紙の本
小説家・佐藤正午の魅力に本気で迫る!!
2010/06/28 12:06
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オクー - この投稿者のレビュー一覧を見る
佐藤正午は少々微妙なポジションにいる作家だ。人気作家というわけ
ではない(たぶん)。しかし、かなりの固定ファンはいる(たぶん)。
熱狂的というのではなく、密かに愛してる?、そんな感じだ。だから、
この本のタイトル「正午派」っていうのはなかなかに正しい。「オレ、
正午派」って言ってみたいんだよなぁ、ファンは。
背帯には「文壇屈指の小説巧者デビュー25周年記念」と書いてあり、
帯には「完全保存版」とか究極の「佐藤正午読本」なんて言葉がおどっ
ている。う〜む、佐藤正午、あの名作「永遠の1/2」から四半世紀も
書き続けてきたのか。この本には小説家以前からの年譜も入ってるので、
彼の軌跡をたどってみるのもなかなか楽しい。しかも、単行本未収録の
原稿や名作「Y」の幻の映画脚本まで収められている。この脚本はなか
なか突っ込みどころが多い。まずいのではなく「Y」という小説を映画
化するのはかなりやっかいなことだよなぁ、と思ってしまう。だから、
ま、幻、なんだろうけど。「またひとつおりこうさんになった」という
佐藤正午が投稿に対して解答者になる企画がやたらとおかしい。この答
えにこそ佐藤正午のすべてがあるような気がする。この人ってある意味、
村上春樹的でもあるのだよなぁ(えっ?)。とにもかくにもファンは必
読、そうでない人は彼の小説を一冊でも読んでからぜひどうぞ。
ブログ「声が聞こえたら、きっと探しに行くから」より
投稿元:
レビューを見る
著者25周年の記念本
月31日として744時間うち723時間を自宅で過ごす
21時間の外出でコンビニ、スーパー、映画、図書館・・・
物書きを生業にするにはこれくらい書きつづけ出版しつづける
となると・・外出時間がそれくらいになるのかなぁ~
投稿元:
レビューを見る
<精緻を極めた文章と綿密に計算され尽くしたストーリーの作品を発表しつづけ、
文壇屈指の小説巧者との呼び名も高い小説家・佐藤正午。
そのデビュー25周年を記念して刊行される究極の書。四半世紀の足跡を
圧倒的なボリュームでたどるとともに、単行本未収録の小説やエッセイ、
さらには幻となった原作映画脚本も完全収録する。
西の果て長崎県佐世保市に居を構え、メディアにもほとんど登場しない小説家の、
デビュー前の秘蔵写真から現在の創作現場や自宅のスナップまで収め、謎多き素顔にも迫る。
手に取れば必ず佐藤正午の作品が読みたくなる――
ファンはもとよりこれから作品に触れるであろう読者にも入門書として最適な、永久保存版「佐藤正午読本」! >
正午派ですもん。買いますとも。
2010.3
投稿元:
レビューを見る
『身の上話』に衝撃を受けて、「この著者、どんな人なんだろう?」と取り寄せた。作家生活25年をまとめた本。エッセイに独特の飄々さが漂う。ヒマな時にパラパラめくる本ってかんじ(こういう読み方をするから断捨離ができないわけたけど。苦笑)。→断捨離本、2013春。
投稿元:
レビューを見る
にまにまというか、もうにやにやしながら熟読。大好きだ!もう一度言います、大好きだ!!
“正気の沙汰ではない”本を出版してくれてありがとう、小学館。いままでたいして小学館すきじゃなかったけど(正午さんは光文社のイメージが強いし)、とても感謝しています。
年表を読んで、読んだことないのいっぱいあるなーと申し訳なくなり、同時に実はむっちゃいろいろ書いてんだなーと驚く。とりあえず既刊文庫はほそぼそ古本で集めよう。
きららに連載してた愛人シリーズと西主任シリーズが面白かった。前者に関しては、日曜日のひとど土曜日のひとが交わす「おはようございます」「ご苦労様」という会話が、後者は飛行機の中で西主任が百人一首をそらんじる場面が、正午さんらしくてわーってなった。笑っていいのかなあこうゆうの、っていう、ちょっとぎりぎりのユーモア。すてきすぎる。西主任シリーズに関しては構成しなおして、長編で出してくれ。
しかしこれを読みながら思ったのだが、佐藤正午はたぶん人間が嫌いなんだと思う。だから小説家になったのではないか。人間がすきだからこそ小説家になるひとがいるのと、ほぼ同じような理由で。二言目にはすぐ「オンナノコの電話番号」とかゆってるけど(一言目には勿論「競輪」)、彼が好きなオンナノコってたぶん、人間ではないオンナノコなんだと思う。だからこそ、あたしはこのひとの文章がすきなんだな。勝手な想像ですけど。
投稿元:
レビューを見る
Webに同タイトルのHPがあるのは知っていたがデビュー25周年記念にこんな自分勝手なムック本を出していたとは…誰か止める奴はいなかったのか!と悪態を付きつつも結構喜々として読み耽ったりするファン垂涎の一冊。
文壇屈指の小説巧者と評される佐藤正午がどのようにして出来上がったのかを時系列を追って知ることができる、ぶっちゃけて言えばそれは才能云々でなく「面白い小説」を書くために際限なく繰り返されるスクラップ&ビルドを極めた職人気質に他ならない。
要するにヒマ人なのであるがそこが何とも愛おしい、好きなんだけど人には勧められない不思議な作家が此処にいる
投稿元:
レビューを見る
エッセイではない…こともないし、ショートショートもある。「ムック本」に納得。
小説家の経歴ってけっこう紆余曲折あって面白いなと思う。