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ボロアパートの既視感と違和感
2018/08/17 20:48
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投稿者:ワシ - この投稿者のレビュー一覧を見る
雑誌でも割りと軽妙なエッセイで結構笑わせてもらった記憶がある。
もっとも本書は「売れているらしい」というえらく雑な動機で購入した書籍である。
読後は「全然ダメ」だが、最初から期待はしていないので落胆はない。
ボロアパートに腐れ学生で売れている作家や、日常描写を得意とする作家をなぞらせようとしたのは、作者自身なのか、それとも編集側や「読売新聞」なのか。
日常を描くのが相当にヘタクソで、センスの古めかしさもここぞとばかりに悪い方向に発揮、テンポの悪さに作者の苦闘が伝わってくる。
アナクロ感の演出も個々のピースの時代がズレまくっていて逆効果だ。
おまけに、選手の日常を書くのに執心して冗長、せっかくの小ネタは埋もれ、タイムと順位を間違え、ハーフマラソンの結果も書き漏らしていては意味がない。
割りと簡単に人数が集まり、実はそこそこ体力も脚力もあったメンツばかりで、指導役は物分かりが良くて、区間新まで出して。
駅伝本戦までやらなきゃいけないのは分かるけど、ここまでトントン拍子なのも昨今珍しいくらいで全く現実味がない。人数も多いので疾走感がなく、進行にムラがあるのも悲しい。
苦手な日常・陸上競技に果敢に挑んで破たんした作者自身に風が強く吹いている、のだとしたらその無駄な努力を評価したい。
もっとも、与えられたテーマだから誰が書いても同じ。三浦しをんの作品と評価する事は避けたい。
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2009年6月28日購入。読書期間2009年6月30日〜7月4日。
読む前の想像以上に面白かった。
どのようなスポーツにおいても本番(試合)が大事であるし小説にするにしてもそこが肝であるが、練習部分もきちんと書かれている。むしろ、本番よりも練習の模様、日常生活について書かれていることが多く、うまく作品に入っていくことができた。
本番であるパートについてはただ走るシーンをどう表現するのかと不安だったが、周囲の流れる景色や体の動き、きちんと10人の心の中まで丁寧に書かれていた。
解説でふれられていたが、たしかにたった1年で実際に箱根駅伝に出られるとは思えないし、主人公などの境遇も含めドラマ的というか、そういう意味ではファンタジーなのかもしれない。が、その点を差し引いても十分満足のできる作品だった。
最後の試合のシーンでは、一人目が走り出した直後から、感情が高ぶってしまい涙が出そうになっていた。
映画化するということだが、映像化するには作品の魅力を表現するのは難しいと思われる。
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ああ、本当に書きたいと思っていた作品を三浦しをんは書いたんだなぁ、って思った。これまで、彼女が紡ぎ出す小説からは想像もつかないほどおかしなエッセイ(しをんのしおりとか、人生激場とか)を腹を抱えて読みながら、さまざまな人生があって、そのどれもが価値あるものであることを彼女は知っているし、それを本気で信じているんだ、と感じていたのだけど、そういった彼女の熱い思いが煮えたぎっているのが『風が強く吹いている』だと思う。もう熱すぎるぜっていうくらい熱い青春小説だけど、いくらなんでも漫画の読み過ぎだぜっていうくらい恥ずかしい描写もてんこ盛りだけど、なんだかさわやかでいとおしいんだなぁ。ごちそうさまです。
あ、あと、単行本同様、山口晃が表紙デザインをしているのだけど、風雲童子といった風情で、本当に素敵です。
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今秋映画化される『風が強く吹いている』読了。たった10人の部員で、箱根駅伝挑戦を描いたドラマ。ジャマイカのボブスレーチームを描いた映画クール・ランニングを想い出す爽やかな感動がある。最近、感動のない方、ぜひ一読されたし。
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タイトルの通りに読者の心に一陣の風を吹かせる作品。
最近の傾向として、プレイ中や練習場面よりも人物の心理描写に重点を置いている作品が増えていますがこの作品もまたそのタイプです。
選手一人一人の心理描写の部分は非常に短いのですが、それぞれに「グッ」とくる言葉を必ず一言いれてくるのが印象的でした。
久しぶりに涙が零れた作品です。
個人的には「俺はなあ、ハイジ。これが夢であってほしいと思うんだ。
二度と覚めたくないほどいい夢だから、ずっとたゆたっていたいと思ってるんだよ。」
という台詞が心に残りました♪
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久しぶりに藤沢へ出張になったので、箱根駅伝を題材にしたこの本を持って出る。出張の往復だけで読むにはちょっと分厚いかと思ったけれど、なんのなんのの一気読み。
まあ、よく出来たファンタジーですね。
殆どが素人ばかりの10人が半年の準備で予選会を勝ち抜き箱根駅伝に挑むっていうお話で、普通に考えたら有り得ないのだけれど、そこを読ませてしまう作者の筆力は流石。
中心人物のハイジと走の二人はもとよりあとの8人のキャラクターも夫々に、それがまた、彼らに任された区間の性格とマッチしているのが良い。
後半、精緻に描かれる駅伝の場面、ライバル校の描写は少なく、殆どが彼ら寛政大の走りを追う。長距離選手への一番の誉め言葉は「速い」ではなく「強い」なのだ、というハイジの言葉に込められた作者の想いそのままに、自分に勝つことがレースに勝つことだとばかりに。
実際のレースは往路の“花の2区”と“山登り”の5区が目立ちがちだけど、復路に役者を揃えた物語の展開は、六道大並みの作戦勝ち。
にしても、かつてはうちの工場の前を選手が走り、会社の看板がテレビに映ったりもしていたのだけども、その工場も今はなく、ちと淋し…。
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駅伝小説。
スポ根お約束を惜しみなくぶっこんで、美文で調理。
やたらと美しい印象ばかりが残る。
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物語の雰囲気はたまらなく好きだが、うまく行き過ぎの展開は新田次郎を読んだ後にはファンタジーとしか思えない。でも嫌いじゃない。
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厚くて熱い小説。
おんぼろアパートの住人達が箱根を目指す!
足が早い人、運動が好きな人ばかりではない。
今後も陸上を続ける人ばかりではない。
それでも必死に走り続ける姿がまぶしいー。
個性あるメンバーのやり取りが楽しい。
そして走っている時、一人ひとりの内面が描かれていて、
それぞれの走ることにかける気持ちが胸に響きます。
スポーツは苦しいけど楽しく、美しい!
なんだか思わず走りたくなっちゃう!!
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面白かった。読み終わったあと、すぐにまた読み返してしまったほど。
陸上未経験者がわずか1年で箱根に出場する。
ファンタジーだと言われるのも分かるけど、ひとつひとつの描写には夢物語で終わらないだけのリアリティがあり、もしかしたらと思わせる。
なにより、この本を読むと陸上が、走ることがとても魅力的に思えてくる。
ジョギングを始めようかなー。
・・・涼しくなったらと思う時点で、ダメだろうけど。
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最高すぎる!青春小説の最高峰。一気に読み終わりました。高校時代に事件を起こし陸上競技生活から離れた天才ランナー走の大学入学とボロアパート入居を機に、10人のアパート住人が箱根駅伝を目指して行く。大まかなストーリーはいかにもな王道です。しかしその予定調和な話の中でのそれぞれの想いが非常に上手く書かれている。全年齢対象にオススメ。
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2009/07/17[再読(文庫版初読)]
じわじわこみ上げる心の震えに、自分のなかにもこんな情熱があったのか! とびっくりしました。おもしろいです。大好きです。
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まずは、本当に素晴らしい作品と出会えて何よりもうれしかったです。今まで読まなかったの惜しかったくらいです。直木賞受賞後の作品とのことですが、この本の構想や調査は直木賞以前から、ずっと続けていたものなんでしょう。
駅伝の経験もないけど、作者の素晴らしい世界観が、そんな私にも臨場感を与えてくれました。直木賞の「多田便利軒」よりずっと私は好きな作品です。
読む前から素人10人が箱根を走りたいと言う気持ちから、予選会に出て、、、という内容を知ったところで、どうせお涙ちょうだいの青春小説と思っていました。読んでみると、その物語は、想像以上に話がうますぎるわけですけど、そんなことは作者自身が一番知っていて書いていたのでしょう。ある意味、(解説者の言葉にもありましたが)ファンタジーなのでしょう。それでいいんです。それでも、この作品は「純度100%の疾走青春小説」なんですね。
竹青荘に暮らす個性溢れる10人が主人公。まるでこの個性が「サイボーグ009」でも見るような見事なまでにはまっています。そして、走っている人のその世界観がすごいです。私にはどのようなことかもわからないわけですが、その雰囲気があまりに臨場感があって、気がつくとこの寛政大を応援している自分に気が付きます(^^;
映画もあるみたいだから今から10月31日の公開日を楽しみにしています。
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シンプルな構成、内容は夢物語に近いが箱根駅伝に関してはリアリティを貫いている。まあ読みやすく純粋であることは確か。
長距離走に賭ける学生の、牧歌的な生活が描かれていて楽しい。箱根駅伝の描写にはリアリティが感じられる。とはいえ、ストーリー設定はあまりにも力技の感あり。
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寝る前に読み始めたら、途中で止められずに3時半。
前に1回読んだし、舞台とマンガも見たのになあ。
映画、楽しみにしてます。