紙の本
デフレ日本にクルーグマンが提言
2010/10/26 21:30
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投稿者:MtVictory - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書はクルーグマン教授が2008年のノーベル経済学賞を受賞したのを受けて企画されたもので、著者こそクルーグマンになっているが、訳者の大野氏が2008年末から翌年3月までに計4回に渡って教授にインタビューしたものをまとめた本である。勿論、タイトルの「危機」とは今回の世界金融危機のことを指している。そのタイミングで出された本だ。
危機発生の原因や、アメリカや世界の経済の行方、未来について語っている。そして日本がやるべきことについても。彼は自分なら信用緩和政策を採り、経済をどんどん動かすことに取り組み、インフレターゲット策も導入すると言っている。こうした意見は政府、日銀の耳にも入っていると想像するが、困ったことにとにかく日本はスピード感がない。歯がゆい。
第2部でも語っているように教授本人は政権内に入るよりも、「アウトサイダーとして役に立ちたい」、政府を批判し、警鐘を鳴らし続けるのが使命だと考えているようだ。
また、教授の見立てでは、景気は2009年か10年の終わりには底をつき、そこから本当の回復が見られるまで4~5年はかかると言う。
さて、クルーグマンという人がどんな人かというと、「解説」の若田部昌澄・早大教授によれば「難しい概念を噛み砕いてわかりやすく説明する力には天才的なものがある」とのことである。興味あるかたは彼の著書を読んでみてはいかが。
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投稿者:撫子の丘 - この投稿者のレビュー一覧を見る
非伝統的金融政策を扇動している感じです。
ヘルスケア産業を長期有望視しています。
長期金利に注目しているポールです。
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おもしろかったけど、理論的な裏付けの部分まで説明してないし、そういう類の本でもないので、悪しからず。
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コンパクトで読みやすい一冊。クルーグマンの明快な説明は理解しやすく、彼が主張する日本は「流動性の罠」に陥ったという主張も紹介されている。
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インフレターゲットを4%に設定しようということを提言している。
クルーグマン教授はノーベル経済学賞受賞者としても知られているが、日本市場という特異な市場を注視している事でも知られている。
どちらかというと日本びいきな教授なので、逆に「日本にも良くなってほしい」という想いもふんだんに盛り込まれています。
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わかりやすく拝聴した。そんな感じ。失われた25年になってしまっては困るなぁ。にしても、日本は世界第2位の経済大国だったのに、ノーベル経済学賞がまったく出ないってどういうことなんだろ。何をしているんだよ、そんなだから、日銀も後手後手の対策しか打てないんだよ。と思ったりしてしまう。何をしているんだ、経済学部。。。(11/9/17)
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本書は2008年のリーマン危機の直後に出されたものであるが、4年後の現在読んでもその主張の正しさがよくわかる良書であると思った。
日本における「失われた10年」について、「日本の教訓は非常に積極的な金融政策と財政政策で対処しなければならない」ということであると喝破した本書の主張は、アメリカFRBのベン・バーナンキが、リーマン危機後にとってきた経済政策がどのような考え方の下で行われたのかがよくわかる経済解説と思えた。
そして、FRBが最近QE3という緩和策をとったことを思うと、日本の日銀が、なぜ「ゼロ金利、拡張的金融政策」をもっと進めないのかという本書の批判が、実に説得力があると思えた。
本書は、いわゆる「インフレ・ターゲット派」・「リフレ派」の理論的主張の書であると思うが、後書きに「難しい概念を噛み砕いてわかりやすく説明する力には天才的なものがある」とある通りに実に読みやすくわかりやすい。
それにしても、日本の経済であるが、なんとかならないものだろうか。最新の報道では大学卒業者55万人のうち、非正規等の不安定雇用者が12万人を超えるという。大卒以外の若者を含めると膨大な数の若者が夢のない生活に追いやられていると思う。
「日銀・政府」に「失われた20年」からの脱却のための大胆な「財政・金融政策」をとってもらいたいと、本書を読んで痛感した。
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ノーベル経済学賞を受賞したクルーグマン氏による日本の読者向けに行った単独インタビューをまとめた一冊。簡潔に書かれている。金融政策と財政政策で対処すべきという主張は,5年前に書かれた本なのか?と思うほど,的を射ているように思う。しかし,如何せん経済学の知識がないため,氏の主張を理解しきれないのが歯がゆい。
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薄い本だが、ノーベル賞経済学者による「80分間世界経済一周」はかなりの歯応えがある。全然80分では読めなかった。2009年までの日本の政策についてかなり紙面が割かれており、今のアベノミクスを理解する前提として、必要な見解がまとまっている。
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本書は2008年にノーベル経済学賞を取った、ポール・クルーグマン氏による日本への経済政策の提案と米国の現状についての経済政策的な洞察により構成された著書である。
まず日本の金融政策が上手くいかず、アメリカの金融政策が効力を発した理由として、アメリカが5%くらいの金利があり、日本の金利はゼロに近く、金利を下げる余地がなかったと主張します。
それならば、日銀は量的緩和を行うべきであって、コマーシャルペーパー(CP:簡単に言うと企業の社債)やモーゲージ(不動産抵当)証券を買うべきであったと言います。
この所謂、量的緩和はイギリスもアメリカでもやっており、これをやっていない日本は再びデフレ経済に陥るのではないかと懸念をしています。(本書が書かれたのは2009年ごろ)
また日銀は少なくとも2%(ないしは4%)までインフレ率が上がるまで、ゼロ金利、財政拡大政策を行うべきであった。それをしなかったのは日本の政策担当者の怠慢である、とも言いいます。
そして、当時円高が収まらなかった理由として、「キャリートレード」も原因にあげており、日本は輸出に依存しており、リーマンショックで輸出が激減した日本には余剰資金はなくなり、「キャリートレード(比較的調達コストの安い通貨(=円)で高利率の通貨に投資すること)」が減少しました。
したがって日本は、輸出減少、キャリートレードの枯渇により円高が急激に進行したのであると喝破します。
そして、クルーグマン氏はリーマンショック後の各国当局の取りうるべき政策として、失業保険がカバーする範囲を広げて、寛大にすべきだと答えます。
但し、ヨーロッパ諸国のように失業しても収入の80%をもらえるのは少し高すぎる。しかし、アメリカの35%は低すぎるし、失業後13週間しかもらえないのも短すぎるとのことです。
このくだりでは、私はクルーグマン氏とは意見を異にします。即ちクルーグマン氏は日本ももっとセーフティーネットを充実すべきだと説きますが、生活保護等で日本のセーフティーネットは十分なものだと思います。
日本の政策について比較的辛口のクルーグマン氏ですが、日本の財政政策は有効とのことを経済指標を基に主張。
日本の財政出動のピークは1996年ですが、その時日本は3%ほどの経済成長をしました。つまり日本の財政政策は有効であるが、それは必ずしも持続可能な経済回復にはつながらないということです。つまり財政政策では根本的な解決策は見いだせないという事とのことです。
本書は、現日銀総裁・黒田東彦氏の金融政策がいかに適切であるかの証左であるとの結論です。しかし、マーケットにジャブジャブと供給されたマネーの回収方法、いわゆる「出口戦略」に言及をしていないのが玉に傷でしょうか?それは現FRB議長・イエレン氏が行っていることです。日本も出口戦略が上手くなされるか、皆さんFRB及び日銀の政策についてご一考ください。本書ではアメリカ経済についても深い洞察がされています。
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著者は、ポール・クルーグマン。2008年のノーベル経済学賞受賞者である。内容は、表題からわかるように、リーマンショック以降の世界経済について。 彼に言わせると、日本の経済対策は愚策ばかりで、これでは、失われた10年が、失われた25年に拡大してしまう。では、そうすればよいのか。本書にはその具体的方法、指針は書かれていない。まあ、それが書かれてあったところで、私にはどうすることもできないことではあるが。 と、ここまでは批判的なことを書いたが、内容は非常に興味深く面白い。経済に興味ある人や、ビジネス・パーソンにお勧めしたい。