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ライ麦畑でつかまえて みんなのレビュー

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みんなのレビュー576件

みんなの評価3.7

評価内訳

561 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

大人になって再会したホールデンは…

2003/05/10 08:05

8人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ひろぐう - この投稿者のレビュー一覧を見る

 この本を読んだのは19歳の時だったと思います。本好きで、人づきあいがヘタで、心の傷と劣等感を抱えていて、大人になることへの漠然とした不安をもっていた。そんな自分にとって、世の権威や大人の欺瞞や「りっぱ」なことを、「インチキ」だと自己の感性のままにことごとく断罪してゆくホールデンに共感し、同時に彼同様、そういう自分は生産的・創造的なことは何もしていない(できない)のだということに気づかされて、やりきれないような複雑な思いをしたことを覚えています。
 それから十何年か経って、いま読み返してみるとどう感じるだろう、というのはずっと思ってはいたのですが、これまで手が伸びませんでした。自分が「インチキ」な「大人」になってしまったことに気づかせられることが心苦しいとか、そういうことではありません。「ライ麦畑で遊ぶ子供たちが崖から転がり落ちそうになったら、その子をつかまえる──ライ麦畑のつかまえ役(キャッチャー・イン・ザ・ライ)になりたい」というような部分的な表現が心に残っていて、あまりにもナイーブでイノセントで、なんとなく読むのが気恥ずかしいようなイメージが自分の中で出来上がっていたからです。
 今度、村上春樹新訳が話題になっているということで読み返してみて、まず思ったのは、小説として実に良く出来ている話だな、ということでした。特にラスト近くでホールデンが好意を持っていたアントリーニ先生に会いに行く場面。人間や世の中の愚劣さをあげつらうばかりで、自身は堕落していこうとしていることを悟らせようとする先生の言葉は、しんみりとしてしまうくらい説得力があるのですが、その先生が‥‥! という場面は、そんじょそこらのスリラーなんかよりも強烈な「どんでん返し」で、サリンジャーは少年時代にそのようなことを実際に体験したのではないかと思えるほどリアルです。ホールデンの言動も、ある意味「こちら側」の人間としてながめてみると、もはや当り前の常識として日ごろ抑圧していた不条理をケレン味なく暴いてくれて、昔読んだとき以上に痛快でした。彼が嫌悪したり好意を持ったりする人々も、単なる敵役や脇役ではなくて、ホールデンの複雑な自己が投影・呼応して、生き生きとしたハーモニーを奏でています。
 ただ、ホールデンの分身ともいえる作者自身が、世捨て人のように世間から引きこもって生きるしかなかったということが皮肉というか、問題なのかもしれません。同じくイノセント文学の傑作である『草の竪琴』を書いたカポーティのその後とは対照的です。サリンジャーがこれを書いたことでどのような葛藤があったのか知りたい気がします。それを思うと、いま社会問題になっている「ひきこもり」も、多くはホールデンのような人たちなのかもしれません。そして、そういう自分のことがわかっていてどうすることもできないというのが、彼らの最大の苦しみなのではないでしょうか‥‥。(→ホームページ)

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紙の本

大人になりきれない男子

2009/03/17 20:02

7人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:kumataro - この投稿者のレビュー一覧を見る

ライ麦畑でつかまえて J.D.サリンジャー 白水ブックス

 3分の2ほどを読み終えました。まだ途中ですが感想を書き始めます。1984年1刷で、この本は2006年102刷なのでロングセラーです。どこに魅力があるのだろう。そもそもライ麦とは何だろう?
 パンやお酒の原料のようです。黒パンになる。原題を見るとCatcher in the rye だからライ麦の中で捕まえる人になる。何を捕まえるのだろう。180ページに歌のタイトルとある。どんな歌だろう。だれかさんとだれかさんが麦畑だろうか。あれはスコットランド民謡の故郷の空の替え歌か。(結局女性を捕まえるようです)
 出だしは軽快な文章で気持ちがいい。バック・トュー・ザ・フューチャーのシーンを思い浮かべる。ただ主人公には魅力を感じない。ほろにがい青春記か。有名作家の弟であることに対する劣等感か。主人公はおとなしい。
 主人公は誰かに話しかけている。いったい誰に話しかけているのだろう。病人の空想だろうか。家出の記録だろうか。話し言葉が続く。誰に話しかけているのだろう。過去の僕から未来の僕への手紙のような気がしてきました。
 主人公ホールディンは家族のなかの落ちこぼれです。家出してニューヨークに行って、同地の汚いところを延々と語り続ける。主人公の言動に嫌気がさしてくる。世の中を斜めに見るのであれば、行動をやめればいい。この少年は、お金はありますが孤独です。著者の弟の話だろうか。(つづく)
 読み終えました。あっけなかったかな。とりあえずその後の感想を書きます。主人公ホールディンは狭い世界で、もがいている。この地球上に日本という国があることも知らずに狭い世界をこの世のすべてとして苦闘している。私は主人公がアメリカのペンシルヴェニア州からニューヨークへ家出したものと思い込んでいましたが、実際は違っていて、自宅がニューヨーク、高校の寄宿舎からニューヨークへ戻ったという設定でした。主人公は17歳ぐらいだろうか。友達がいない人である。故ダイアナ妃の息子ふたりを思い出した。ウィリアム、ヘンリー。ヘンリー王子の素行に似ている。飲酒、ドラッグ、女。迷える少年である。白い心が黒い現実に染まって灰色になれないわびしさがただよう。

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紙の本

ライ麦畑での出逢い

2003/05/05 21:36

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:楊耽 - この投稿者のレビュー一覧を見る

主人公で語り部のホールデン少年。彼の両親と妹は、大都会ニューヨークでエレベーター・ボーイ付きの高層マンションに住んでいます。作中ホールデンはアイビーリーグに通う学生の気取ったファッションを批判していますが、彼もまたアイビーリーグへの進学を期待される青年です。

アメリカでは、男の子に強さを求める風潮があるそうですね。僕は、高校の英語の授業で、その強さを「独立独歩である。」と訳した記憶があります。強く、独り立ちして、社会の一員となるように強迫観念が埋め込まれていたであろうホールデンは、しかし学業を怠け、放校になります。
矛盾や欺瞞に満ちた大人の世界を憎み、子供の正直で単純な世界を愛す。僕は、この小説を単純な拒絶と憧憬として読みました。誰も子供のままではいられません。いずれは職業を持ち社会の一員になります。だからこそ生まれる憧憬。
ホールデン自身も、自分が既に子供ではなく、大人の世界に足を踏み入れていることを自覚しています。だからこそ、客観的に子供の正直さを愛するのだと思います。

大人になることを拒めば、どこまでも脱落して行くのみ。あるいは、ホールデンが夢みるように、都市を離れ、隠遁生活を送ることも可能であるかも知れません。でも、彼は引き留められます。彼が愛する子供、妹によって。

彼が「神に許されるなら」と前置きをして語る夢想。それが、勘違いであることを指摘したのも妹でした。
隠遁への逃亡も引き留められた彼は、その後、療養生活を強いられ、この小説を書いているわけです。物語は、妹に引き留められた時点で終わり、療養生活のあとには、再び学業へ戻ることを記しています。
三日間のうちに、彼に起こった変化をどう読むかが、この小説の味わいになると思いますが、僕は、それを「大人になるのも悪くない」と思うようになった変化ではないかと思います。
ライ麦畑は、捕まえるところではなくて、恋人と出会うところ。たとえ、矛盾や欺瞞に満ちていても……ホールデンの言うところの「インチキ」やうれしくなくても「お目にかかれてうれしかった」と言わなければならなくても、愛する家族や恋人を自分で見つけられるようになるのだ。妹にそう、教わったところで、この物語が終わり、その後の確信なんか、もちろんないのですけれども、大人になる覚悟が定まった。
僕は、こんなふうに読みました。

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紙の本

私的ホールデン伝<1964

2003/05/03 12:32

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:栗山光司 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 日本の16歳のホールデン達は60年の夏休みが始まる前に街に繰り出した。私が転入した高校でも、400人程が参加したと云う。御堂筋を埋め尽くした60年安保を【祭りの終わり】として、地方から転校した私は、ある羨ましさを持って、その物語に聞き耳を立てた。だが、そのような夏休みを挟んだズレは取り戻すことは出来ず、受験勉強に突入する。

 63年、柴田翔の『されどわれらが日々』が発表され、最早、60年は終わったような感じがして、アイビールック、フーテンが街を徘徊し、東京オリンピックと、私自身も街も大きく変ろうとしていた。寺山修司の『家出のすすめ』もこの頃である。少年達は故郷を捨て始めた。

 1964年、野崎孝訳のホールデン少年が来日する。
 カリフォルニアのバークレー校を中心としたスチューデント・パワーも一緒にやってくる。だが、20歳になった私は街で遊び呆けるインチキ野郎であった。そんな野郎がカール・ルースと同様、ホールデン君とマジに向き合わないのは当然である。
 
 出版ダイジェスト3/11号(村上春樹の新訳に解説が加えられなかった代りに、柴田元幸と春樹の対談と、角田光代の『ライ麦〜』を巡ってのエッセイが収録)によると、角田光代は15歳でホールデンに出会い、この本は成長期における通過儀礼、期間限定のバイブルであって、かような洗礼を受けず(パンクを聴かず、ロックを聴かず、もしくはホールデンに出会わず)成長しきってしまった人を私は何となく信用しないと記すが、1964年、成人を迎えた私の行きつけのジャズ喫茶ではサルトル、ボーボワールであって、サリンジャーなんて誰も語らなかった。
 だが、この頃、ジャズは衰退し、ボブ・ディラン、ローリング・ストーンズとロックが街にやって来て、15歳の角田さんの弁になるのである。

 『ライ麦〜』がアンテナに引っかかったのは、ふらりと、横浜に来て本屋の店員をやり、定番売筋商品としてこの本を売り始めてからである。勝手な先入観」を作り上げていた。大体、不思議なもので、本屋の店員は購入する本とお客様が一緒にインプットされ、あの人が買ったのだから、こんな本だろうと、読む前に概略、判断を下してしまう。私に縁のない本と見切っていた。新しい世界の文学の卷として白水社の白っぽい装丁をありありと、思い出すことは出来るが、その画像だけで、読んだ気になっていた。気の利いたPOPも書いたと思う。

 ちゃんと、読んだのは50歳過ぎて、病に伏してからである。勘違いもいいとこ、何故か【癒しの文学】と思っていたのである。とても、感じの良い女の子が購入していた記憶があるからであろうか。私の独り善がりの情報で『ライ麦〜』を麦わら帽の爽やかな少年文学と考えていたのである。
 無理もなかった。東京に来て、私がしょっちゅう行き来する本郷道りに面して、[ライ麦畑でつかまえて]という名の喫茶店が、そのニューエイジ的インテリアでお客を誘っていたのだから。同名の喫茶店を別の場所でも見たような気がする。そんなこんなで、横浜時代の勝手な情報と違和感はなかった。

 始めて、本の中で出会ったホールデン君は全く、私のキャラクター君と違っていた。だが、20歳の頃では気恥ずかしくて読むことは出来なかっただろうなあと思う。それは、又、中上健次は読めても、村上春樹は読めなかった私の20,30代が40,50過ぎると、村上春樹が読めるようになった身体受容の変化としか言い様のない、極めて生理的なものに近い。

 だからなのか、東京を去る挨拶状に『ライ麦〜』を引用した。これから、《ライ麦畑のつかまえ役》をやりたいと、臆面もなく書くことが出来た。アントリーニ先生に知らぬ間になっている自分を発見する。
 「…こいつは教育じゃあない。歴史だよ。詩だよ」
 この本は作者の饒舌な独白であり、詩である。

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軽やかなステップと倒れないバランス

2002/04/21 03:00

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:キイスミアキ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 
 高校生の主人公から《君》に向けて語られる、とある帰郷の物語。
 
 
 主人公の口癖は「十年」。何事かが起こると、すぐにも十年が経ってしまう。彼には幼くして亡くなった弟がいる。他の兄弟には、小説家から脚本家に転身してハリウッドに去ってしまった兄がいる。彼は短編の名手ということで、どこか同じく短編の名手でありハリウッドでも活躍した作家、ロアルド・ダールを思わせるところがある。聡明な小学生の妹フィービーもいる。あまり多くを語られる存在ではないが、両親もいる。
 
 
 16才の主人公は、何度目かの退学を命じられ、クリスマス休暇を前にして寮から自宅へと戻る。その始終が一人称で《君》に向けて語られたものが『ライ麦畑でつかまえて』だ。
 
 少年の一人称で書かれた本作は、白い紙に黒いインクの染みというだけの本からは想像も出来ないほどの彩りに溢れた鮮烈な印象を読者に与える、希有な小説。白と黒しか目にしてないはずなのに、主人公が目にしたものや彼自身が身にまとっている衣服、友人の顔にできているニキビの色、公園で遊ぶ子どもたちの彩りまでがはっきりと見えてくる。ここまで美しい形をした小説には、なかなか出会えない。
 
 ただテンポが良く、軽く退廃的でエキセントリックな反抗が繰り返されていれば、社会の無情や矛盾を感じて悲壮感を少年であるにも関わらず抱いていれば、それがサリンジャーのような文章になるとは限らない。確かに、シンプルで美しい形は真似をして描きたくなるもの。円があれば、人は円を描くだろう。自分にも出来ると錯覚してしまうからだ。
 
 しかし、結果としてその挑戦は失敗に終わってしまう。オリジナルの円を描くことはもう出来ない。サリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』というシンプルで美しい形が既に描かれてしまっている。最初の円だけがオリジナルであり、その後に続くものは似ても非なるもの。複製か模倣として存在するが、厳密にまったく別のものとなることは出来ない。
 
 
 作品の中で主人公が繰り返し行っているのは、人間と出会い彼らに対してなんらかの感想を心中で述べていくこと。たったこれだけのことなのに、他人に関する感想が主人公自身の魅力を伝えるに余りある、絶大な効果を誇っている。主人公の持っている感覚が面白いということが伝わってくる。
 
 まわりからは変わり者と評価されている少年だが、バランスのとれた精神を持っていて、自分自身に対しても馬鹿だと言い切るけれど、頭の方は素晴らしく聡明で、他の登場人物たちの誰よりもいい。売春婦や夜遊びをしている三人組の若い女性、何人かのタクシードライバーなど、彼は出会った人たちのことを思いだすのだが、特徴をよく捉えて記憶している。人や出来事を感覚的に捉える能力に長けているのだ。
 
 
 16才の主人公は、他人が気付かないことに気付いてしまう役割を担わされている。それ故に苦しみ、社会の不備を見つけだし、自分にも不備があるのだと考えて自分を責める。それでも、他人と関わろうとする彼は、他者に対して優しい。だが、自分に対しては優しくない。
 
 敏感に何かを感じ取ってしまうことは、その人の罪ではない。わかってしまったことによって社会に居場所をなくしてしまうことは、その人が責められるべきことではなく、社会が責められるべき事柄。だが、社会には敏感ではない人の方が多く、彼らのために構成されている部分が余りにも多い。
 
 本作は、恰好いい小説だ。その格好良さが、きっと若い読者の気持ちを掴んで離さず、爽快さで憂鬱を吹き飛ばしてくれるのだろう。ただ描かれた、主人公のとある一日を知ると、周囲から敏感だと言われ続けている友人のことを思いだしてしまった。その人も本作の主人公のようにとても恰好いい。この作品が持つ格好良さは、すべて主人公の持って生まれたセンスにあるのだろう。
 
 

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少年時代のイノセンスの行方

2001/05/30 03:23

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:東條 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 雨に濡れた回転木馬、妹・フィービーの輝く笑顔にホールデンが救いを見いだすワンシーンは、永遠のイノセンスを切り取って、美しい。
 少年時代の無垢を、繊細でとりとめないおしゃべりに封じ込めた<青春のバイブル>。

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2013/06/26 20:22

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2004/10/12 16:11

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2004/10/30 07:49

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2004/11/01 01:08

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2005/01/15 04:27

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2005/05/14 16:58

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2005/05/25 15:08

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