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こういう本、あってもいいと思います。着想もユニークで、よく調べています。バナナそのものへ情熱がちょっと足りない気がしますが、なぜすべるのか、という疑問への追求はほんものです。ただ、引用の羅列になってしまっている感があり、食傷気味です…。時系列もさかのぼっていきますが、くだっていくほうがよかったのでは、と感じます。
余談ですが、ディケンズ『オリヴァー・ツイスト』に、こんな件があります。
さて実のところは、グリムウィッグ氏も心の奥の奥底では、オリヴァーの様子や態度が稀に見るほど魅力的だと認めたくて仕方がなかったのである。ところが彼は何でも相手の言い分に逆らいたいという性分の男で、特に今はオレンジの皮を見つけて、その気持ちに拍車をかけられたところなのだった。だから心の中で、その子がかわいらしい子だろうかどうかについて、他人の指図なんか受けるもんか、と固く誓って、最初から友人の言うことに反対してやろうと決心していたのである。(小池滋訳)
マンションの上からでもオレンジの皮が降ってきて、それが夏美の頭にでもあたれば、あらたな神の啓示をうけるのかもしれません。。
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バナナの皮ですべって転ぶギャグについて、様々な角度から考察を重ねていく。
ギャグの起源を歴史的に探ったり、ギャグが登場する古今の小説等を大量に引用したりとか、その情報量の凄さに圧倒される。
しかも、どうやらその情報の多くはネットで収集しているようであるが、決して「底の浅さ」は感じられず、むしろ綿密な調査のうえに練り上げられた印象を受ける。
グーグルと情熱があればそれなりに上質な研究書を著すことが可能なのだ!?
さて、内容でありますが、思想家の言葉を引用しながら「笑い」そのものを規定していく序盤から、続けてバナナ・ギャグの種類(ベタ、シュール、メタ等)を論じる中盤までが非常に興味深い。
最後のほうの引用の羅列は正直読んでてちょっと飽きてきちゃったけど。
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バナナの皮で滑るというお約束ギャグの発祥とその他バナナの皮について考察した本です。そういえばあのギャグ誰が始めたのか…気になりませんか?実際にバナナの皮は滑るらしいですよ、筆者が実験してみたところ。
読んでみて、バナナの皮がある世界ってすばらしいと思いました。
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タイトルから滲み出るおバカなにおい。
ありがちな、「馬鹿なことをまじめに調べてみた。」系の本です。
バナナの皮ですべるという現象を追うことで、フランス、アメリカの喜劇史、
戦争から日本に入ってきたアメリカ喜劇とそれを見て育った日本の喜劇人、
などなど、喜劇の歴史を追っていく。
また、バナナの皮で実際に事故が起きていた時代、そこから笑いに変わるまで
を整理することで、笑いとは何かを説明しようとする試み。
そんな中で、「大体マンガなどでは軸を上にして綺麗に立っているが、
実際には多くの人が軸から剥くという事実」などにも触れて、
身近なつっこみも入れている。
どこに話が行くのかは著者次第。振り回されているだけだけど、
結構心地よかった。
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バナナの皮で滑って転ぶというギャグがいつ・どこで・誰によって生み出されたのか。だれもが知っているにもかかわらず実際に体験したことが少ない。しかし定番のギャグとして日本のみならず、海外でも昔から笑いをとりつづけている理由とは?!
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バナナの皮と滑ることに対する多角的な考察。日本での歴史を紐解いて、アメリカでの歴史をさかのぼって、踏むのがなぜバナナの皮なのか、そもそもたかが滑って転ぶことになぜおかしみを感じるのか。本文中にも少し触れられていたけれど、考えてみるとバナナの形って、他の果物と比べて非常に独特で、唯一無二と言っていいのじゃないだろうか。そして、食べている部分が内果皮(つまり「皮」)であって、しかも「種なしバナナ」なのだという衝撃の事実。そうだったのか。