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(2009/3/24読了)「講談社 現代新書カフェ」という講談社現代新書のメールマガジンに連載されていた記事が本になった。国内ワーキングプアの話は雨宮さんの十八番だが、最後の、料理人(派遣)としてイラク入った方の話は新鮮すぎた。現代の民営化された戦争は、徴兵されなくても民間会社の派遣社員として(!)、戦地に行かされることがあるから怖いよなあ。
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日本の社会は「教育課程からの排除」「企業福祉からの排除」「家族福祉からの排除」「公的福祉からの排除」そして「自分自身からの排除」があるとの主張。
秋葉原での無差別殺人や、寝る場所を確保したいだけで渋谷で傷害事件を起こした老女の話、製造業派遣で即刻解雇・退寮を迫られ「派遣村」に押し寄せた人々などの赤裸々なルポ。
自己責任という言葉で片付けられてはならない。あたら消費を誘う市場原理主義の中で、貧困からの脱却は困難を伴う。
学歴がない、住居がない、助けてくれる家族もない、正社員ではない、肉体が病んでも生活保護が受けられない、そんな自分がいけないんだと、自信をなくし自暴自棄になる・・。
行政福祉の手がおよばず餓死や自殺も増加している。
この国はなんと「絶望」を増長させるだけのシステムの国になってしまったのだろう。
党派的な運動ではなく、ホントに「生きさせろ!」との立ち上がりが不可避な状況なのだ。
派遣労働者たちの現実、シングルマザーの日常について、淡々とした語り口ではあるが力強い文章。深い悲しみと怒りが胸に迫る。
決して他人事ではない。
イラクの部隊に料理人として駐留したジャーナリストとのインタビューではイラク戦争は「民営化された戦争」であり、今後は日本の派遣会社も戦地を派遣先の対象としないとはいえないとの言葉に、肌寒さを感じた。
多くの人に読んで欲しい。知ってほしい。
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「だけど、愛とか、「生きる」ことなんかは、条件つきで「褒美」として与えられるものでもなんでもない。ただの「生存」になんの条件があるというのだろう。」
なんとなく手を出して読んでしまった・・・
落ち込む!なんだかとっても、私ってなんて恵まれた生活を送っているんだろうって悉く思わさせる。
忘れてはいけない貧困問題。
この本で述べられていることは全てではないけど、一部であることは間違いないのだ。そして事実だ。
少なくとも私は他人事と思っていない部分もあって、だから読んだら落ち込んでしまうのかもしれないな。
現実はよくわかった、じゃあ私はどうしたらいいの?と本当に分からなくなってしまう。
著者も最後に述べているように「思考」に影響を与えさせる1冊。
【4/14読了・初読・大学図書館】
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こういうエキセントリックなキャラクターで,社会運動を興していることがとてもいいと思っていた雨宮処凛の新書。
左派的なメディアにはもはや出ずっぱりといった感がある。ただ,こんなにテレビ向けのキャラなのに,肝心なテレビには,あんまり映らない。それは,彼女のいうように,彼女が指弾しているのが,わが国の巨大自動車メーカーだったりするからなのだろうね。テレビにとってはスポンサーだから。なので,これまでの派遣切りの報道がいまいとつキレが悪いのは,そういう構造だからなのだろう。
本書では,派遣切りはもちろん,秋葉原無差別殺人,三万人の自殺,メンヘラー,シングルマザー,イラクの傭兵などを取り上げ,わが国の格差や社会的排除について論じている。シングルマザーのネグレクトを弁護する彼女の論述については,私にしてみれば噴飯ものであり,肯定するつもりは全くないが,そういう見方で立論できちゃうんだなあと思いつつ読んだ。
わが国の格差や社会的排除は,学校現場が抱える諸問題に直結するわけで,そういう意味では現場の困難性の背景を知っておくにはわかりやすい内容といえた。
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メンタルヘルスに問題がある人たちのことをメンヘラーというらしい。。
それにしても、日本はいったいどうなっているんだ、と暗い気持ちになる。
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初めて彼女の本を読んだ。無差別殺人やネグレクトのニュースを見て、世間一般の考えかたしかしていなかったが、その事件の背景となるものが、この社会に蔓延している「排除」であるということはとても考えさせられた。いまや、生まれながらにして「勝ち組」と「負け組」ができあがっているような。家庭状況により最初から道が閉ざされている場合も多いのでは。まさに子は親を選べないというか・・・少しでも周りが問題意識をもって、この社会を変えていこうとしないと、結局今の政治には何も期待できないし、状況が好転するとも思えない。正社員ではない私もあまり人ごとではないのかも。
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数々の社会問題、事件を考察しその背景にあるものを探る。
働くこと、自殺すること。格差社会に生きるということについて考えさせられる。
政治家や企業家たちへの批判も面白い。
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読むのが辛いくらいの現実でした。
今は誰でも、ちょっとのきっかけで、「よわいもの」になってしまう。
自己責任論をやめて、他者を思いやれる世の中にならないものか。
【X】
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自ら志願して料理人としてイラクに派遣されたジャーナリスト安田純平さんの話に惹かれて読んでみた。
ワーキングプアの問題は、「自分は努力して正社員になって頑張っているのに」という意識から逃れられない人が多い限りなかなか解決に向かえないのではなかろうか・・。
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雨宮処凛の主張は明快である。その明快さの所以は、きっと(いや、間違いなく)自分が苦しみ、体験してきたことから生み出されている。だから読み手の心に届く。
この日本で「餓死」する人が少なからず居る、という事実に目を逸らしてはいけない。私たちが学校で習った「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」なんてちっとも守られていないのは、あの「年越し派遣村」ではっきりと目に見える形で報道されたはずだ。
行き過ぎた資本主義は、「会社を守るため」という御旗の下に、多くの人々を犠牲にしている。と、声高に主張すると必ず「会社がなくなると困るのはあなたたちでしょ」となる。そのような単純なモデルにならないよう、企業と労働者が築き上げてきたのが、近代から現代にかけての労使関係ではなかったのか?
バブル崩壊以降、「恥の文化」を持つこの国の人々は、浮かれていたツケを払わんとするあまり、「自己責任」とばかりに安易に積み上げてきたものを手放してしまった。そのことを理解し、軌道修正することを、この本は読み手に強く求めている。
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2009/11/11(〜p194終)
秋葉原事件のことをふまえたうえでの、世の中の不況に関することなどが書かれていた1冊でした。
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派遣労働など、近年の若年層に多い労働問題を中心にすえた1冊。
就職活動を終えた時期に読み、自分がそうなり得たかもしれない可能性の一つをここに見た。働くってどういうことなのか。生きるってどういうことなのか。人間らしさって何なのか。それらの意味を失って透明人間になってしまう前に、ぜひ気づいておきたいことがたくさんある。
海外の戦争地帯への派遣についての内容は特に興味深いのでオススメ。
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[ 内容 ]
事件・犯罪の背景には「社会の病」がある。
[ 目次 ]
第1章 「秋葉原無差別殺人事件」と派遣労働
第2章 十六分に一人が自殺。「自分自身からの排除」の背景
第3章 メンヘラーの逆襲!―九〇年代「アダルト・チルドレン現象」と、二十一世紀の「生存運動」
第4章 制度の貧困に利用される「家族」―北九州・餓死事件から見えてくるもの
第5章 私と同い年の死刑囚・造田博―九〇年代の永山則夫
第6章 子どもを餓死させた母と、自らが餓死した母
第7章 急速に進む「派遣切り」―「所持金ゼロ円」で逮捕される「難民」たち
第8章 民営化された戦争―イラクで「料理人」として働いた安田純平さん
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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Amazon内容紹介より
急速に進む「派遣切り」、餓死、無差別殺人など、事件・犯罪の背後に潜む「社会の病」は深刻化している。 しかし、社会的弱者の連帯の絆は強まりつつある。日本中の悩める人よ、孤立するな!
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図書館で借りた。
犯罪や事件を取り上げて、その背後にある貧困や排除について解説している。
餓死した人の話も出てくる。生活保護を申請しても受けられず、その結果死んでしまっても自治体は問題なかった、と言っているのにはいつも違和感を感じる。本当に必要な人に援助をできなかった対応であることを認めることはできないのか。
生活に困っている人を戦争に使うビジネスがあることを知ることができた。貧困があると戦争をしやすくなるという視点は恐ろしい。