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紙の本
写真はたしかにショッキング
2009/12/18 13:38
12人中、11人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:mikimaru - この投稿者のレビュー一覧を見る
見た目が寂しい、量が少なすぎる、とりあわせがおかしいなど、あげればきりのないほど「つっこみどころ満載」の写真がならぶ。
味噌ラーメンの出てくる給食が、なんと多いこと。紹介例のうち4回くらい姿を見た気がする。そしてそのとりあわせは「手作りあんドーナツ、くだもの、牛乳」であったり「やきいも、みかんゼリー、牛乳」であったり。野菜や、さっぱりヘルシーな雰囲気のものは影も形もない。
また本全体に共通することとして、何年生向けの分量なのかわからない写真ばかりだが(どこかに書いてあったのだろうか?)、小学校の高学年ならば食べた直後にお腹が空きそうなものもある。たとえば「手作り肉まん(ひとつ)、かにたまスープ、くだもの(写真ではバナナ半分)、牛乳」やら、「五目やきそば、たっぷりコーンフライ、みたらし団子(3粒)、牛乳」。
実際にこどもたちがこういったものを食べているのかと思うと気の毒になるのは事実だが、そのあたりは実情をご存知の、現地の保護者の方々がどういった意見をお持ちかで変わっていくだろう。
わたしの立場では、これらが「たまたま変な給食の日なのに著者に記録をとられた」のかどうかはわからないが、狙い撃ちしたとしても奇妙すぎるので、普段も多少はおかしいのだろうと控えめに推測するにとどめておく。
ただ、写真の事例紹介でもすでにしつこいほど著者の持論が強調されており(例:米飯ならばこれほど変なとりあわせにはならないはず、パンは砂糖と油分が多いなど)、さすが著者だと苦笑してしまった。著作を読むのはこれが初めてだが、以前から米飯推進の活動は耳にしていた。
この本は写真がショッキングであり、テレビのワイドショーなどでも数回とりあげられているようで、何を隠そうわたしもそういったテレビを見た知人から噂を聞いたのだが、もう少し別の場所に目的を持った調査であったなら、読みごたえがあったように感じる。
この乱れた学校給食をどうよくするかではなく「すべてを米飯に」と訴えていく姿勢には流れとしての強引さが否めず、見せたい(訴えたい)ところだけを強調するかのような手法には、うなずけない部分もある。
見せたいところを強調というのは、たとえばだが、米飯中心の食生活にもどったら生活習慣病も非行もなくなってよい社会になるという持論をお持ちの著者は、栄養学を修めていらっしゃるようなので当然ご存知のはずのことだ。米飯などの炭水化物をたっぷり摂ったら、状況によっては糖尿になりやすくなる。その危険については、触れていない。炭水化物はビタミンBの助けがなければ脂肪になりやすいのだ。
大昔の日本人が現在ほど糖尿病が顕在化していなかったとしても、潜在的には多かったし、ちょっとした引き金で発症した。昔の人は現在より労働量が多かったのだ。摂取カロリーの分だけ働いていた。家電の発達や労働の変化により、米飯たっぷりでおかず少なめの食生活にもどったとしても、糖尿病や生活習慣病のリスクが減ることになるのだろうか。
また、日本で米飯中心に暮らしてきた人々がハワイに移民として出かけ糖尿病を発病したと聞いたことがあるが、米飯たっぷりでおかずが洋風(肉類多め)ならば、そうなるリスクは高いはず。何でも米飯ならよいというわけではないし、米飯少なめで健康的なおかずを少しずつ、という、より控えめな主張が現実に即しているように思う。
この答えのひとつとして、白米ではなく玄米を考えていらっしゃる気配が感じられたが…。何もかもいいことづくめではないと理解を促した上で、子供たちのおやつにおにぎりを、と書いていただけると安心して読める気がした。
紙の本
福笑い献立
2022/01/27 18:11
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:6EQUJ5 - この投稿者のレビュー一覧を見る
笑えるけど心配してしまう、奇妙な給食のオンパレード。著者の言う「福笑い」のように散らばってしまった献立に思えてしまいます。小さい頃は私も食が細く、給食の時間が苦痛でした。近年はもっと悪化しているのでは?
紙の本
給食って…。変な取り合わせと、コメントに思わず笑ってしまう。
2010/09/15 23:38
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:うっちー - この投稿者のレビュー一覧を見る
笑える。ジョークかと思えるほど、ひどい取り合わせ。メニューから忠実に再現しているということで、一品一品は、実際よりおいしそうに作っているだけに、メニュー構成の悪さが際立つ。「食育」の名が泣く。子どもたちが、こういう取り合わせをおかしいと思わなくなったら、だれが責任をとるのだろう。
食は文化だ。ちなみに、『韓国の子どもたち』(学研)という本に、韓国の小学校給食の1週間の献立が載っている。たとえば、月曜日(アワご飯、めんたいのからいスープ、魚のフライ、干しカワハギのいため物、キムチ)、火曜日(キビご飯、おでん汁、牛肉のしょうゆ煮、ゴマの葉のつけ物、キムチ)など。主食は、健康的な穀物入りご飯で、主菜、副菜、汁もの、そして、毎日「キムチ」があるなど、基本的に伝統的な韓国食をおさえている様子だった。これこそ、自国の文化を大切にした給食だろう。
転勤等でうちの子どもは、何度か転校している。おかげで、自治体で随分給食が違うことは実感している。世田谷区は、よかった。西宮市もまあまあ。問題は…。
実際、「誰がこんな献立を考えたんだ?!」とか「なぜ、このメニューでパン?」と思うのはしばしば。もちろん、自治体ごとに給食代が随分違うので、(充実しているところは、やはり高い)同列には比べられないが、栄養士のセンスや考え方の問題は大きいだろう。
作者は、給食をご飯食に変えたら、子どもについてのすべての問題が解決したかのように書いているので、それはどうだろう、と疑問だが、共感したのは、子どもに迎合せず、子どもにとって本当にいいと思うことをやるべきだと書いているところだ。“給食について、経験の浅い子どもたちにアンケートなんかしたら、焼きそばやハンバーガーみたいなのがいいと書くに決まっている。アンケートなんかしなくていい”という考え方には、その通りだと思った。
紙の本
著者の理想論ばかりが全てではない
2019/07/18 13:31
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:うむうむ - この投稿者のレビュー一覧を見る
掲載されている写真は実際に出されていた給食そのものではなく、再現したものなので、いくらか大袈裟に再現されているのかもしれません。それを差し引いても「こんな給食あるのか」と驚きであり、面白い本だとは思います。
しかし、毎日こういう給食を出しているわけでなく、こういう給食の日もあるということなのでは。裕福でも給食費を払うことを拒否する家があるそうですし、限られたギリギリの予算でやっているのですから、そんなに理想的な給食ばかり毎日は出せない現実もあるのでは。
嫌いな給食をむりやり口の中に押し込まれてトラウマになってっしまった私としては、この本のようなメニューの方が楽しくて良かった。著者の理想論ばかりが全てではないと思います。
紙の本
現代人の味覚が学校で壊される
2012/05/23 22:34
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:alfa1750 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「食育」が叫ばれる今日、その教育現場である学校給食の現状が暴かれる。もちろん、本書に出てくるメニューはかなり特殊な例かもしれないが、その片鱗は、どこの学校の給食にも一端を見ることができるだろう。お子さんの学校の給食メニューを見れば愕然となること必至。当たり前のようにすり込まれてきた「ごはんに牛乳」、「ソフトメンとパン」、「スナック菓子」給食など…
給食=「懐かしい味覚の思い出」が実は、現代人の味覚の混乱の原因だったと気づかされる。
岩村暢子氏の「家族の勝手でしょ!」で出てくる家庭の食卓の理由がココにあった。
また、コミック「玄米せんせいの弁当箱8」(魚戸おさむ)でも取り上げられている。
食育に携わる方、子どもの食環境に関わる方、必見の一冊。