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うわぁ...これは凹むなぁ...。登場人物の全てがデフォルメした
人の弱さ、狡さ、穢さ、不器用さを持ち合わせ...etcを
撒き散らかしてくれます。活字なのに読んでいて、
精神的に参るような臭いを放ってます...。
こりゃ...重たい。
なのに目を逸らすことなくページを捲り続けるのは...
何か救いが待っているから...という期待と、
この嫌悪感は人間の放つものだから...自分も
持っているものだからやめられないのか...。
淡く持った救いに対する期待にこの結末で
迎えられたら...凹みます(笑)。
黒い...黒すぎる!湊かなえの比じゃねぇっす。
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一言で言えば、99%不愉快で、生理的に不快な、けれど間違いなく最高傑作。
働くこともせず、ただ手ひどくだまされた男の影を引きずりながら、
自分が蔑むしみったれた醜悪な年上の男の世話になって一日一日、
ただ惰性で生を浪費する主人公の十和子。
15歳年上の同居人陣治は、かつて一流企業に勤めた栄光の残滓にすがりながらも、
今は肉体労働をしながらその日暮らしで十和子を食わせている。
十和子の独白で綴られる前半は正直、かなりつらい。
基本的に現在形で吐露される十和子の、陣治への嫌悪感に満ちた呪詛はおぞましい。
陣治を傷つけたい。この男から逃れたい。
だらだらと心の中で呪い、怒鳴る十和子は醜い女の感情のわだかまりそのものだ。
うるさい、黙れ、お前が死ね。
そう心の中で思いながらも、この救いようのない女の独白から読者は逃れられない。
昔の男・黒崎のような優男の水島にだまされ、また身体と金をむしり取られながら、
十和子はいつしか、陣治が黒崎を殺し、そうして今度は嫉妬から、
水島を狙っているのではないかという妄想にとらわれる。
しだいに壊れてゆく十和子。
陣治を殺すしかない、自分の幸せのために。
そう決意してその前にもう一度水島に会う十和子。
しかし実際に水島に会った十和子のとった行動とは・・
最後のページを閉じて、本当に手がふるえた。
解説を読み、またもう一度、ページをめくる手が止まらない。
苦しい。気持ち悪い。息が出来ない。
本にもし温度があるのならこの本は、間違いなく灼熱だ。
喉からぐいぐい、熱い棒を押し込まれて涙が止まらなくなって、
ようやく解放されたような脱力感。
気持ちよい読後感とはほど遠い。
初めてだ。本で悪酔できるなんて。
読み終わって自分がちゃんと現実に帰ってこられた、それに感謝した。
覚悟を持って読むべし。
そして読んだら絶対に、最後まで読め。
最後の最後に来る衝撃は、超・ド級の切なさだ。
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登場人物の全てが理解出来ずに読み終わった。 全員身勝手な愛のカタチを求めているようで。
個人的には読み疲れ違和感だけが引きずりました。
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目に映るもの、心を過るなんともいえないような感情の動き、ありとあらゆるものを完璧な言葉に置き換え、文章にしていく筆力に脱帽。妄想癖があって、少し精神的に壊れているような主人公十和子を通して見た世界をも緻密に描写されるため、読んでいる間中閉塞感で窒息しそうでした。
この後、残った十和子はどうするのでしょう。ラストシーンも彼女お得意の白昼夢であったら、と思わずにいられません。
どちらにしても彼女は救われませんが…。
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恐ろしいぐらいの愛情というか執着というか。
無償の愛なのでしょうか。
男性陣の描写は細かく
「あぁ、この人はこんな感じなのね」と読みながら
目に浮かぶのだが
主人公の女性に関しては「九月~」と同じで
なぜかあまり見た目なんかが書かれていない。
「それぞれが想像して」って事なのかな。
ラスト、胸が痛くなった。
主人公とその姉の会話はなぜかイライラした。
同居の男には高圧的な態度をとるくせに
姉の前ではもぞもぞする主人公に
たぶんむかついた部分があるのかも(笑)
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内田百閒の「ノラや」でしか泣いたことのない私が、
この小説には泣かされた。
ただ、二度目を読むのを躊躇っている。
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昔の男がいつまでたっても忘れられない十和子。下品でだらしなくてうだつのあがらない中年男の陣治。陣治を激しく嫌悪しながらも一緒に暮らしている。
働きもせずDVDを見ては現実逃避する毎日。十和子の陣治への罵倒の表現がとんでもなくて読んでてイヤな気持ちになる。
ダメ女が磁石のようにダメ男を吸い寄せてくる。
他に出てくる男もダメな男ばかりで不快な気分は増殖する。
途中で真相はなんとなくわかったんですがそれはたいした問題じゃない。
陣治の理解を超えた十和子への愛。
気持ち悪さを通りこして恐ろしさを覚えてしまう。
救われたようで救いのないラスト。
息苦しくなる小説でした。
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どーしようもない女と男の物語。だから、内容は嫌悪、不快きわまりない。でも、圧倒的なリアリティに惹かれて読まずにいられない。ラストは感動というより哀しい…99%の狂気と1%の純愛みたいな感じ。
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これが愛なのかどうなのかはわかりませんが、生臭い人間の営み、どうしようもなくへばりついた暮らしが文字から滲んで、時々飲み込まれそうでした。
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内容は
数年前に酷い仕打ちを受け別れた男の空白を
埋めるようにして、同居することになった年上の中年男は
野暮ったくて下品で……食事の後に爪楊枝を使う様や
何から何までイヤな習慣を描写しつつ、
酷い仕打ちを受けた男と同タイプの男と不倫をし始めることにより
実は彼女に「あの時」何が起こったのかが、わかってくる。
横にはいつも野暮な中年男がいてくれた……そして、という話。
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前半はとくに事件も無く、主人公の十和子と同居人の陣治の自堕落で清潔とは言えない生活が2人の過去と共に書かれている。中盤、十和子が自分を苦しめた過去の恋人が行方不明だということを知り、陣治に疑いの目を向けるところから少しずつ動きが出て来る。
ラストは「へーそうだったのか」という感じだけど、特に強いショックも無かった。
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胃もたれ起こしそうな不快感が残るのに、読まなきゃいけない義務感が湧くのが不思議。どの書籍もそうだけど、特にコレ性別、年代別で受け止め方にギャップが生まれそうです。
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【あらすじ】
十和子は淋しさから、飲み会で出会ったうだつの上がらない中年男・陣治と関係を持ち、なんとなく一緒に暮らすようになる。ある日、陣治の部屋で、昔の男から贈られたピアスを発見する。何故ここに…。十和子が選んだ驚くべき行動とは!壊れかけた女、人生をあきらめた男。ダメな大人が繰りひろげる100%ピュアな純愛サスペンス。
【感想】
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さて・・・。これをミステリと呼ぶのかどうか。まずそこのところを考えてしまう。謎がないわけではない。謎らしきものはある。最後にはそれが明かされる。それをミステリと呼ぶならミステリなんだろう。
ずいぶん前に別れた男。妻がいた男。別れてから8年経ってもまだその男を引きずって生きる主人公・十和子。それと知っていながら、十和子を口説き、ついには一緒に暮らし始める陣治。陣治は、十和子のためなら何だってするという。彼女にどれほど罵られ蔑まれても、十和子の足元にからみつくようにして離れない。
よくもまぁ、これほどまでに不愉快な表現ができるものだと感心するほど、陣治に関する描写は嫌らしい。下品で卑屈で。読んでいて、途中で気分が悪くなるほど。
投げ出してしまわなかったのはなぜだろう。
最後まで読み切ってしまったのはなぜだろう。
途中でページをめくる手が止まらなくなったのはなぜだろう。
不愉快で仕方のない人物ばかりが登場するのに。
それでも最後まで読まずにはいられなかった。
途中でラストの展開はある程度予想がついた。けれど、最後の最後の展開までは読み切れなかった。
このストーリーを「究極の愛」を描いていると語るレビューも多い。確かに「究極の愛」だ。けれどそれは他人に向けられた「愛」ではなく自分自身に向けた「愛」。
誰も彼もが自分自身だけを愛している。
十和子はかつて酷い目に遭わされた男・黒崎を愛していた?
新たに出逢った妻子持ちの男・水島を愛していた?
陣治は十和子を愛していた?
十和子の姉・美鈴は夫を愛していた?
みな違うと思う。
みな自分自身を愛していたんだと思う。
自己陶酔の世界に浸っていたんだと思う。
誰にも共感できず、誰にも同情できないストーリーだけれど、なぜか気になる。
不思議な読後感。
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「限りなく不愉快」という帯の文句に偽りなしでした(笑)特に前半は、よくもここまで不快な描写が出来るなぁと思うぐらいでした。それでも不思議とページを捲る手は止まりません!!