サイト内検索

詳細検索

ヘルプ

セーフサーチについて

性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示を調整できる機能です。
ご利用当初は「セーフサーチ」が「ON」に設定されており、性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示が制限されています。
全ての作品を表示するためには「OFF」にしてご覧ください。
※セーフサーチを「OFF」にすると、アダルト認証ページで「はい」を選択した状態になります。
※セーフサーチを「OFF」から「ON」に戻すと、次ページの表示もしくはページ更新後に認証が入ります。

e-hon連携キャンペーン ~5/31

hontoレビュー

ほしい本の一覧を見る

左利きの子 右手社会で暮らしやすくするために みんなのレビュー

予約購入について
  • 「予約購入する」をクリックすると予約が完了します。
  • ご予約いただいた商品は発売日にダウンロード可能となります。
  • ご購入金額は、発売日にお客様のクレジットカードにご請求されます。
  • 商品の発売日は変更となる可能性がございますので、予めご了承ください。

みんなのレビュー1件

みんなの評価5.0

評価内訳

  • 星 5 (1件)
  • 星 4 (0件)
  • 星 3 (0件)
  • 星 2 (0件)
  • 星 1 (0件)
1 件中 1 件~ 1 件を表示

紙の本

左利きのちいさな不便が好転するために。

2009/09/07 16:36

16人中、16人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:wildflower - この投稿者のレビュー一覧を見る

左利きは天才? ないし芸術家が多い?はては早死に?みたいな切り口の
本はこれまでもいくつか目にしてきました。

この本は、左利きの人とその周辺の全ての人のための啓蒙書です。
家庭において、そして保育園・幼稚園・小学校から大学・職場・社会にいたるまで
あらゆる場面での「左利きへの配慮と支援」について、と表紙にあります。

著者のローレン・ミルソム(Lauren Milson)さんはイギリス在住の方で
ご自身が左利き、お子さんお二人は左利きと右利き。
子育てやご自身の経験とそこから育まれた問題意識が嵩じてなのでしょうか
「左利き協会」会員にして、世界初の左利き専門店を開いた方です。
現在も左利きのひとのための用品を販売したり、啓蒙活動を幅広く
行ってこられました。

訳者の笹山裕子さんもまた、ご自身が左利きで(一部右に矯正されています)
お子さん二人は左利きと右利きでいらっしゃいます。
2009年5月、東京書籍発行。


でも、左利きってそんなに特別扱いすることなのでしょうか?


最初、目にしたときにはそんな疑問が浮かびました。
日本人のなかで左利きが占めるわりあいはとても少ないのだそうです。
外国(とりわけイギリス)では直されることが少なくなったそうですが
日本の場合、10%が左利きなのだそうです。
半数よりは少ないですが、案外いるにもかかわらず
左利き専用の物品やシステムというのは、およそ一般的ではありません。


評者自身は、左利きであり、箸と筆のみ入学直前に右手で行えるようにと
直されて育ちました。「不便だから」がその理由でした。
ですから書くことを含めたほぼ全般の細かい作業は左手中心ですが
箸や筆、そのほか右のほうがなんとなく使いやすいと感じる物の
扱いはだんだん右でこなすようになってきました。

実際100%左でしか使わないという日本人に私は出会ったことがありません。
たいてい、特に筆と箸は右 とか筆と箸と鉛筆は右 というケースがほとんどです。
昔は偏見もあり、いじめられたりする場面も多々ありました。

そうして、いろんな場面で適応してきたので
一見、何かとても生活で不便をしているという意識も大変少なかったのです。

****
この本を読むと、今の研究では利き手はあらかじめ脳で決まって
いることであり
それらを動作だけ直すということは、
ほんとうは「断乎としてNO」といいます。


無理にそれを変えることによっておこり得る弊害は
ほかのみんなができることが、なかなかできなかったり
どうしてできないのかと理解されないことです。
そういう繰り返しによって自尊心が低下することもある
などだそうです。

それ以外にも、例えば
ディスクレシアやAD/HDといった人たちに
左利きが多いということも指摘されています。
だとすると
特有の脳の発達障害による問題と
左利きでない人のために作られた道具や環境に適応できないでいるためにおこってくる問題との両方に対処をする必要がでてきます。
(p80-81)

****

右利きの人に聞いてみたいのです。
もし、すべての道具などが左右反転だったら?
行動様式も逆に想定されていたら?

実にふつうの生活で使われるペンなどの筆記具、机、調理器具
などが右利き仕様に作られていることで
例えば缶切り、例えばペンの持ち方、例えば自動改札機や卓上の
電話そうしたものの付いている位置そのものが
ひとつずつちいさなところで、左利きに「使いにくい」ものでした。
ハサミは象徴的で、箸の置き方一つも実は関係があるのだそうです。

私自身幾度も経験したのですが、右利きの人は左で持って
作業していることを目にしただけで
「どことなく危なっかしい」と感じられるようです。
反転して見えるから奇妙に見えるだけなんじゃないかと、ずっと思ってきましたがそうではなく
道具そのものが反転しているからこそ、実際に使いにくい道具になっているので
ただそれだけのことなのだ、と本書はいいます。

当人が「利き手の問題」だとは思いもしないで、自分がただ
無器用なのだと思ってしまうことが問題であり
また、右利きの人にとって目の前の道具が右利きに使いやすい
ようにできあがっていることはあまりにも自明で
そこに気づくことは難しいことから
ときに、目の前の左利きのひとが使いづらそうにしているのは
道具のせいではなく左利きそのもののせい、と考え
利き手を変えるように教えたりすることも
また別の問題をもたらしているといいます。(p12)


具体的な対処の方法については
例えば、以下のような箇所に詳しく書かれています。

p36 「利き手は変えるべき?」

p48 「就学前の子どもへの配慮」

p76 「学校生活」

p84 「学校の用具・用品の使い方」

p88 「学童への配慮と支援」


大人になってからの不便さは、なんとかなるとしても
就学期の子どもが、自分が左利きであるということだけで
学びの機会のなかのちいさな積み重ねの場面において
ちいさな苦手を知らず知らず、積み上げていっているのは
おそらく今の日本の小学校や中学校などでもほとんど変わらない
と思われます。

なぜなら教師の学びとして、特別支援を要する子どもたちへの
接し方は習っても
道具や用品や環境が左右逆転していることから起こってくる
左利きの子ども達への対処の方法は、まだ存在していないから
です。

子どものほうが右手づかいに直せばいい、という程度でいた
自分の意識が低いものだったことに、愕然とするとともに
そうした左利きのこどもたちの周りにいる大人たちの理解を
もっともっと気づいてもらいたいと強く思いました。


支援、といってもほんのちいさな気づきからでいいのです。
教室での席の列び順なども、注意深い対応で全く好転することが
あるのだと実例豊富に教えてもらいました。


巻末には、左利きの人向けに役立つサイトも揃っています。
ちいさなペンなどだったら、手に入れられないものでもないから
一度、使ってみようかと思いました。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

1 件中 1 件~ 1 件を表示
×

hontoからおトクな情報をお届けします!

割引きクーポンや人気の特集ページ、ほしい本の値下げ情報などをプッシュ通知でいち早くお届けします。