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冬の夢 みんなのレビュー

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みんなのレビュー14件

みんなの評価4.2

評価内訳

  • 星 5 (4件)
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  • 星 3 (3件)
  • 星 2 (0件)
  • 星 1 (0件)
14 件中 1 件~ 14 件を表示

紙の本

上から目線

2019/09/12 19:55

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ペンギン - この投稿者のレビュー一覧を見る

翻訳者のノートには、ハッピーエンドにしなかったのは傑作を書くという良心のため、みたいな感じで書かれていた。でも個人的には、作者が上から目線だったからだと思う。富の素晴らしさは認めても、人間の至高の精神は認めていなかったという意味で上から目線だと思う。富の放つ、きらめくような描写とは対照的に登場人物の男性も、女性も、ゲス野郎とダメ野郎ばっかりだもの。正しいとは思うけれど、辛口度合が半端じゃない。

ヒーローが颯爽と問題を解決するようなストーリーは子供向けだ。上から目線で見られていること、それを知っているのが大人だ。客観的というやつさ。自分がゲス野郎またはダメ野郎に分類されていると分かっても、怒らないで潔く認めるのが大人なんだな。

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紙の本

酒と女と薔薇の日々を導いた古風なピューリタニズム

2010/03/16 20:24

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:あまでうす - この投稿者のレビュー一覧を見る




照る日曇る日第334回

フィッツジエラルドが彼の代表作「グレートギャッツビー」を書く前に、いわば練習問題のようにすらすら書いた短編小説が5本並んでいます。

村上春樹によれば、彼はみじかいものならだいたい1日で書き飛ばしたというのですが、その切れ味の鋭さといったら芥川も及ばない天才的なもの。とりわけ最後から2番目の「リッツくらい大きなダイアモンド」という作品なぞ、太宰治のストーリーテリングをはるかにしのぐ物語の行方知らずの恐るべき面白さです。

その大半がアメリカの通俗文芸誌向けのよくできた高級娯楽小説ですが、「罪の赦し」だけは一種異様な性格の物語。主人公の少年の「原罪」にまつわる宗教意識や苦悩について、張りつめた緊張感のもとで、重苦しい独白が積み重ねられてゆきます。

この古風なピューリタニズムこそが、後年の酒と女と薔薇の日々の放蕩と自己破壊を早くから準備したフィッツジエラルドの内面の知られざる核だったのです。



♪神を恐れおののく孤独な少年を待ち構えていた酒と薔薇の日々 茫洋

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紙の本

スコット・フィッツジェラルドの若き日の傑作選

2010/01/04 22:09

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:K・I - この投稿者のレビュー一覧を見る

僕は出版社のメールマガジンを購読したり、定期的にホームページを確認したりして、自分の気になる分野の本の出版状況を知る。
そこで見つけた買う予定の本を、メモしておく。
『冬の夢』もそんな一冊だった。
しかし、この本は、単行本で、値段が少し高い。1800円プラス税。
同じ中央公論新社から出ている「村上春樹翻訳ライブラリー」の各本に比べれば、いくぶん高めだ。
そういうこともあって、少し買うことを躊躇していたのだが、結果的に、買って大成功だった。

この本には、「冬の夢」「メイデー」「罪の赦し」「リッツくらい大きなダイヤモンド」「ベイビー・パーティー」の5つの短編小説が収められている。
どこか、僕はフィッツジェラルドの短編に偏見を持っていて、「お金持ちの男女が出てきて、恋をする物語だろう」と思っていた。
だが、『冬の夢』を読んで、それはいい意味で裏切られた。
特に、「メイデー」は、「フィッツジェラルドにこういう顔があったのか!」と思わせる作品だった。

村上春樹さんが各作品にコメントを付していて、それを読むのも楽しい。「あとがき」では、フィッツジェラルドの「晩年」の作品集も刊行予定だ、ということが明かされていて、楽しみだ。

とにかく、買って読んでみて、大満足の一冊でした。

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紙の本

この短篇を読んで、高校生のころ毎日曜日キャディーのアルバイトをしていたことを思い出した

2009/12/12 16:37

3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:本を読むひと - この投稿者のレビュー一覧を見る

 短篇『冬の夢』の主人公デクスター・グリーンは、彼が夢中になり、翻弄されたジュディーを一度あきらめた後、別の女性とつきあうようになる。
 《その夜は遅くまでダンス・パーティーに残っていた。一時間ばかりアイリーン・シアラーと二人で、本や音楽について語り合った。彼はどちらについてもほとんど知識を持たなかった。》
 若くして成功したデクスターは、そうした教養をある程度身につける必要性を感じるのだが、村上春樹が《もしスコット・フィッツジェラルドの残した短篇小説の中から個人的にベスト3を選べと言われたら、この作品はやはりはずすわけにはいかない》という『冬の夢』のポイントの一つは、主人公が無垢というか、むしろそうした知識を身につけていないようなところにある。
 本や音楽の知識が悪いなどとはいえない。控えめにみてもそれは恋しあう若者たちに限らず、人と人の関係、対話のなかで潤滑油的な働きをするだろう。
 だがこの短篇の主人公には必要がない。「ギャツビー・コンプレックス」という言葉が仮に考えられるとしたら、それは金持ちの憧れの女性をわがものとするために、必死で彼女の階級と対等の財力を得ようとする青年の物語に与えられる名であろう。
 『冬の夢』の主人公も、その物語の構造のなかにある。彼にとって必要なのは、本や音楽の教養ではなく、相手の階級に見合う財力である。
 さらに、この短篇において本や音楽が邪魔なのは、それらが一つの恋物語としてある作品の純度をかならずや薄め、汚すからである。
 さりげなく『チン・チン』他の劇中音楽のピアノ演奏が、23歳の主人公に5年前の彼を思い出させるものとして一度登場するだけであり、主人公や他の人物が本や音楽の知識を述べることなどは一切ない。
 訳者である村上春樹の長篇のように、登場人物の口を通して、あるいは語り手によって本や音楽の実名が並べられたなら、この短篇は死ぬだろう。

 デクスターはそれほど貧しいわけではなかった。彼の父親は村で「二番目に有名な食料品店を経営」しており、彼は無理をして東部の大学に進んだ後、中西部に戻り、小さなクリーニング店から始めて27歳のころにはチェーンのオーナーになる。だが彼が欲する「華麗なるもの」は、そうした世間的な成功とは別なところにある。《その少年の「冬の夢」が最初にたまたま、裕福な人々に対して強い関心の目を向けていたからといって、彼がただ薄っぺらで世俗的な人間であったということにはならない。》
 別な時代、別な世界なら「冬の夢」は「ギャツビー・コンプレックス」のかたちをとらなかったのかもしれない。この短篇が1920年代のアメリカを刻印しているのも、そこにあるのかもしれない。
 輝くような背景をもつこの恋物語は、14歳の少年と11歳の少女を、キャディー対ゴルファーとして最初に対面させたところにもポイントがある。雇われるものと雇うものとの差異がすでにそこにある。次に二人が出会ったとき、かつての少女のほうはかつての少年のことを記憶していない。
 訳者はこの短篇について、作者が《若さの鮮やかな発熱と老成の切なさとを、あるいはまた若さの切なさと老成の静かな温もりとを、実に巧妙に交差させている》と指摘する。『冬の夢』が執筆されたのは20代半ばであり、夭折者の特権として(フィッツジェラルドは44歳で亡くなった)、若さと老成がそこにはともにあるということだ。
 ともあれ少年時代から始まった小さな物語は、27歳のビジネス的成功までがすばやく語られてから、やにわに23歳へ引き戻される。その「時」転移のなめらかな自然さは、よくできた映画のように鮮やかだ。
 デクスターが得られたかもしれない別の女性との平安な未来は、やがてジュディーによって壊される。彼女のために彼は「束の間」の「痛切なまでの幸福」とひきかえに「強者のためにのみ用意された深い痛みを味わうことに」なる。
 この「強者」というのもポイントのように思う。それは「成熟」と言い換えてもよさそうな訳者のいう「老成」にかかわるかどうかとは別に、この小編を含蓄のあるものにしている言葉の一つだ。
 それにしてもこの小説では、主人公自身の思いに作者の語りは微妙な寄り添い方を見せている。作者による主人公についての語りには否定的なもの、また批判や皮肉はない。それはちょうど、主人公が奔放なジュディーに寄せる思いと対応している。
 彼は彼女がいらなくなった人形を捨てるように(と書かかれているわけではないが)、自分に関心をもたなくなっても、彼女との最後の出会いを悔やまなかった。
 この物語の核心は、主人公を翻弄する女性に対して、彼が彼女の輝きと美しさを決して忘れようとしない、あるいは忘れられないところにある。それゆえにニューヨークで成功しながら、ジュディーのために結婚しそびれた32歳のデクスターがたまたま知ることになった彼女についてのある情報が、生きる。
 老成とは、輝きがしぼむ、あるいは褪せる、くすむことの認識だろう。『冬の夢』では、輝きのなかで、それがとらえられている。そのため現実の老成のなかで若さの輝きが懐かしまれるのと異なる表情を、この作品は見せることになる。

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2010/03/02 22:53

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2010/03/11 16:58

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2010/04/09 18:03

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2010/05/18 01:38

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2011/05/18 18:43

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2011/07/31 20:58

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2012/03/05 10:06

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2013/05/25 09:59

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2013/05/14 18:48

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2023/12/10 08:40

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