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大きな木のような人 みんなのレビュー
- いせ ひでこ (作), ジョルジュ・メテリエ (監修)
- 税込価格:1,980円(18pt)
- 出版社:講談社
- 発売日:2009/03/19
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絵本
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紙の本
「ひこばえ」
2011/01/23 07:04
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
大きな木をはさんで、少女さえらと「木の先生」が立っている、表紙のなんと美しいことでしょう。
絵本を読むことは、まず表紙をじっくり味わうところから始まります。これはいったいどんな物語なのだろうという楽しみはここから始まっています。
物語の舞台は、フランスの大きな植物園(これは実在の植物園がモデルとなっているそうです)。そこでスケッチをする日本人の少女がいます。それが、さえら。不思議な名前ですが、フランス語で「あちこち」を意味します。作者のいせひでこさんが言葉のひびきと語彙からつけたのでしょう、いい名前です。
さえらはそこで世界中の森を歩いている「木の先生」と出逢います。
この絵本はこの植物園でさえらが人や木々と出会い、そして別れていくまでの季節が描かれています。そして、いせさんのいつもながらの優しい水彩画がたくさんの植物を描いています。
そんなことはないはずなのに、ページに鼻を押しつけると、木々の新鮮な匂いが立ち上がってくるような気がします。
そえられた文章はポエムのようです。ちょうど枝えだをわたりあるく小鳥たちのさえずりのようにこころにはいっていきます。
たとえば、こんな文章。「大きな木よ。じっと記憶する木よ。/おまえが見てきたものに、わたしは耳をすます。/おまえから生まれたことばが、わたしの物語になる」
詩はこころにしみわたります。
私たちは文明という名の暴力で多くの自然を破壊してきました。そのために、本当は自然が教えてくれた大切なことをうしなうことになりました。
今からでも遅くない。小さいさえらがそうしたように、ひとつの種からもういちどじっくりと育てること。そのことをこの絵本は教えてくれます。
老いた切り株からでる新しい芽のことを「ひこばえ」というのだと、「木の先生」はさえらに教えています。この絵本こそ、「ひこばえ」なんだと思えてしかたがありません。
◆この書評のこぼれ話は「本のブログ ほん☆たす」でお読みいただけます。
紙の本
いせひでこさんの絵本は芸術作品である
2011/02/04 19:44
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:サムシングブルー - この投稿者のレビュー一覧を見る
パリには2本の樹齢400年のアカシアがあるそうだ。その1本は植物園にあり、そこには世界中の草花が咲いているという。
題名は『大きな木のような人』ですが、この絵本の主人公は植物園です。
ページをめくると、植物園の門をはいり、木々の茂る緑のトンネルの小路を歩いているような、木漏れ日が漏れ、葉っぱを揺らす風の音が聞こえてくるような感覚に陥りました。
いせひでこさんは少女・さえらと『大きな木のような人』である植物学者を登場させます。
どこからともなく現れたさえらは、おじいちゃんの誕生日にひまわりの花をプレゼントしたくて、一本の花をひきぬいてしまいます。
そのときの絵が表紙の樹齢250年のプラタナスの両脇でたたずむ絵になっています。
さえらは植物学者にひまわりのたねをもらって育てるのですが、ひまわりのたねをもらいに研究室に入ると、そこにはなんと『ルリユールおじさん』にでてきたソフィーがいました。
ソフィーはさえらに声をかけます。
「こんにちは、ちいさなお客さん、わたしの植物図鑑、見る?」と。
パリにあるもう1本のアカシアの物語を思い出しました。
さえらはしだいに植物園の一員になっていき、さえらの心の中にひまわりの根っこが育ったとき、プラタナスの両脇でたたずむもう一枚の絵が描かれています。
とても心があたたまる絵です。
いせひでこさんのあとがきに
「パリの大きな植物園を訪ねては、目が追いつかないほど、四季折々の木や花や芽を観察することになった」とありました。
パリの植物園を愛したいせひでこさんの絵本は芸術作品です。
『大きな木のような人』の続編『まつり』をはやく読みたい。
紙の本
少女の成長を見守る大きな木。
2023/04/14 15:03
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ポラーノの広場 - この投稿者のレビュー一覧を見る
植物の大好きな少女と植物学者とのある夏の日の出会いと別れの物語。少女と学者との交流を大きな木が見守っている。少女が去った秋の静かな植物園で学者は思う。「大きな木よ。じっと記憶する木よ。おまえが見てきたものに、わたしは耳をすます。おまえから生まれたことばが、わたしの物語になる。」この言葉は作者の言葉でもあると思った。『ルリユールおじさん』と姉妹の本です。
紙の本
頼りになる人と出会うこと
2020/10/31 17:06
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:梨桜 - この投稿者のレビュー一覧を見る
両親以外の大人と出会うこと。
その人がどこか尊敬できたり、自分の言葉に向き合ってくれたりすること。
子供の頃に体験できたなら、どれだけ人生の支えになるだろう。
こんな人に出会いたいなぁという子供から、今の私はこんな大人になりたいなぁと思う大人になっている。
なりたいなぁ。
紙の本
大きな木のような人
2015/10/16 08:38
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:あきこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本の出会いは近場の図書館でした。人とのつながり、出会いが感動的でした。
何年経っても、再度読み返してみたい本です。
紙の本
心の中に根をはる絵本
2015/10/09 00:52
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:redon - この投稿者のレビュー一覧を見る
「きみは、じょうずにひまわりを育てただろう。ひまわりは、きみの心の中にしっかりと根をおろしたんだよ。ごらん、このプラタナス、250年もここで根をはってきた」
季節が巡り、出会いと別れを繰り返しても、心の中に根をはって動かない木(のような人)を誰もが持っている。それを忘れたときにはこの本が思い出させてくれるし、この本自体が心の中に根をはることもあるだろう。