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2019年のワールドカップ日本開催へ向けて、
スポーツライターやら大学の先生やらが、
それぞれの視点からラグビーについて書いている。
玄人というか、コアなラグビーファンの人には、
たぶん異論・反論いろいろあるんだろうなあ、なんて思いながら…、
ラグビーファン歴のまだ浅い僕にはわりと面白く読めたこの本。
内容は以下のとおりである。
第1章 2019年W杯ベスト8を目指して -求められる強化体系の変革 直江光信
第2章 勝利への設計図 -早慶に見る大学ラグビーの現在 渋谷淳
第3章 ジョン・カーワンの先へ -ぼくらがジャパンを応援するために 梅本洋一
第4章 日本ラグビーの精髄を求めて -元日本代表主将・横井章氏に聞く 生島淳
第5章 トップリーグ、そしてワールドカップ 橋本謙太郎
第6章 テン・イヤー・アフター -びびるな、ワールド・カップなんて怖くない 中尾亘孝
第7章 なぜフランス人はかくもラグビーが好きなのか? -ふたつの神話をめぐって 木村安寿
第8章 ゲバ -セピア色の風景ではなく 時見宗和
僕はそもそも秩父宮で大学ラグビー(確か早慶戦)を見たことがきっかけで、
ラグビーが好きになった。それも早稲田ファンに。
なので、まず大学ラグビーを観戦にちょくちょく秩父宮に行くようになった。
清宮監督時代の強い早稲田を見るのは気分がスカッとしたし、
バックスの展開の美しさに目を奪われた。
そこから今度はトップリーグの世界をのぞきはじめた。
最初はそれほど興味がわかなかった。
なぜなら知っている選手がいないから。
興味をもちはじめたのは、僕が観に行っていた大学ラグビーの選手たちが、
トップリーグの場で活躍しはじめてからである。
早稲田ファンということもあって、早稲田の選手が多く所属しているチーム、
サントリーサンゴリアスのファンになった。
そして、秩父宮にトップリーグの試合も観に行くようになる。
そうこうしているうちに、代表戦も観に行くようになった。
ラグビーイベントにもいくつか参加して、
生のジョン・カーワンに感激してみたりして。
こうなってくると、やっぱりワールドカップが観たくなる。
そして世界のラグビーも観てみたい、知りたいと思うようになってきた。
と、とりあえず現場に足を運んで観戦すると、これほど面白いスポーツないと思うはずだ。
それも絶対秩父宮で観るといいと思う。
少しずつでも観客が増えて、盛り上がるといいんだけどなあ、
そんなことを思いながらこの本を読んでいた。
第6章は来る日本開催のワールドカップに向けて、
日本代表、観客の動員、日本のラグビー人気などについて触れられている。
サッカーとの比較などもあってなかなか興味深かった。
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内容としては、2019年自国ワールドカップ開催も決まり、そこでベスト8に入るためにはどうすればいいかが主題となっている。
ベスト8に入るための検証
日本で行われた第2回ジュニアワールドカップ(U20のワールドカップ)の振り返り
日本のプレイスタイルの確立について
この辺りが本の大半を占めている。
また、前作に続いてフランス人のラグビー好きの章もある。
さてこの本のテーマが壮大すぎることもあり、全ては網羅できないにしろポイントだけでもまとめていきたい。
フル代表の縮小版とも言える自国開催のJWCにおける日本代表の成績は、16チーム中15位。
サモア、スコットランド、イタリアと競ったものの、イングランドには大敗し、唯一の勝利をウルグアイから挙げた。
競ったというものの、各国の代表チームがどれだけ準備してきたかは怪しい。
ちなみに日本は5次合宿まで開いてこの結果だから、チームとしては相当完成されていた方であろう。
2019年、この世代の選手はフル代表でも充分活躍していてもおかしくない年齢である。
その世代が惨敗している。
誰が考えてもベスト8に入るには大ピンチだろう。
しかしなんだか急ピッチで進まないのが日本のラグビー界。
ゆっくりとJKに全てを預けている。
JKは王道のラグビースキルを選手に授け、その成果は表れている。
確かにベースアップはできており、ティアー2の国相手には勝てるようになってきた。
しかし、それはあくまで横綱たちと同じ戦法を体力的に劣っている力士が取る戦法であり、弱者の戦法ではない。
もちろんオリジナリティーのある戦法でもない。
そこで古い時代、1960年代後半から1970年代、日本が世界を驚かせた時代のノウハウを横井章氏に聞きにいく。
横井章氏は、1968年ジャパンがジュニア・オールブラックスに勝った時のメンバー。
その後大西ジャパンの主将を務める。
現役引退後はしばらくラグビーから離れていたが、日本ラグビーの伝統が消えかかっていることを危惧して、様々なチームにアドバイスを送っている。
最近では京都成章高校(ヤマハの矢富が教えを受けている)などが結果を出している。
ブログもあります!かなりおもしろい!
横井章の魅力あるラグビー
この人のインタビューがとにかく多岐にわたっておもしろい。
サッカーの岡田代表監督も使おうとした「接近・連続・展開」(本当の順番は、展開・接近・連続らしい)の説明から、芝生のグラウンドの必要性から、
他の競技にたしなんだ方がいいことや、
低い姿勢と瞬間ダッシュの重要性、
ラグビー協会が率先してトップのコーチと選手に統一の意識を持たせる必要性、
現場の重要性。
書けばキリがないほどで、全部コピペしたいぐらいの内容だ。
とにかくこのインタビューだけでもこの本は一読の価値が��る。
一番の真髄はやはり接近・連続・展開の部分だろう。
唱えた大西監督が残念ながら死去してしまったため、このフレーズはよく聞くものの、正確に理解している人間は少ない。
しかしそこに日本の活路がある。
世界と同じ道を歩むだけでは限界がある。
その上に日本ならではのアイデンティティーが欲しい。
それこそが唯一ベスト8を可能にする道だと。
それがこの本のおおよその結論である。
その他は問題視されている大学ラグビーの位置づけ。
世界的に大学ラグビーが盛り上がっているのは日本だけであり、強化の足かせになっているものの、人気があるが故にメスを入れにくい。
ここでハイパフォーマンスマネージャーに就任したばかりの岩淵氏のインタビューもあり、さすがに世界的な視野と日本のラグビーの良さを肌で知るだけに、含蓄のある言葉と共に悩みもみえてくる。
ラグビー協会の組織が透明性に欠けるだけに、彼にどれだけの責任と力が与えられているのかが不明な点で、ラグビーファンは皆不安だろう。
大学生のトップリーグチームへのインターンや全カテゴリーの監督が一堂に会して日本のラグビーを語る会議の設置などいいアイディアが飛び出してきたが、果たしてその後も実現、または継続しているのかは残念ながらよくわからない。
時間がないというのに。
さて、これが2009年の段階の日本ラグビーの現在地。
あっという間に2011年のラグビーワールドカップ最終戦まで来てしまったが、オリジナリティーはジャパンからは観られない。
外人ばかりが増えたという批判も多い。
しかし基礎なくしては応用がないように、JKがベースのレベルアップをしたからこそ2019年にベスト8に入れたと言えるように、とにかく明日は勝って欲しい。
いきなり2勝にステップアップさせてもらえる程世界は甘くない。
でも間違った形で勝利してその後迷走するより、地味でも基礎に則って確実に勝利をすることで、2019年へ盛り上がれるなら、それもいいではないか。
とにかく1勝。
まずは1勝。
そしてその先はとにかく厳しく迅速に更なる改革を求めていきたい。
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この本で初めて元日本代表主将SH横井章氏を知り、彼の持論に同意した。日本ラグビーのあるべき姿は傾聴に値する。
「横井章の魅力あるラグビー」
http://rugbycreator.blog103.fc2.com/
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「日本ラグビー狂会」編集の『日本ラグビー世界への始動』を読みました。
ラグビー関係の作品は、9月に読んだ「永田洋光」の『勝つことのみが善である - 宿澤広朗 全戦全勝の哲学』以来ですね。
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祝!ラグビーワールドカップ2019年日本開催決定!
今回の狂会本は、ワールドカップ開催決定を踏まえて、日本代表強化、2011年から2019年までのワールドカップ3大会の未来図を検証。
そのほか、多角的内容で日本ラグビーの現在をレポート。
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以前、夢中になって読んだ「日本ラグビー狂会」の作品ですが、ここ数年(十数年?)は読んでなくて、久しぶりでしたね。
以下の構成で、2019年のワールドカップ日本大会に向けて、日本ラグビーを検証してあり、興味深く読めました。
■プロローグ―2019のオープニングゲーム
■第1章 二〇一九年W杯ベスト8を目指して ― 求められる強化体系の変革
■第2章 勝利への設計図 ― 早慶に見る大学ラグビーの現在
■第3章 ジョン・カーワンの先へ ― ぼくらがジャパンを応援するために
■第4章 日本ラグビーの精髄を求めて ― 元日本代表主将・横井章氏に聞く
■第5章 トップリーグ、そしてワールドカップ
■第6章 テン・イヤーズ・アフター ― びびるな、ワールド・カップなんて怖くない
■第7章 なぜフランス人はかくもラグビーが好きなのか? ― ふたつの神話をめぐって
■第8章 ゲバ―セピア色の風景ではなく
■資料編
相変わらず「日本ラグビー狂会」モノの作品は愉しいですね… ラグビー好きにとっては堪らない、、、
特に『第3章 ジョン・カーワンの先へ ― ぼくらがジャパンを応援するために』と『第4章 日本ラグビーの精髄を求めて ― 元日本代表主将・横井章氏に聞く』は興味深い内容でした。
日本独自のスタイル、、、
「大西鉄之祐」が目指したようなオリジナルのスタイルが実現できるとイイなぁ… と感じましたね。
「エディ・ジョーンズ」には期待していたのですがねぇ… 早く完治して戻ってきて欲しいものです。
そして、、、
相変わらず「中尾宣孝」の書く文章は面白いですね… 協会に遠慮しないストレートな意見には、いつも感心させられます。
これを読むだけでも、買った価値がありますね。
2019年のワールドカップ日本大会まで、あと6年… 楽しみだけど、不安も大きいなぁ。