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紙の本

「引き下げデモクラシー」を超えて

2010/03/27 23:19

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:相如 - この投稿者のレビュー一覧を見る

本書のなかで丸山眞男の言葉を借りて表現しているように、現代日本の政治風景を一言で言い表せば「引き下げデモクラシー」ということになるだろう。

 世論調査などに示されているように、50代以上の高齢層が中心となっている日本の世論は、全体として北欧的な「福祉国家」を望ましいと考えている。ところが、「子供手当て」のような分配政策に対しては「バラマキ」と批判的であり、むしろ「事業仕分け」のような歳出削減政策に強い支持を与えている。そして、旧来のような公共事業政治の受益者だけではなく、中央官僚から一般公務員、そしてしばしば大企業の労働組合や正社員層までが、「既得権益層」として批判されるようになっている。

 このように、今や公共財の分配をいかに増やしていくかではなく、「既得権」を削減・解体する強力なリーダーシップを発揮できているか否かが、政党と政治家の評価や選挙結果に直結するようになっていると言ってもよい。本書の表現を借りれば、「ここに見られるのはバランスのとれた検証ではなく、やみくもに特権や保護を叩き、これを引き下げることで政治的支持を拡げようとする言説」であり(28頁)、それは結果的に、日本の世論が求めているはずの、福祉国家のための信頼や連帯の基盤をますます掘り崩すものになっている。

 本書は、こうした袋小路を突破する道として、「アクティベーション」と「利用者民主主義」を提起している。アクティベーションというのは、雇用と社会保障をこれまで以上に連携させることで、労働を通じた社会参加を促進することであり、利用者民主主義とは、あるべき公共サービスについて、利用者が専門家の助けをかりながら主体的に決定していくことである。本書では、近年流行しつつある「ベーシックインカム」論には批判的であるが、それは著者の最終的な目標が単なる生存保障ではなく、「排除しない社会」の構築にあるからと理解することができる。

 「排除しない社会」とは、労働環境や公共サービスの質をめぐる問題の決定に、労働者・利用者などの当事者が主体的に参加することで、人々の疎外感や社会的亀裂を解消していくことを意味する。そして、そうした社会参加の道筋を抜きにして、健全かつ持続的な社会保障制度の構築と、そのための財源に関する税負担の政治的合意など有り得ないという著者の問題意識には、大いに共感できるところがある。

 労働を通じた社会参加という本書の提言は、ある意味で古典的とも言える福祉国家の理念の再確認であり、「既得権益層」へのルサンチマンを抱えるある種の人たちにとって、そして「ベーシックインカム」のような鮮やかな解決法を好む一部の「頭のいい」人たちにとっては、非常に退屈なものに映るかもしれない。実際、現在の日本の世論は、本書の愚直なまでの提言に真摯に耳を傾けるだけの心理的な余裕を失っているように見える。

 しかし本書の最大のよさは、「引き下げデモクラシー」を求める世論に真摯に向き合いながら、そうした世論の背景にある不安や不信感を手当てすべく、慎重に社会保障のあるべき姿を手繰り寄せようとしている点にある。社会保障というものが、「ベーシックインカム」のような未知の世界からではなく、あくまで現実の日本社会に生きる人々の困難に寄り添いながら構想されるべきであるという、本書のスタンスがより多くの人に共有されることを願ってやまない。

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