紙の本
解り易く、高校生の質問にも答える形で様々な見方も交えながらひもといていくので多面的理解ができ、ふんだんに挿入されたイメージカットだけでも面白い。
2016/11/15 22:58
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投稿者:ナミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
高校生に対する特別講義という形で、本来は穏健な大衆はじめ世界最高の頭脳を持つ為政者たちまでもが、何故「もう戦争しかない」と思ったかを、日清戦争、日露戦争、第1次世界大戦、満州事変と日中戦争、第2次世界大戦という大きな5つの戦争の流れに沿って5回に分けて講義した内容をまとめたもの。解り易く、高校生の質問にも答える形で様々な見方も交えながらひもといていくので多面的理解もできるが、何となく答えに誘導されているような感じを受けないでもない。ふんだんに挿入されたイメージカットだけでも面白い。
ただ残念ことに、私がこの本に興味を持ったのは、著者と同じく「何故、もう戦争しかない」と思ったかという点にあったのだが、その興味の対象は戦争になった場合一番初めに、最前線で命の危険に晒される「一般の国民」たちが「何故、それでも戦争を選んだか」であった。この点に関して本書では余りというか、殆ど応えてくれていないと感じたことである。
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歴史に関する本はほとんど読んだことはないがこの本は確かに
ひきつけた。
なぜ太平洋戦争は起きたのかということをやや納得させるように
説明してくれた。
歴史はいろんな角度から検証される必要があると思った。
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これまでにない日本近代史.
こういう授業を,高校日本史でも教わりたかった,と思う内容.
日清・日露戦争から太平洋戦争まで,戦争と事件がどのような背景で起きたのか,それらのつながりが分かりやすく書かれていました.
暗記ではない,「流れ」の歴史.
現在,参考文献を読書中.
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明治から現代までの歴史。何故、国々は戦わなければならないのでしょうか。
私達は常に冷静に広い知識をもって向かわなければなりません。
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戦前の憲法原理は国体 国体とは天皇が日本の国を統治するという国のあり方や原理
歴史とはなにか カー
歴史とは現在と過去との間の尽きることを知らぬ対話
李鴻章 清国政府の中心人物
1902あたりから日露戦争後まで中国において日本留学ブームが到来
1938駐米大使となった胡適 日本切腹、中国介錯論 アメリカとソビエトをこの問題に巻き込むには、中国が日本との戦争をまずは正面から引き受けて、2、3年負け続けることだ
汪兆銘の夫人 蒋介石は英米を選んだ。毛沢東はソ連を選んだ。自分の夫汪兆銘は日本を選んだ。そこにどのような違いがあるのかと反論
真珠湾 水深12m 通常魚雷攻撃には60mの水深が必要 そのため十分な防備をしなかた
安部公房 けものたちは故郷をめざす
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東大教授の加藤陽子が栄光学園で語る近現代史の特別講義。間違いなく言えるのは、今までこんな本を読んだことはなかったということ。歴史家の深いものの見方に目を見張る。一方、優秀な中高生の柔らかい頭ではなく、いささか、いやだいぶくたびれた中高年の頭にはすいすいと入ってこない部分もある(それだけ中身が充実しているということです^^)。一度ではなく、再読してじっくり勉強したいと思わせてくれる大人の教科書。
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どうしても、ウマクのみ込めない歴史がある
それがニホンの「戦争」の歴史
主観が入るのはやむを得ないが
善悪、好き嫌いを抜かしてデキゴト・ジョウタイを整理する
のが歴史とせば、感情を抜くまでキモチの整理がついてない状態。
ソンナナカ、この一冊に出会った
日本軍の変異ナド、記述が足りないカナって思える部分もあったが
感情を抜いて、さらさらとデキゴトとジョウタイをモノガタリ調に語る
戦争の時代に起きた機微を「おもしろい」と表現するのは、
筆者が歴史家である証左。
ようやく、イイ意味で「戦争」を歴史として見つめる
社会がそんなコトできるようになってきたのカモしれなぃ
− 歴史をダレが良い、悪いとかダレのせいと語るのは不毛
− 相手には、相手の偉人や歴史がソンザイする
っていうアタリマエのコトを気付かせてくれる、貴重な一冊デス
「おもしろ」かった
どの時代の歴史を扱う場合でも、
感情をまじえず、偏見を持たないことは、
歴史家にとってつねに不可解なことだと思う。
〜 アーノルド・トインビー
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教科書の知識程度しか、この時代の外交や政治を知らなかったので、目からうろこが落ちた。
この年になっても、それらを知らなかった自分が恥ずかしい。
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著者の語り口そのままに名講義を聴くことができる良書。
ベストセラーなので、訂正箇所を以下のHPで確認できるところなど出版社も丁寧にフォローしてくれています。
さすがの加藤先生も年月日を間違えることはあるでしょうが、それにしても大勢の方に読まれる、ということは、このように完璧な作品に育てることになるのですね。著者にとって、また書物にとっても実に幸福なことだと思います。
http://www.asahipress.com/soredemo/teisei.html
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相手国が最も大切だと思っている社会基本秩序(広い意味での憲法)、これに変容を迫るものが戦争。
カー先生: 軍事力の裏付けなしに現状維持国が現状打破国を抑えることなどはできなかった。イギリスが海軍増強でドイツを抑えられないなら連盟を背景にドイツを刺激すべきではなかった。
メイ先生: (1)外交政策の形成者(makers of foreign policy)は、歴史が教えたり予告していると自ら信じているものの影響を良く受ける。(2)政策形成者(policy maker)は通常、歴史を誤用する。(3)政策形成者は、そのつもりになれば歴史を選択して用いる。
いかに広い範囲から、いかに真実に近い解釈で過去の教訓を持ってこられるかが歴史を正しい教訓として使えるかの分かれ道になる。右や左に偏った一方的な見方ではダメ。
植民地獲得の理由: 安全保障上以外に商業政策上(資源と海外市場獲得)や社会政策上(人口増加のはけ口、失業者対策)のものがある。
ものは八分目にてこらゆるが良し。日本人の通弊は潔癖にあり。
第二次世界大戦で日本は最後の1年半(1944年以降)で戦死者の9割が発生している。1944年6月のマリアナ沖海戦で決着がついていた。敗戦時の満州からの引き上げは当時人口の8.7%(約200万人)。
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高校生に、1900年からWⅡまでの日本の歴史を資料や背景を基に行った講座の内容をまとめた本。
以前半藤一利の昭和史を読んでいたので、割と流れは把握できた。
しかし、歴史は新しい文書の発見や研究者の解釈で印象や流れが変わるというのが自分の印象。
面白いと言うよりも、戦争をマイルストーンとして、歴史の連続性を淡々と資料を基にたどっていると言う感じだが、高校生への講義の実況中継と言う点は新鮮。
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加藤陽子先生の声が聞こえてくる本。高校生に行った授業をまとめたもの。太平洋戦争はなぜ起こったのか。実際に戦争を経験していない世代こそよく考えてみるべきことなのだが、すでに歴史上の物語化してしまい、「なぜ」と考えなくなっている。
日記や公文書等の記録を丹念に追いかけて、歴史を読み解くことの大切さを感じる。加藤先生の語り口がわかりやすくて面白い。
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「普通のよき日本人が、世界最高の頭脳たちが、「もう戦争しかない」と思ったのはなぜか?」という見出しに惹かれて購入。
東京大学文学部教授の筆者が栄光学園の中高生へ行った講義を収録し、書籍化したもの。
★心に響いた言葉
日本国憲法といえば、GHQがつくったものだ、押し付け憲法だとの議論がすぐに出てきますが、そういうことはむしろ本筋ではない。ここで見ておくべき構造は、リンカーンのゲティスバーグでの演説と同じです。巨大な数の人が死んだ後には、国家には新たな社会契約、すなわち広い意味での憲法が必要となるという心理です
太平洋戦争における日本の犠牲者の数は、厚生省の推計によれば軍人、軍属、民間人を合わせて約310万人に達しました
一般的に、知的訓練を受け、社会学的な知識を持っている人間は、外国への偏見が少なく外国に対する見方が寛容になる傾向があります
開戦時(太平洋戦争)の国民総生産でいえば、アメリカは日本の十二倍、すべての重化学工業、軍需産業の基礎となる鋼材は日本の十七倍、自動車保有台数にいたっては日本の百六十倍、石油は日本の七二一倍もあった。―こうした絶対的な差を,日本の当局はとくに国民に隠そうとはしなかった。むしろ、物的な国力の差を克服するのが大和魂なのだということで、精神力を強調するために国力の差異を強調すらしていました。
ドイツ軍の捕虜となったアメリカ兵の死亡率は1.2%にすぎません。ところが、日本軍の捕虜となったアメリカ兵の死亡率は37.3%にのぼりました。―自国の軍人さえ大切にしない日本人の性格が、どうしても、そのまま捕虜への虐待に繋がってくる
戦時中の日本は国民の食料を最も軽視した国の一つだと思います
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これまでの日本人は過去の教訓を未来に活かしきれなかった。今も同じようなことを繰り返しているのであろうか。政治、経済、外交と様々な分野で地盤沈下しつつあるのを見ると、そう感じざるをえない
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父がこれは読むと良いよ、と貸してくれました。
中高生の研究グループに明治終わりから第二次世界大戦までの日本の歴史の講義をまとめた本なのですが自分は日本の近代史を殆ど知らないので非常に勉強になりました。そしてこの講義を受けられた中高生の良く知っているその知識量に感服致しました。
日本が戦争に至るまでの過程、その選択を行った背景をさまざまな角度から取り上げてあるのでとても面白いです。が、私は本当に近代史を知らないのでもうすでに知っているでしょう、と言う前提で進められる辺りにまごつき読み終わるまでに非常に時間がかかりました。
しかし一方で第二次世界大戦は日本の侵略戦争だった、と言う見解を持つ人が多いのに対しなぜ日本が被害者であったかのように先の戦争が語られることが多いのか。軍の一部の人間が先行して行った戦争ではなく国民全体の意識としての戦争と言う選択だったのであればやはりこれからの歴史教育の中できちんと自分たち、自分たちの政治リーダーの取って来た政策、方針をきちんと教えていかなくてはならないと思います。
日本人だって戦争によって大変辛い思いを強いられましたが侵略された他の国の人のことを忘れてはいけない。そういうことだと思うのです。