紙の本
そろそろ自分の死が見えてきている中で
2010/09/05 08:47
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くにたち蟄居日記 - この投稿者のレビュー一覧を見る
読み易い本である。感想は三点だ。
一点目。著者は、自らの事業できちんと利益を上げることを目指している。グラミン銀行もしっかり収益を上げていることに重なる。言うまでもないが重要なことだ。
ボランティアというものには敬意を払うが、ボランティアだけで、世界が救える程に、人間は「人間ができていない」と僕は考えている。きちんとした利を取りながら、結果として、世界に役立つ仕事でないとサステイナブルではないはずだ。
勿論、「貧者を食べ物にする」ような人も出てくるとは思う。日本の一連の派遣社員を巡る議論の中にも、そういう人が見え隠れしたことは記憶に新しい。その辺をきちんと自他共に律しながら、進めていくことが出来たとしたら、著者のやっているTFTという仕事には大きな可能性があると感じた次第だ。
二点目。著者は、その自らの経歴において目立っている。オーストラリアの大学院で人工心臓の勉強をし、マッキンゼーから松竹に転職、その上でTFTを始めたという経歴は、ある意味で派手だ。
派手に眉をひそめる方もあるかもしれないが、僕は、それはそれで良いと思う。そういう経歴がTFTを推進するに当たっても有利になっている様子であるし、TFTが推進出来るなら、使えるものは使うべきだ。
三点目。本書を読みながら、改めて自分自身について考えさせられた。社会に出て以来、仕事に余り疑問を持たないまま、資本主義の中でやってきた人生である。但し、40歳も半ばを過ぎて、そろそろ自分の死が見えてきている中で、反省することもある。そういう中で、本書が示唆するものがある。
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2009年15冊目。
日本の肥満と途上国の飢餓を同時になくすことを目的として作られたNPO,「TABLE FOR TWO International(TFT)」のお話。
社会セクターへのビジネススキルの応用方法なども述べられている。
熱い思いを持って、日本発の事業に取り組む著者に感動を覚えた。
このような仕組みづくりをする人が社会起業家なのだろうか、この仕組みを細分化して身近なレベルで何かをやるということは、僕たち素人でもできると思う。
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日本版ムハマド・ユヌス
ソーシャルビジネスは「継続」する事が重要
お金も、想いも継続させる仕組みを作ること
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TFTの説明や、社会起業についての説明的な内容が中心。NPO法人等であっても通常の企業同様に戦略は必要という部分は共感できる。逆に社会起業であっても通常の企業同様に戦略・経営が必要ということを強調しすぎのように感じたが、それくらいしっかり言う必要があるのが世の中の現状なのだろうか。[2009/05/05]
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社会事業、いわいるNPO(Non Profit Organization)非営利組織を、運営なさっている著者のこのビジネスに関わってからの道のりを記した1冊である。分類はあえて、ビジネスとした。
小暮さんは、マッキンゼー出身と、そのまま辞めなければ、エリートコースまっしぐらと思われるのだが、ご自身の納得いかない何かがあるという思いから、退職そして、松竹芸能に入社、しかしまだ違うという思いから、この仕事に転職ということとなった。
日本ではNPOはまだなじみのない存在である。なぜなら、まだまだ怪しすぎる組織が多いからであろう。しかし、海外に目を移すとそうでもない。立派なNPOは数多く存在する。その証拠の一つに、経営の神様と称されたP.F. ドラッカーは、「非営利組織の経営―原理と実践」という本を、1991年に日本で出版している。翻訳前のアメリカではそれ以前に出版されていることを考えると、1980年代には書かれていたのであろう。NPOに経営という文言を当てはめること自体、日本ではなじめないのではなかろうか。
前置きはこれくらいとして、このほんの中で書かれてある、TFT(Table For Two)(http://www.tablefor2.org/jp/index_jp.html)という仕組みは、以下HPから抜粋、
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TABLE FOR TWOプログラムの仕組み
対象となる定食や食品をご購入いただくと、1食につき20円の寄付金が、TABLE FOR TWOを通じて開発途上国の子どもの学校給食になります。
20円というのは、開発途上国の給食1食分の金額です。つまり、先進国で1食とるごとに開発途上国に1食が贈られるという仕組みです。
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ということで、誰もが無理せず、気軽に参加できる仕組みが、世の中を、少し変えていくということです。誰かが、踏ん張りすぎたり、がんばりすぎたり、無理しすぎたりすることなく、少しの共感が、大きな動きを作っていくということが、実にすばらしいと感じました。これが、大きくなるビジネスの引き金何だなあと得心しました。彼は、仕事として、ビジネスとして、この取り組みをお紺っているのであり、慈善事業ではないと言い切っています。ビジネスマンにとっても、非常にためになる1冊だと思いました。
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このような優秀で現実的な社会起業家が多く生まれるとこの世の中はもっと良くなっていくと思う。
自分も、この本をかった1,400円の20円がアフリカの子供達の1食分の食事に寄付されるのであろう。
「心に火が灯る」まさに、そんな気持ちであり、自分も世の中を変える一歩に加わった気がする。
これからも、小暮氏とTFTの活動を注視していきたい。
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開発途上国支援に対する先入観を取り払ってくれる本。
従来のNPOやボランティアの限界。
私が思っていたことほとんど言ってくれています。
途上国支援とか聞くだけで敬遠してしまう人に、是非読んで欲しい。
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■一般の事業では、利益は主に出資した株主に還元されます。対して社会事業では、利益は再び社会を変えるための活動に使われるのです。
■「二十円が開発途上国の給食一食分になる」と明確に示して、寄付する人に食糧問題にコミットしている意識を持ってもらう、というしかけが施されていた
■「意識改革」という目標は、数値に落とし込むには難しい面があります。そう考えていくにつれ、数値だけをもとにして事業を考えることに、ますます違和感が募り、むしろこの違和感を大事にしよう、と思いました
■5P
?Purpose(目的・達成目標)
?Partnering(提携)
?People(組織・人事)
?Promotion(宣伝・広報)
?Profit(利益・成果)
■社会事業では「いいことをやっているんだから」という気持ちが強くなり過ぎると、独善や独りよがりに陥る危険があります。こうした時「ビジネスとして最善の方法を取る」ということに意識を集中すれば、常に外部の意見に耳をそばだて、より良いパートナーをの連携を探るなど、合理的な判断ができるようになる
■論理や数値といった「左脳的なもの」、感性や直感といった「右脳的なもの」僕はこの二つのバランス・融合にこそ価値があると思っていたので、どうもこの「左脳絶対」の価値観に染まり切ることができなかったのです。
■社会の課題を地球規模で考える。通信や移動、輸送手段の発達によって、今や世界は網の目のようにつながり依存しあっている。そうした現状を踏まえれば、一国や一つの地域の取り組みで解決する課題というのは少なく、大半は地球を俯瞰的に見て、「一気に串を刺すような方法」をとらないと、根本的な解決に至らない。
■私たちは、人類史上はじめて世界の貧困問題を解決できる可能性を手にした世代である
■塾で別の中学の生徒たちと学校とは違う話題で盛り上がり、勉強よりもその時間の楽しさのために塾に通っていた
■入って数ヶ月のインターン生がテレビの取材に応対し、TFTの取り組みについて堂々と語ってくれた
■NPO法人で働いていると「素晴らしいですね」という言葉の後に「ところで本業は何をされているのですか?」と聞かれることがあります。「NPOの活動はボランティアだからスタッフは無給で働いている」と思われている。
■僕が一緒に働く仲間に欲しいと思う資質は「豊かな感受性」
■これからはあらゆる世界において「つくられたブランド」の権威が失墜していく
■過剰の欲望の対極にある「足るを知る」ということ、そして「分かち合い」という考え方が主流になれば、この社会は誰にとっても、もっと暮らしやすくなるはずです
■今手元にある二十円をそのままアフリカに持っていけば、確実に給食一食分になります。でも、それを事業の投資に回せば、将来的には100食、1000食になるかもしれません。最も効果的なお金の使い方は何なのか、いつも頭を悩ませています
■手元のお金を一番効果的に使う方法を考え尽くす、それがビジネスをするということ
■社内にあるドリンク販売機を使う「カップ・フォー・ツー」というプログラム。コーヒー代に二十円を上乗せして��付に当てる
■クロスファンクショナルチーム(機能横断チーム)
■アフリカの三大疾病の一つであるマラリアを予防する特殊な蚊帳を開発、提供しているのは住友化学です
■人を動かし、参加してもらうためには理念だけではなく、「やってみよう」と思わせる無理の無いしくみが、生活の一部になっていることが必要です。募金箱にお金を入れてもらうためには、まずは財布を取り出してもらわなければなりません。しかし、簡単そうに見えて、この作業はとてもエネルギーを要します。人前で募金することに慣れておらず、「偽善者に見られるのは嫌」と思って寄付をためらう人も多いのです。そうした人を巻き込むためには考え抜かれた仕組みが必要
■一方的に与え続けることが支援の理想型ではない
■世界にはおなかを空かせた子供がたくさんいて、その子たちは二十円もあれば、ちゃんとした食事が一回食べられる、そう知ったらどうでしょうか?へえ、そうなんだ、と少し二十円の価値を見直すかもしれません。それでもやっぱり、ほとんどの人にとって、二十円はまだ「うまい棒二本」でしかありません。
■「いいことをするべきだ」と言うのではなく「こうすればたいして無理をしないでいいことができますよ」「あなたの気持ちをこういう形で届けますよ」そう言えるだけの仕組みを作ればいい。そうすれば、みんな喜んでその仕組みを使ってくれるはずです。社会事業家というのは、そういう仕組みを作る人
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(あくまで自分の頭の整理用に記述していますので本書との整合性は保証しません)
元マッキンゼー出身の著者。NPO法人"TABLE FOR TWO ~ International"事務局長。
企業の社員食堂でヘルシーメニューを20円増しで売ってもらう。
その20円分をアフリカの子供の給食にまわす。
という単純な、でも画期的なモデルの社会企業。
あとはアイディアを実践すること。これがやはり難しい。
ちなみに著者自身はマッキンゼーでマネージャーまでなっている。
マッキンゼー的論理的問題解決の手法はすばらしいことは認識しつつ、
実業の人間臭いところ・人間としても幅や厚み・人や組織を動かす手法はマッキンゼーでは得られないと感じ、
転職。
でも転職先で求められるのは、マッキンゼーで身につけたものを活かすこと。実業ではない。
で、自分を障害を見つめ直してみた。
そして、辿り着いたのが社会事業だった、と。
ジェフリー・サックス教授『貧困の終焉』
先進国がGNPのわずか1%を拠出するだけで、貧困にあえぐ10億人を救うことができる。
その具体的な手法を提案。
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余談だけど、就職する際・転職する際に著者がやっていたのは
自分に素直であること。
「ここに入社したい」という想いがはじめにありきでなくて、
会ってみて、話してみて、この人はおもしろい!
と思う人・集団のいるところへ入社している。
これは大事だなと。
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「自分の生きる軸=想い」
1)国や組織の壁を越えて物事に取り組みたい
2)社会に役立つことをしたい
3)日本を舞台にしたい
結構、共感。
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団体のポジショニングの取り方や広報のあり方など「経営する」という視点を持っている
NPOの姿が見られる
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本著は著者が携わっている事業(日本の社員食堂で低カロリー食を提供しその一部を途上国の給食支援にあてるというもの)を通して社会事業家というものかを分かりやすく伝えています。
ひらたく言えば社会事業やそれに携わるという選択肢とその事業を行っていくうえでポイントなるものを示している啓蒙書とであります。
著者の事例を通して社会事業家というものの実像がより多くの人々に伝わることに大きなポイントを置いており、経験談を踏まえた回想録としては
若干不満があるかもしれません。
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マッキンゼー→松竹とエリート街道を突っ走っていた著者が起業!
今話題の社会企業家。
一番共感するのは「福祉(ボランティア)」と「ビジネス」の共存。
この一言につきます。
超クールな頭にホットなハート。
こんな人になりたい。
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社会貢献について本気で考えるきっかけとなりました。
やっぱりこういう事出来る人の行動力ってはんぱない。
本当に見習いたい。
将来こういう仕事がしたい、と少し夢みたいなものができました。この本のおかげで。
この人は行動力だけでなくって、それに伴う冷静さも分析能力もあるなって思う。
さすがマッキンゼー仕込みなんですかね?
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私がソーシャルビジネスを立ち上げるにあたり、参考にしたいと思い読んだ本。TABLE FOR TWOの起業物語。先進国の飽食と貧困国の飢餓を同時に解決するべく事業を起こす。マッキンゼー、松竹、TFTといったキャリアを歩む小暮さんは、日本のビジネスパーソンに新しいキャリアモデルを示してくれていると思う。ビジネスモデルとしても非常におもしろい。参考になります。
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「社会企業にビジネススキルを生かす」というフレーズにひかれて衝動買いしました。ひとつひとつ丁寧な言葉で書かれていると思います。とても実践的な本なので今から起業するひとにも十分役立つかも。さらりと読めますね。