電子書籍
聖フランツ
2019/06/03 20:19
2人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:pope - この投稿者のレビュー一覧を見る
ネタバレあり。
正しいものが報われるとは限らないのがこの世。
淫売であっても自分に正直なリーザのような人に品行方正なフランツが惹かれるのもわかるし。
集団ヒステリーのような状態はまさに「ランド」と同じ。
でもこれはラストが良かった。
「マリー・ロンドン」はマリーのダンスシーンがかっこよかった。
紙の本
時と場所を超えて、不思議な少年が出会う色んな人生のドラマに、深々とした物思いへと誘われるシリーズです。
2009/09/26 20:58
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:東の風 - この投稿者のレビュー一覧を見る
天使のようでもあり悪魔かとも思えるひとりの不思議な少年が、時と場所を超えて現れ、欲望や執着心、自尊心、愛と憎悪、生と死にまつわることなど、我々“人間”という存在の本質的な事柄について問いかけてゆく連作短篇集。心の奥底にしんと触れるものがある、非常に味わい深いシリーズですね。二、三日前にふと出会って、たちまち既刊の7冊を一気読み。最新刊の本書も、読みごたえがありました。
中世ヨーロッパの魔女狩りを題材に、人間の醜さ、弱さ、そして気高さを綴った「聖フランツ 1」~「聖フランツ 4」。往年のミュージカル女優の歌と踊り、その魅力の忘られぬ輝きを描いた「マリー・ロンドン」。以上二篇が収められています。
これまでのシリーズ作品で最も長い分量となる、二百頁近い紙数を費やした前者、「聖フランツ」の物語。途中まではもたもたしている感があって、正直、あまり面白くなかったのですが、冒頭へと繋がっていく決死の行動から話が大きく動く後半、「聖フランツ 4」の章からがよかったですね。かなり性急な持って行き方で、それまでの話の流れからするとぎくしゃくした印象も受けましたけれど、音楽で言えば“コーダ”にあたるラスト数頁、とりわけラスト・シーンのインパクトがなかなか凄いんだな。泣き笑いしたくなっちゃうような、複雑な気分に駆られたこのラストは忘れ難いです。
この「聖フランツ」に比べれば、分量という点では遥かに少ない後者「マリー・ロンドン」ですが、これ、ええ話やあ。マリー・ロンドンのイメージが、不思議な少年が話の前面に出てくる前半と後半とでがらりと変わります。いや、マリー・ロンドンだけじゃないな。ある人物のイメージも、話の前・後半で大きく変わるんです。すれ違っているようで、実は深いところでふたりの心は繋がっていたんだなあと。目頭が熱くなりましたねぇ。人と人の出会いを描いて、小粒だけどキラリと光る作品。
電子書籍
中世から現代へ
2017/11/27 05:59
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夜メガネ - この投稿者のレビュー一覧を見る
魔女狩りをテーマとした宗教色の強いフランツのシリーズと、
伝説のミュージカル女優の人生にあの少年が現れる。
一つの設定で話数が長いのですが、読みごたえもあるし、
ミュージカルシーンは色々な女優たちを彷彿とします。
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いつも読む人の心の裏側をのぞき見るような作品が多いこのシリーズ。
今回は聖フランツ4部作。
果たして人は究極の場に追い詰められた時、わが身を捨てられるか?
自分の身に置き換えて、ひと時沈思黙考してしまった私です。
残る1つは「マリー・ロンドン」
かつてのミュージカル女優のお話。
孤児をひきとって育ててみたものの・・・。
子育ては、血の繋がっている間でもむずかしい。
それが、血も繋がらず、ましてや外国人の子供だったら、どんなに大変か!
辛いシーンの連続でしたが、最後はホロっとさせるのは、やはり山下和美の巧さですね!
脱帽です♪
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◎ダ・ヴィンチ2005年2月号
「今月のプラチナ本」。
2009年9月26日(土)読了。
2009−97。
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昨日(10/3)発売の最新巻です。
不思議な少年は全巻揃えてますが、ひとつひとつ
こちらにUPしていません。
これは、ずっと中世の魔女狩り時代の話→100年近くあとへ、と続く
山下和美お得意の海外時代モノ。
集団は怖い、
集団はひどい、
集団はヤバい・・という今も連綿と続く、
大多数集団心理の恐ろしさと、人間のもろさが如実に描かれた作品になっています。
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様々な「人間」の生き様を、永遠の時を生きる「少年」が見つめる、ヒューマンストーリー集。
描かれている人間の感情の表現が秀逸でありながら、ありがちな感動物に終始せず、どこか淡々としたところがあり、飽きにくい作品。
今回の第8巻は、「少年」に「信仰」を試される少年、過去の栄光に身をやつす女優の二つの物語。
前者は集団心理との葛藤を叙情的に、後者は養子との関係を中心に、廃れゆくものへの哀愁が描かれている。
また、山下和美のやわらかな描画が、詩的なストーリーにマッチしている。そこも見所の一つか。
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こういう道徳的というか、人間の愚かさと美しさをむき出しに表現して、人間とは?を問い続ける作品ていうのは、今の時代本当に必要だと思う。
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友人から借りて1~8巻まで一気読み。宗教・思想・哲学・民俗、深い部分に食い込んだストーリーばかりで読み応え満載です。性善説・性悪説に興味があるのですが、漫画で広く考えさせるというのはアリだと思います。
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・“不思議な少年”と瓜二つなフランツ、信仰心を試される苛酷な裁判の時
・かつての栄光に引きずられたミュージカル女優が、最後に見る特別な映画
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9巻まで一気に読んで、不思議な少年は恐らく神が遣わした天使なんだろうが、人間を見届ける者としての不死には限界がないから全く同じではないが、メタモルフォーゼして性をも超えて人間と交わる下りはクラムジーじゃん、って今頃気付いた。クラムジーほど楽天家じゃないけど。クラムジーはアンドロイドだから機能停止と言う限界があるし、見届ける者でもないんだけども、天使の様な無垢さ、と言う表現を人間が使いたくなるのは何故だろう、と言う部分で通じるものがある気がする。
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友人から「絶対好きだから」と貸された。好きでした。
一気に借りたので現状1~8巻までで一括書評。
8巻あらすじより引用
「無限の時を超え、遥かなる事象を経て、少年は人間の中に潜む美しき混沌を眺め続ける」
というわけで、タイトル通りまさに「不思議な少年」が時間も場所も全く違うところで眺める、様々な人間たちの様子が短編~中編の1話完結形式で描かれる。序盤はどっちかというと絶望的な終わり方が多めで苦しくなったりもしたけど、とにかく面白くて一気読み。1話完結なのに止まらない。
やっぱり「少年」っていう存在はあらゆる意味で中性であり、何にでもなれる何者でもない存在の象徴なんだなと、再確認。
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時代と場所を問わず人の営みに干渉する少年を狂言回しとした連作集。長い期間をかけて不定期連載しているせいで、この少年の立ち位置が徐々に変化していく様が非常におもしろい。初期には人間の本性を暴く、あるいは試す、ある種興味本位の傍観者にすぎなかった。後期になるにつれて、人間の運命をあるべき姿に修正する積極性を持つようになる。傍観者から調停者としての役割へと変化していく。
この作品がマーク・トウェインの未完の同名作から着想を得ていることは間違いないと思う。トウェインの少年はサタンの甥なのだが、山下作品における少年も初期においては非常に悪魔的ともいえトウェインの影響を感じさせる。一方、後期に至っての調停者としての少年は、明らかにトウェインとは方向性が異なる。トウェインを離れて独自の少年を描き出しているとも言えるが、しかしそれは少年自身の主体性を失っていく過程でもある。後期のほうが人間への働きかけが強いことから、一見より主体的になったようにも見える。少年は運命や歴史の流れといったより大きなものに取り込まれ従属を強めていく。となれば、物語はどうしても予定調和の閉じたものになりがちになってしまう。そこをどう回避するのかが今後の焦点になるのだろうが、今のところまだ閉じた世界からは抜け出てはいない。
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聖フランツ 4部構成の大作だから、作者は思い入れ強いのかな。少年が恐ろしい表情になったから。
マリー・ロンドン、奈良美智の女の子そっくりなのはオマーッジュ?
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●聖フランツ
不思議な少年が珍しく感情的になって、読みを誤ったパターンかな。
フランツもなかなか、人間離れしてた。