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ディスレクシアでも大丈夫! 読み書きの困難とステキな可能性 みんなのレビュー

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みんなのレビュー3件

みんなの評価3.8

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紙の本

当事者が語るディスレクシアの困難と可能性

2009/05/04 15:42

9人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:wildcat - この投稿者のレビュー一覧を見る

著者・藤堂栄子氏は、息子の高直氏が英国で
ディスレクシア(知的には標準並みにあるのに、
読み書きに特異的なつまずきや困難さがみられる。)
と診断され、そのことを調べているうちに、
自身にもその傾向があると気づいた。

本書の特徴は、次の通りである。
・読み書きの困難とその軽減方法(第1章)とともに、
 読み書き以外の困難と得意なこと(第2章)に触れたこと。
・ライフステージにそって
 どう対応すればいいかをまとめた(第3章)こと。
・息子さんについて育てた母(第4章)と本人(第5章)の
 両方の視点で書かれていること。

「ひと言で<ディスレクシア>といっても、一人一人出方も違うし、
困り感も違うし、育った環境も違うし、興味を持つものも違う」が、
ディスレクシアを説明するときの言葉自体も、実は、様々である。

本書の序文を書いた上野一彦氏は、このように書いている。

  ディスレクシアは、知的な遅れはないのに、
  読み書きに困難を示しやすい発達の障害です。
  LD(学習障害)の代表的な存在でもあります。

  (p.3)

ここでは、障害という言葉が入っているが、
藤堂氏の説明する「ディスレクシア」には、
障害という言葉は入っていない。

藤堂高直氏も出演した、
2008年10月に放送されたNHKスペシャル「病の起源」の「読字障害」では、
「ディスレクシア」という言葉は、一度も使われず、
「読字障害」いう言葉で通された。

藤堂氏は、番組のプロデューサーに、
ディスレクシアは病ではないと説明している。

藤堂氏は、1990年にディスレクシアという言葉を知ってから、
ディスレクシアとはなんだろうと考え続けてきた。

講演の冒頭でも語られることが多かったこのテーマであるが、
それは序章と第1章に結実している。

彼女は、決して、ディスレクシアを読字障害とは言わないし、
学習障害とも言わない。

「読字障害」という言葉も「学習障害」という言葉も、
しっくりとこなかったからである。

「読字障害」については、このように書いている。

  ディスレクシアには<読字障害>という訳語もあります。
  しかしこの言葉は、ディスレクシアの人たちが、
  一つ一つの文字は読めるのだけれども、
  文字を音に変換するのが遅かったり、
  文章を読むときの流ちょうさに欠けたりする状態とは
  あてはまらないので、非常に狭い言葉だと、私は思います。

  (p.26)

  NHKのスペシャルでディスレクシアが<読字障害>と紹介されて以来、
  よくこの言葉が使われますが、非常に違和感がありませす。

  この本を読んでくださればよくおわかりだと思いますが、
  文字を読むだけが困難なのではないし、
  一つの文字を音に変えることができても
  読んだことにはならないのです。

  少なくとも<読み障害>と言ってほしいし、
  できれば<障害>という名前を使ってほしくありません。

  <障害>という名前がついて、何もいいことはないからです。

  相当重篤に読みの困難がない限り、
  障害者手帳がとれるわけでもないし、
  就労に際しての配慮をしてもらえるわけでもないのに、
  世間からは障害者と見られるからです。

  やはり<ディスレクシア>で通したいと思います。
  そうすると、皆さんは「それはなんですか?」と
  必ず聞いてくれるからです。

  (p.96)

一見わかった気になれる言葉ではなく、
説明が必要な言葉を使い続けることの意味について考えさせられた。

ディスレクシアには、薬も治療法もないが、軽減する方法はある。

それは、その子に合った<ラーニングスタイル>を見つけ、
次に、そのスタイルに合った<ラーニングスキル>を
学べるようにすることである。

ディスレクシアの人にとっては、
英語を学ぶのは負担であるにもかかわらず、
留学して成功している人が多いことについて、

「読み書きだけに重点を置く教育ではなく、
子どもが本来持っている力を使って、
興味を持つ分野で能力を発揮できるように導くことに
力を入れているからではないでしょうか。
そして、社会が多様性を活力の源として
受け入れて評価することにあるからではないでしょうか」
と著者は述べている。(p.42)

ラーニングスタイルを知り、ラーニングスキルを学ぶ機会があり、
パソコンやDAISYなど、読み書きの困難を補ってくれる、
さまざまな補助機器を活用する環境ができているのである。

著者は、本当に大事なのはを次の3つだと述べている。

・子どものやる気を失わせないこと
・自立し工夫する力を削がないこと
・得意な分野をしっかりと開拓すること

(p.72)

これは、著者自身の育ってきた環境や子育ての経験から、
彼女の人生から、生まれてきた言葉であり、
第3章以降の核がここにあることがわかる。

本書の冒頭に書かれているディスレクシアと出会ったエピソードは、
講演でも語られることが多い。

イギリスで言われたこの言葉が、この親子の人生を変えたのである。

  彼はとても頭がいい。コミュニケーション能力もすごくある。
  
  ところが、話すことはできるのに、どうしてか読み書きが進まない。
  
  これはディスレクシアかもしれない。
  我々はそう信じるに足るだけの証拠を持っている。
  
  でも、今、気づいてよかった。もし彼がそうだとわかったら、
  彼はいろんな支援を受けることができる。

  私たちにはいろいろな手立てがある。
  それによって彼が本来持っている能力を
  十分に発揮させてあげたいと思う。

  そのために検査をさせてくれませんか。

そして、検査の結果でディスレクシアとわかったときには、
こう言われたのだという。

  おめでとう! 大当たり!

  彼が、頭の回転が速くて、発想力や気づく力があって、
  キラキラ輝いているのは、ディスレクシアのおかげですよ。

そして、いろいろな支援がされ、教科の教え方が変わり、
建築家になりたい彼のために、
それに関する分野の勉強をさせてくれたのだった。

日本でも、当事者と医者と学校が、こんな出会いをできたら、
こんな風に当事者がディスレクシアと出会えたら、幸せだと思う。



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2009/10/05 23:22

投稿元:ブクログ

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2013/07/13 12:04

投稿元:ブクログ

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