紙の本
読む者の魂の自由度を測るような小説、山田詠美「無銭優雅」。
2011/11/03 18:10
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オクー - この投稿者のレビュー一覧を見る
これはまさに魂の自由度を測るような小説である。「心中する前の日
の心持ちでつき合って行かないか?」なんてバカ言って、慈雨と栄、42
歳同士のカップルが誕生する。この恋が自由奔放というか、高校生みた
な恋で、本当におかしい。人によっては「こんな42歳、ないでしょ?」
とか「ほ〜んとしょーもないやつら!」などと思うだろうが、人間、42
歳でもこんなもの。いや、50歳でも60歳でもこんなものなのだ。ただ、
常識だとか社会だとかなんだかんだの鎧を着てる人には、こういう「け
ーはくカップル」は理解し難い、というか、理解したくないのだ。とな
ると、この小説も「くだらねぇ〜〜」、ってことになるのかも。
さて、山田詠美、である。何もかもわかってるこの作者は、わかって
ることをいいことにはねる、はねる、はねる!魂もとんじゃってるし、
文章もとんじゃってる!調子に乗ってちょっと筆が滑ってるベタなとこ
ろもあるけれど、それもご愛嬌!!そして、ラスト。いろいろあってもや
っぱりこの2人は、42歳のバカップル(古い!)。なんともググッと
来る結末が待っている。舞台は西荻、そして、吉祥寺。恋は中央線でし
ろ!だって。魂がすっきりしゃっきりしてくるような快作。さて、あな
たの魂の自由度は??
紙の本
何処へもいけないふたり
2020/08/28 13:56
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
自分の生花店を切り盛りしながら、実家暮らしの慈雨は冴えないヒロインです。西荻窪より先には行けない栄との、静かな恋愛模様に癒されました。
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8/14 ものすごく期待しないで読み始めたのにめっちゃよかった。人生の機微、それを支えるのは柔らかい心だ。つっぱねないで物事を受けとめること。そして愛情を注ぐこと。日々の一つ一つの出来事を大切にすること。最初から最後まで一本の芯で貫かれているような感じはすごかった。そして裏うちされている死や心中のテーマが迫ってくる様子は圧巻。
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大人の恋ってやつを書いている。
この人の描く恋ってやつは
いつも想像の範疇を軽く超えていて辟易する。
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◆あらすじ◆
友人と花屋を経営する斎藤慈雨と、古い日本家屋にひとり棲みの予備校講師・北村栄。
お金をかけなくとも、二人で共有する時間は、”世にも簡素な天国”になる。
「心中する前の心持で、つき合っていかないか?」。
人生の後半に始めた恋に勤しむ二人は今、死という代物に、世界で一番身勝手な価値を与えている───。
恋愛小説の新たなる金字塔!
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「心中する前の日の心持ちで、つき合って行かないか?」人生の後半に始めたオトコイ(大人の恋!?)に勤しむ、四十二歳の慈雨と栄。二人は今、死という代物に、世界で一番身勝手な価値を与えている―。 (「BOOK」データベースより)
しばらく、読みにくい!!と思ってページを進めるのが苦痛だった。
途中からは慣れてきて、言葉の綺麗さを感じた。
こういうバカみたいにがむしゃらな恋愛(しかもいい大人が)、
結構好き。
心が温かくなる。
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40代の独身で花屋で働く「慈雨」と、塾講師の「栄」の恋愛。
テンポもよくて読みやすい。
ふんわりした恋愛小説は苦手だけど、コレは結構良かったかも。
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わーい、Amyの文庫新刊!
でもこれ私には全然分らなかった
これは年齢が上の2人の恋愛の物語だから
もっと年齢が上になってからもう1度読んだらまた違った想いを持つかな・・・
40代の恋愛ってこんなにきゃぴきゃぴなの?
それにしても最後の一行が…
なんというか恋愛の全てを語っているように私には感じられました
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子供のもどかしさ⇒大人の恋愛
を通り過ぎて、今度は
おばさんの恋愛を、たのしそうに描いてあるなぁ。
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久しぶりに山田詠美を読んで、最後のほうで初めて、少し泣いてしまった。
「誰もが誰もを思いやっている」という
シンプルなことなんだけど、そこが…。
原因は登紀子(だっけ、上の姪)。
山田詠美が描いたからだな、と思ったら、
今までちゃんと読んできていてよかった、
という気持ちになった。
好きな、これからも読んでいきたい作家さんだ。
ただ、慈雨とは年齢的に少し離れているからか、
「死ぬこと」、時折挿入される小説から、ちゃんと言いたいことを受け取れなかったようで、残念。
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100組のカップルがあったら、そこには100通りの愛の形があるんだなぁ~ということに気づいた。
文章の書き方がすごくラフで、小説というよりかはブログみたいだった。さぞかしエイミさんはこの作品書くの楽しかっただろうなぁ。風景描写がうまいのがばななさんであれば、心情描写がうまいのがエイミさんだなとつくづく思った。人の考え方とか、何をみて何を思ったのかを聞くのが大好きな自分としては、こういう書き方の本を前々から読みたかったのでそういう点では+。
ただ一方で、人のいろんな恋愛の形を同じように尊重したいなぁとはもちろん思ってるものの、主人公カップルの愛の形には共感できなかったなぁー。唯我独尊なところ、もちろん素敵だとは思うのだけど・・結末の部分は正直言って嫌い。21歳(=レビュー書いてる私)の許容範囲を超えてるよね、あれは。まぁ、私自身が恋愛を経験したことがないからかもしれないけども。
世界的に有名になった国際政治の本で、でも引用されるときは「こんな偏った見方があるんですよ」と絶対にだめな例として出される、Samuel Huntington著の"Clash of Civilzation"っていうのがあるんだけど、自分の中ではそういうポスト。納得はいかないけど、この本はやはりすごいのだと思う。読む人を選ぶ作品であるのは間違いない。
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大人の恋の物語。
主人公・慈雨(40歳女性独身)の放つ「父はもうすぐ多分、死んでしまうのだ」と、先を見据えた、ある意味達観した発言に驚いた。
20代の私には言えない、40代女子の強みですかね。
まだ、わからないなあ。
そういえばいつから山田詠美の作品から黒人が出なくなったんだろう?
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恋愛小説です。40代で恋をするとこんな気持ちなのね・・と主人公の「慈雨ちゃん」になれるくらいその世界にハマッてしまいました。
私は、一文でも心に残った文があればそれだけでその本を読んで良かったと思います。
という事でいいなと思った言葉。
・自分の世界を大切にしないって美しい気がする
・経験は人を学ばせるけれども、強くはさせない。強がる術(すべ)を身に付けさせるだけ。むしろ、どんどん、私は、臆病者になって行っている
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40代 だからこその 恋愛。
ある程度その年齢になるまで積み重ねてきたものが お互いの隙間を埋める恋愛だなと。
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いつも山田詠美氏の小説に出てくる男性キャラは魅力的で、読後には「いい夢見させてくれて有難う」と感謝の気持ちで一杯になるのですが、この作品では、初めての疑問符が付いてしまいました。山田氏の感情が入りすぎてしまったのではないかと思う描写?、共感して欲しいんだろうなって感じさせる説明?とか、なんだか少しもったいない気分です。
ちょっと氏の不調を感じました。
なんかネガティブな事が山田氏にあったのだろうか、氏の男性美学が今回はちょっと強引な感じを受けました。無理やり幸福を感じさせようとか思ってんのかなーなんて、今までそんな事を氏の小説で感じたことなかったのに。だとしても、キャラの思考などが何か故に個性的であったり、いつもの様にキャラに魅力を感じられれば、物語に惹き込まれていくのですが、なんか中途半端な気持ちのまま終わってしまった。
山田氏のファンなのでちょっと残念な気持ちです。山田氏の本に期待しすぎなのかな。私がただこういう男性が好みじゃないだけかもしれないし。というか、草食系男子って以前流行ってて、だからか山田氏お得意の時代先取りで栄ってそういう感じで書かれてるような気がして(2007年刊行)、でも現実そういう男子ってそんな人気ないしなーとか、変な事色々考えたのも良くなかったと思う。
でも、最後に引用された本の紹介があったので、これは全部制覇したいと思っております。氏が読んできた上で、引用までした本を。
そして又これを読んでみて、私自身が違う生活環境になってて、違う視点で新たな何かをこの小説で理解できたらなーって思います。
やっぱり山田氏が大好きです。