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9・15リーマンショック その時、トップはどう動いたか みんなのレビュー

  • 片山 修 (著)
  • 税込価格:8587pt
  • 出版社:祥伝社
  • 発行年月:2009.9
  • 発送可能日:購入できません

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紙の本

リーマンショックをどうとらえるか

2010/07/19 21:53

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:CAM - この投稿者のレビュー一覧を見る

 『9・15リーマンショック』について、細谷英二(りそなホールディングス取締役兼代表執行役会長)、林田英治(JFEスチール代表取締役副社長)、竹中平蔵(慶応大学教授)、木下光男(前トヨタ自動車代表取締役副社長)、斉藤惇(東京証券取引所グループ取締役兼代表執行役社長)、上田良一(三菱商事代表取締役常務執行役員CFO)、堀新太郎(ベインキャピタル・ジャパン会長)の各氏とのインタビューを編集したものである。広範な分野からの人選であり、200頁余の新書であるが、かなり有益かつ啓発的な内容となっている。

 その中でも比較的に印象に残ったのは、細谷英二氏のものである。私は従来から同氏の経歴を見て、旧国鉄出身者にこの難しい時期の銀行経営者が務まるのかということを疑問に思っていたのだが、立派に銀行経営者としての見識を具えておられるのを感じて、敬服の念を覚えた。

 たとえば、氏は次のように語っておられる。平易・平凡な表現のようではあるが、適切な指摘だと思う。

>「市場の失敗」は必ず顕在化しますから、反省・修正ができます。しかし、政府の介入から生じた失敗は顕在化しにくいし、隠されることすら起こり得ます。しかも、市場メカニズムに政府がつねに介入するとなると、イノベーションが起こらなくなってしまいます。
 私は、やはり、市場メカニズムにウェイトを置きながら、市場の透明性をいかに挙げていくかを考えるべきだと思います。小さな失敗はあるかもしれませんが、それが世界経済を活性化させ、世界を豊かにしていくことにつながります。(p.42)

 竹中氏は、米国政府がリーマンを破綻処理したことについては、「商業銀行の場合、一般国民から預金を預かっているので、潰れるようなことがあれば、深刻な社会的影響が出ます。特定の金融機関の破綻をきっかけに、決済システムの機能不全か、他の金融機関や市場へ連鎖的に波及していく“システミック・リスク”を引き起こすおそれがあります。
 このような場合、政府は、金融システム保護の観点からマーケットに介入し、銀行を一時国有化するなどして、救済せざるを得ません。しかし、リーマンは投資銀行で、決済システムを有していません。したがって、基本的にマーケットのなかで処理すべき話であり、政府が介入する大義名分が立ちません。」(p.73)と、さすがに的確なことを述べている。
 
しかしながら、時価会計制度導入の問題についての考え方にはいささかの問題があるのではないか。 竹中氏は、経済財政政策担当大臣のときに、時価会計を簿価会計に戻したいという要望を、「病気で体重が減ってしまったから、体重計の目盛りを変えましょうといっているようなもの」と言って拒否したと語っている(p.82)。しかし、この比喩は適切ではないだろう。これは、体重計の「目盛り」を変えたいというのではなく、「計量時点」を変えたいという要望であるからである。人間の体重は一日の間で相当に上下するはずである。

ただでさえ会計制度の転換は多くの問題を生じることになるものである。しかも、インフレ期や好況時に導入しようとするならともかくとして、デフレ不況時に簿価会計を時価会計に転換するなど、狂気の沙汰ではないか。一時期、一部の論者は時価会計制度が絶対的なもののように主張した。しかしながら、たとえば、2010年6月18~19日の 日本経済新聞は、「揺れる時価会計」という記事を載せて、「金融危機を受けて見直し作業が進む時価会計ルールを巡り、国際会計基準(IFRS)と米国基準との溝が広がっている」旨を述べている。

また、2010年4月27日の、日経新聞「大機小機」は、「東京市場国際化の功罪」という題の下に「どのような世界でも戦略的発想の基本は差別化、つまり競争相手と違うことをすることだ。ところが日本の当局や証券取引所は、欧米市場追随が国際化だという誤った戦略のもとで、海外の投資家が喜びそうなルールを次々に導入した。そのツケが様々なところに表れている」として、「国際化戦略の誤りのもっと深刻な問題は、海外の投資家に迎合したルールが日本企業を痛めていることだ。デフレ経済下での時価会計は長期投資の意欲をなえさせてしまった」と述べている。適切な指摘であろう。

時価会計主義のかつての代表的論者として、竹中氏のほかに木村剛氏がいたが、木村という人物の未熟さは遂にはっきりと暴露されてしまった。私は、竹中氏や木村剛氏には、上記「大機小機」が述べるような視点からの戦略的発想がまったく欠けていた、と考えている。

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