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所謂小説のキャラクター作成論……論まで行かないですが。
良い点としては、実作のコンテンツを引き合いとしてキャラクターの類型が展開されるという点で、現物の作品に学びやすいという点。
また、それなりに視点が細かく、QA式の書き方になっているため、それなりに具体性がある、という点です。
ただ、個人的には悪い面が目につきます。
まず、一番困るのが、実質上対談形式になっていて論拠のブレが大きい、ということです。特に講師役が二人いますが異なる事を言っていることがあります。
これはHowTo本としてはまずい要素です。
そもそも、著者名でこの本を取った訳では無い人は、「対談」が読みたいわけではないでしょう。無用な対談を載せるくらいなら論拠を整理して載せるべきで、そこを(著者か編集者かは分からないですが)根本的に誤解してるように見えます。
(そもそも、対談形式で書くのに魅力的なパネリストなのかという疑問もありますが、とりあえずそれは置いておくとして)
また、実作を実例に出し過ぎる点も気になります。
例えば「これこれこのようなキャラクター作成の仕方がよい。その例はこれである」というのであれば参考としては優れています。理論が実践されている現物を見ることが出来るからです。
しかし、逆のパターンが多いです。つまり、
「こういう実作がある。この作品ではこれこれこのような失敗がある。なのでこのキャラクター作成の仕方をまねてはいけない」
というものです。これは、一見すると役に立ちそうですが、実際は殆ど役に立たない理屈です。
失敗に学ぶというのはよいことですが、失敗に学んでから正しい技術を学ぶなどというのは、技術の習得方法としては非効率で馬鹿げてます。初心者に失敗例を出しても役には立ちません。
順序として、まず「こういういいかんじのキャラクター作成の仕方があります」というのを示しておいて、参考情報程度に「失敗例」を上げるほうが指南書としては優れています。
実際、殆どの指南書はそのように書いてあるはずです。そちらのほうが効率がいいからです。
まあ、端的にいえば「各論を取り上げる前に書く事があるでしょ」という感じです。
技術書として書くのであれば、そのように構成すべきです。
文章を書いたり読んだりするのが好きな人達が対象読者なので、纏まっていなくても読んでしまうのでしょうが。
しかし、小説の指南書って、他の分野の指南書に比べて10年くらい時代が遅れている気がします。稀によく構成されているものもありますが……。
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この人の書くことに対するドライな姿勢は私としては興味深いものがある。しかしなかなか変わった人ですね。
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若桜木やすぎたとおる等など小説作りの基本とも云えるキャラクターの位置づけ、作り方をバンバン切り落とす、対談形式で描かれた書。
これから小説家を目指そうとする人には構想を考える上では必読の書に値する。面白い展開で過去の小説やベストセラー小説のキャラクターを斬りまくる一方で、ほめるキャラクターは褒める。かなり思い切った書物。
ある意味でWebサイトで集客を図ろうするサイト運営者などにも是非読んで頂きたい。キャラクターの重要性がひしひしと感じるであろう。