバーミングという技術は知っていた。
防腐剤を注入し、死者を生きているように見せかけ、服を着せポーズをとらせる。土葬されて10年後に掘り返しても死の当時の姿を保つことすらある。そんな、アメリカの葬儀の習慣を不思議なものだと思っていた。
むかし「永久に美しく」という映画があった。エンバーマーの夫と、その妻と愛人が互いに殺しあうのだけれども、死してもなお動き、修復を夫に頼むというコメディ。たぶんその知識だろう。
さて、これを読んでエンバーマーという仕事が、ただの遺体保全の仕事ではなく、人の人生に1度しかない死というイベントで、故人と遺族を結びつける大切な仕事なのだなぁと感じた。そのためにエンバーミングの技術がある。
死生観があるからエンバーマーになるのではなく、自分の死生観ではなく遺族の死生観に寄り添って死と向き合うというのが、ひどく印象的だった。
世間のプロフェッショナルは、持ちうる技術やノウハウや思考が正しいものとして問題解決にあたるように思われる。下手すると「あなたの考えが間違っているんですよ」というような。傲岸な態度をとるのだけれども、エンバーマーはそれらすべてを超えて遺族と向き合うのかーっておもうと、頭が下がる。
自分にもそういうおごった観点があるなと気づかされた。
死は人生に1度しかない。だからこそやり直しがきかない。
襟を正したくなる本である。
ただ、個人的にもう少し書き込みが深いというか、描写をしっかりしていたらより一層面白かったんじゃないかなーって残念に思うところがある。いろんなエピソードをあっさり書きすぎてもったいない。
語りおろしでもいいし、ライターさんつけてもいいから、具体的に書かれたものを読んでみたいなと思った。
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311の時に、ボランティアだったかな?で、ご遺体をエンバーミングしている人がいたと聞いて、興味を持っていた。
エンバーミングの3つの目的
①遺体を安らかな姿にし、元気な頃の表情に復元する。「修復・化粧」
②感染症を防ぎ、触って別れを告げられるようにする。「殺菌・消毒」
③時間の制約を無くして、悔いのない別れをできるようにする。「防腐」
別れの準備は、これからその人が居ない状態で生きていく準備でもある。
別れの場を持つことによって遺族は故人と向き合い、家族でそれぞれの思いを話し、共有する場を持てる。慌てて処理をすると、家族でゆっくり故人と過ごす最後の機会が失われてしまう。
エンバーミングを施し、遺された人達が思い残しの無いようしっかりと故人へ別れを告げた方が、グリーフワークの面からも望ましい。
きちんと別れられずに、死者に執着すると、生きている人の人生が犠牲になる。死に対してではなく、これから生きていくことに対して蓋をすることになってしまう。事実と向き合うことを拒否すると、感情がストップしてしまうからだ。
大切な人が死んだ事実を、自分の中で受け入れることができて、きちんとお別れができると、死によって分断された絆を取り戻せる。奇妙だ。人生は奇妙なことばっかりだ。
アラン・D・ウォルフェルト Alan D. Wolfelt
グリーフケアの第一人者。著書多数。読みたい。
グリーフケアは、コミュニケーションスキルの延長線上にある。死別の悲嘆に暮れる人に対して、いかなるケアが可能なのか。
それは自分自身と向き合うところから始まる。自らの価値観は、人と接する時に必ず影響を与える。自分を十分に理解すると、自分の思いこみや先入観を人に押しつけ、結果的に悪い影響を及ぼしてしまうことを避けられる。
William Worden
「『最期のケアをする者としての宣誓』
私は、最も神聖な七つの事柄について、ここに厳粛に誓います。
一、この職業に忠誠を誓い、葬儀に従事する仲間に友好的であることを誓います。
一、私は、正直かつ敬意を払って自分の人生を送り、私自身の持つ芸術的才能を実現していくことを誓います。
一、私は、ご自宅やご遺体の搬送に伺う時に、ご遺族の利益を第一に考えると同時にご遺族の心の支えとなるように行動することを誓います。
一、私は、倫理に反する行為や、不正行為を自ら行わないよう、自身を律することを誓います。
一、私は、法律、法令、規則に従うことを誓います。
一、私は、プロフェッショナルとしての守秘義務を守ることを誓います。
一、私に信頼を与えてくれる人びとに対して、常に誠実であることを誓います。
この宣誓がやぶられないよう常に努力し続けることで、人生や仕事における喜びを味わえることを許され、その結果、人びとからの尊敬を常に受けることができるのだと、私は心より信じています。」 p.82-83
日本での学校教育は、最初から模範解答ありきで学ぶことを習慣づけられる。私生活でもマニュアル本に従うことがスマートだと思われている。しかし深く学べば学ぶほど、一方的な知識や一面的な見方だけでは満足できなくなっていく。
ヨーロッパの社会では長いこと教会が人びとの考えること、行動を縛っていた。
現代日本では、社会的慣習や人の目や、「空気を読め」というプレッシャーが教会の代わりをしている。
様々な文化を知ると、多くの新たな発見や、本質を見る力を得られる。
大切な人を失った子供を支援するために重要なこと p.90~
相手の価値観や経験を100%尊重してあげさえすれば、たとえ子供でも、死生観を共有できる。これは年齢を問わない。
①周囲の人が、子供の考えていることを勝手に代弁しない。子供が言っていることをそのまま鵜呑みにせず、言葉だけで判断しない。声として出てこない気持ちを知る。
②子供が体験していることを真剣に聴く。表情を見る。子供に教えてもらう。
③安易に答えを与えない。
90年代のサンフランシスコでは、葬儀をせずに、遺体をすぐ火葬したり、埋葬する割合が高かった。これは、世界で最も同性愛者が住んでいる地域であることも理由の一つだった。
エイズの知識がまだ乏しく恐れられていた時代は、エイズの合併症でなくなった人の葬儀を葬儀社が拒むことが多かった。同性愛者として生まれたために、家族からも教会からも見放された人びとに対して、葬儀社は追い打ちをかけるような態度で接した。しかし火葬だけなら引き受けると持ちかけた葬儀社があって、それが次第に広がっていった。
しかし、葬儀をせずに火葬した後、遺族から遺骨の受け取りを拒否されることもあった。
「コミュニケーションスキル」と「グリーフサポート」能力を磨くと、同時に自分自身の中にある先入観に気づく。すると、人の話をとことん聞いてあげるスキルが向上する。
これらを忘れると、ご遺体を「モノとして扱って」しまうようになったり、自分の知識を優先するために、相手の要望を無視するようになってしまう。
http://www.griefsupport.co.jp/
p.198-199
大切な人を亡くすと、様々な思いや考え、感情が次から次へと湧き上がってきて混乱する。どうしていいかわからなくても、できるだけ感情を表現した方が良い。
そういった気持ちや考えを表現しないまま自分の中にため込むと、グリーフ(悲嘆)となる。
感情に蓋をして押さえ込むと、心身共に影響が出てくる。するとグリーフの状態が長引き、人生そのものにも影響を与えるようになっていく。
泣いてもわめいても良い。それを受け止めてくれる、信頼できる人が傍にいてくれると、次第に気持ちや感情が落ち着いていく。
常識や習慣、先入観によって内面にしまい込んだものをうまく外に出せるように、周囲の人びとが支え、受け止めて共感していくことが「グリーフケア」の根幹にある。信頼できる人間関係があれば、ひとりで思い悩む必要もなくなり、自分の力で、悲しみとの折り合いを付けられるようになる。
グリーフケアは、人間関係そのものへの信頼によって成立している。
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エンバーマーと言う職業を初めて知ることが出来た。アメリカの学校を出て、現地で働くと言うのは生半可なものではない。著者の死者と遺族に対する真摯な気持ちも伝わる。東日本大震災の際もきっと奮闘されたのであろう。