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預かった宝石を何者かに盗まれたとの訴え。捜査に赴いたコンチネンタル探偵社の「私」。被害者であるレゲット家の過去に隠された秘密。レゲット夫人の実家デイン家にまつわる呪い。レゲット夫人の姉との関係。消えたゲイブリエル。悲劇の結末。ゲイブリエルの隠れた施設の医師の死。デイン家の呪い。捜査に協力し続けゲイブリエルと結婚したエリック・コリスンに訪れた悲劇。
2011年10月6日読了
2009年11月29日購入
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なんと多くの人が殺される小説だろう。というのが正直な感想。
出張途中の新幹線で読んだのだけれど、気分が少し重たくなった。
ハメットの中ではあまり馴染みの無い作品だそうだけれど、それでも結構面白く感じた。インチキ宗教であるとか、薬物であるとか1920年代後半に話なのだけれど、現代とそんなに変わっていないのが不思議な気がした。
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1929年発表で、著者の第2長編に当たります。
著者の作品の中では話題になることは少なく、実際プロットもブレブレな(笑)、B級パルプフィクションな感じ全開の作品なのですが、呪われた一族の血という切り口はミステリファンの心をくすぐりますし、二転三転する展開は結構楽しめます。ハードボイルドが得意でないかたも是非読んでみてください。
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「土曜ワイド劇場」っぽかった。まず時間割。土ワイは二時間枠なのだが、最初の一時間は派手目である。風呂入ってて見逃した人にも分かる(ビデオはまだ一般的でない)用に2、3度センセーショナルな絵図が煽りとして使われる。本編→駆け足にて禍々しくいかがわしい事件が起こる。
土ワイ→一時間を超えると急に勢いが落ちる。中だるみするが、ちゃんと見てないと犯人わからなくなるわよ、ああん?という
一方的な緊張感はある。本編→渦中の人物がクエサダ(?メキシコ)に逃げた途端に急にわらわらしだし、集中力が落ちる。
土ワイと本編のラスト→あ、犯人考えるの忘れてたわ。もーいーや、最初に出てきて死んでないこの人でいいっしょ。動機?まって今考える。20分ちょうだい。といった、新年号がどんどん風格下がっていく悲しみに囚われながら、昭和ノスタルジーに浸りました。
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注:内容に触れています
『ハメット』は読んだけど、ダシール・ハメットの本を読むのは初めて。
ハードボイルドっぽいのは好きだけど、チャンドラー等、昔の「ハードボイルド」はそんなには好きではない。
よって、期待はしつつも、どうだろうなぁ~?みたいな感じで読み始めた。
この本、なんでも「新訳版」だとかで。
しかも、訳者の小鷹信光といえば、確か、あの『探偵物語』…、女子大生役の薬師丸ひろ子が探偵役の松田優作に「ドジな探偵さん」って言う角川映画…、って、それは違う『探偵物語』!w
だから、松田優作は松田優作でも、♪Bad City Badの方の「探偵物語」の原作者(今見たら原案らしい)なわけで、そりゃ期待も高まる!ってもんだったのだが……
な、な、なに、この訳!?
まわりくどくって、読みにく~い!w
新訳(2009年の出版)なのに、なんでこんな直訳調にしちゃったんだろ?
ていうか、新訳=読みやすくする、ではない…、の?w
読みにくいのは、そもそも書かれた時代(1929年だって)もありつつ、著者のくせ――やたら細かく描写していたかと思うと、ふいに一コマ飛ばして展開していたりする――は大いにあるとは思う。確かに。
でも、それ以上に読みにくくさせているのは、この直訳調の訳だと思うんだけど、他の人はそう思わなかったんだろうか?
ていうか、アマゾンのレビューだといい感想ばかりだけど、アマゾンのマーケットプレイスで1円(+配送料)で買えたわけだ。
そう考えると、ほとんどの人は買ったはいいけど、読みにくくてイマイチで。家に置いとくほどじゃないから売っちゃった!ってことなんじゃねーのかぁ~w
とはいえ。
読みにくい、読みにくいと思いつつも、ズンズン読んじゃったのは確かなんで、話そのものはまあ面白いんだと思う。
第一部の「デイン家」での、そのデイン家で起こった事件に始まって。
第二部「神殿」の、かのおしり探偵ですら尻込みしちゃうような怪事件(笑)
最期、第三部「クエサダ」でのやっとキャラが明確になってきたなーと思っていたら、斜め後ろから犯人が吹っ飛んで現れる、みたいな展開とか。
いっやー、しかっし、なんとも斬新な犯人のわかり方だ~!ってw
(1929年の小説に斬新と評価するのも変だけどw)
いや、だからさ、タイトルにある“家の呪い”とか、内容の紹介で“ゴシック”とか“作者としては異色”とかに引っ張られちゃって読むと、確かに相当イマイチになっちゃうんだろけどさ。
ていうか、無茶苦茶ネタバラシしちゃうけど、“ゴシック”ったって、出てくるのはシーツをかぶったオバケ程度だから(爆)
とはいえ、ソレが出てくる第二章はほぼアホバカ小説なんで、ネタバレしちゃっても、この小説の面白さは全然損なわないと思うの。
というのも、この小説のいいところはは第三章、主人公オプ(でいいんだっけ?w)のバシッとくる優しさ、それにつきると思うんだよなぁ~。
今っぽく、“ブレない”って言っちゃうと、それはわかりやすいんだろうけど、でもここでオプがヒロイン役のゲイブリエルに示す優しさは、たんに”ブレない“じゃなくっ���。“ブレを見せずに踏ん張る”なんだと思う。
というのも、オプが同僚にゲイブリエルのいないところで、「ミセス・コリンスン(ゲイブリエル)の前では俺に敬意を払うのを忘れるな。俺が大物だと彼女に思わせておくのが大事なんだ」と言うシーンがあるのだ。
つまり、それがうまくいく(ゲイブリエルにモルヒネを絶たせる)かどうかなんてオプにもわかることじゃないわけだ。だから、それがうまくいくように彼女に自分のやり方を信じさせることで安心させるため、彼女の前では虚勢を張って自信があるように見せているんわけだ。
これって、もしかしたら今の正解か不正解を求められちゃう(求められると思ってしまう)上司とか親なんかからしたら、ちょっと救われるところなんじゃないだろうか?
今は専門家と称する人にテレビやネットで、さも正解っぽいことを言われちゃうから、誰もが自分の考えについ自信をなくしちゃうけど。
でも、それはその正解っぽいことを言っている、専門家も同じで。彼ら/彼女らは、自分のお金儲けや視聴率・ネットのアクセスを上げるために虚勢はってそれを言うから、それが正解っぽく感じるだけなのだ。
そもそも人間にそれが正解か不正解かなんて、先(未来)がどうなるなんて絶対わからない。なら、自分が信じた良いと思うことをすることしか出来ないわけだ。
結果、それが不正解で部下や後輩、あるいは子供から不興をかったとしても、いつか彼/彼女も上司や先輩、あるいは親になる。そうなれば、自ずとわかる…、かどうかは知らないけどさ(笑)
でも、そう思っちゃえば、ちょっとは気が楽になるかな?
と、自分は思うことにしよーっとw
そんな第三章がよかった(ちょっととっ散らかっているが)だけに、物語の導入たる第一章にいま一つおざなり感があるのは残念なところ(ワンダーランドな第二章はもはやどーでもいいw)。
というのも、タイトルにもなっている『デイン家の呪い』の一丁目一番地たる、アリス・レゲット(旧姓デイン)のキャラクターが弱すぎるのだ。
というか、弱いのも弱いのだが、そもそも「呪い」と言いたくなるほど物語っていないんだと思う。
それは著者がそういう傾向の話を書く人でないので仕方ないのかもしれないけど、そこが少ないために「呪い」という圧倒的であるはずのモノが読んでいて(ゲイブリエルが麻薬中毒になってしまうほど)大きな存在として感じられない。
ま、そもそも(著者もあとがきでそれっぽいことを書いているけど)ゲイブリエルを立ち直らすエピソードは本にする時に付け足したっぽいし。
ていうか、それを言ったら、そもそも著者は第一章を書いた時点で第三章のような展開を考えていなかった、ような気もするんだけどさw
それはそれとして、先にも書いたように、主人公オプがヒロインたるゲイブリエルと立ち直らせるためにバシッとくる優しさ(業務上のいきがかりの「こいつは捨ててはおけねぇ」的義侠心にすぎないともいえるがw)を示すところが、この話(本)の読みどころだと思うのだ。
そのバシッとくる優しさを示すことになるにはそれなりの理由があり、、それはゲイブリエルの悩みの深さなのだ。それを、そんなにも深刻にしている存在が「呪い」であり、「呪い」と��わしめている存在がアリス・レゲットであるはずなんだけど…w
もっとも、そんな風に思っちゃうのは、今の至れり尽くせりすぎ小説に慣れすぎちゃっているという面もあるのかな?w
とはいえハメットは不思議と魅力がある。他も読んでみたい。
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マルタの鷹、赤い収穫、と来て3冊目のハメット作品。
ハメットの中では異色、と言われているらしい。
呪い、というのがハードボイルドらしからぬモチーフだからかもしれない。
エセ宗教の神殿で、神意や呪いが発動しはじめた時は、どうハードボイルド的に立ち向かうのだろうとやワクワクしたが、仕掛けももちろんリアリズムに即しており、夢がなさすぎてちょっと残念…笑、と思いきや!
クエサダでヤク抜きするゲイブリエルに対して、オプがばっさばっさと言葉で呪いを断ち切ってゆくシーンにしびれました。
バイオレンスで冷徹な印象のハメット作品の中では、主人公の弱さと優しさのエッセンスがほんのりつよめな物語。
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「ガラスの鍵」からハメットを読み始め、現在新刊書店の文庫てわ手に入るのは、この「デイン家の呪い」で最後。
数年前に小鷹信光訳で早川文庫から「影なき男」が出ていたが、今は品切れ状態。
「ディン家の呪い」の最終章は謎解きなのだが、なんとなく付け足しのような感じで、面白くなかった。
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多分、「赤い収穫」と同じ探偵の2作目。
「私」は保険会社から依頼された仕事、
ダイヤモンドの盗難事件を調べにある家庭へ向かう。
いかにも内部の犯行に見える盗難だったが、
犯人を捜すうちに家庭の父親が、
テーブルにつっぷして死んでいるのが発見される。
遺書が残されており、
自分は過去に妻を殺し刑務所を脱走したこと、
娘はその妻との間の娘で、今の妻は元妻の妹であり、
過去を脅迫されたのでダイヤモンドを脅迫者に渡し、
脅迫者を殺したことが書かれていた。
しかし事件はこれで終わりではく、
娘の周りで次々と殺人が…。
とある家庭、宗教団体、海辺の田舎と
舞台が次々と変わりながら事件が展開するのがが面白かった。
登場したかと思ったら署長が犯罪に手を染めたりしているのも、
急展開すぎるが。
友人が爆弾でふっとばされた時には、
ワトソン役だと思っていたためかなり驚いたが、
さらに犯人だったとは。
モルヒネ漬けだった娘の薬抜きを手伝うとは、
探偵の「私」は大人になった?
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ハメット長編2作目です。今回もコンチネンタル・オプの一人称ですが「血の収穫」と違い単なるハードボイルドではありません。三部構成で、最初はハードボイルドで入るのですが、第二部【神殿】からゴシック・ロマン・ミステリになります。第三部が解明編となりますが連作中短編の装いなので入りやすかったです。ハードボイルドなのにロマンとは、とも思いますが、これがなかなか、メロドラマもあるでよ。プロットが複雑で「どうしてこうなった」感がありますが、なかなか楽しめる作品でした。オプの短編集も読んでみようかな。(1929年)