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戦中戦後に木の根っこだの皮だの何でもとにかく無我夢中で口にしていた苦しい時代の話を読んでいると、ていねいな暮らしだか何かしらんけど、「生きることは食べること」だの全くもって気取った人たちのきれいごとに過ぎないということを思い知らされました。各エッセイが時代順に並んでいるので、なおさら後半の話を贅沢な欲求に感じられます。故野際陽子さんのお話も少し出てきたので、しんみりとしながら読みました。
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各界の著名人66人が綴っている昭和の時代の食卓風景。同じ時代を生きてきたボクとしても、大変懐かしく、一気に読んでしまった。
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【本の内容】
誰にでも忘れられない味がある。
そしてその味は、懐かしい風景を蘇らせてくれる。
食糧事情が悪化した戦時中、給料をはたいて鶏の唐揚げをむさぼった幸福感。
輸送船の甲板で口にした大和煮の缶詰のうまさ。
戦後、洋菓子店に並ぶケーキへの憧れ。
台風取材の合間に食べた炊出しのおにぎり。
時々無性に恋しくなる母のいなりずし…。
66人の食の記憶で紡がれる昭和史。
[ 目次 ]
「食うこと」が大変な時代があった―戦前・戦中の記憶から(昭和元年~二十年)(ツンと鼻をつく刺激臭(井出孫六(作家))
塩鮭と粕汁(常盤新平(作家)) ほか)
復興を支えたそれぞれの食事情―敗戦後の困難の中で(昭和二十年~三十年)(黄色い夏ミカン(白井佳夫(映画評論家))
運命のおでん(やなせたかし(漫画家・絵本作家)) ほか)
「生活」が変わったあの時期に…―高度経済成長前後を挟んで(昭和三十年~四十年)(卵とマーガリンの頃(村田喜代子(作家))
パンにバター(赤瀬川原平(作家・画家)) ほか)
豊かな国の「表」と「裏」で―「食うには困らぬ時代」だったが(昭和四十年~六十四年)(池袋の原宿ドッグ(泉麻人(コラムニスト))
はじめはフランスパン(高橋洋子(作家・女優)) ほか)
忘れられない“異文化の味”―食の世界の広がりを知って(サゴ椰子の味(大石芳野(写真家))
カイバル峠の羊肉バーベキュー(吉田ルイ子(フォトジャーナリスト)) ほか)
[ POP ]
シャーベット、トウモロコシ、夏ミカン、おでん、原宿ドッグ。
文章の手練れ66人が、思い入れの強い食べ物を語ることで、実に鮮やかに一片の人生が浮かび上がる。
作家の中野孝次は、終戦直後、貪るように食べた唐揚げを思い出し〈一ヶ月分の給料はそれで消えるのだが、この幸福感にくらべたら少しも惜しいと思わなかった〉と昔日を偲(しの)ぶ。
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]