アドルフに告ぐ(手塚治虫文庫全集) 3巻セット みんなのレビュー
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紙の本
う〜ん。
2016/04/02 04:38
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:hontokotoko - この投稿者のレビュー一覧を見る
スタートダッシュは凄い良かったのに急速に面白くなくなっていった印象。
作者のやる気がなくなっちゃったのかなあ。
3人のアドルフはもっと大きく絡むのかと思っていたけれど存外そうでもなかった。
歴史の大枠から外れられない制約があったんだろうが物語もさほどドラマチックには展開しない。
読む前の期待が高かっただけにちょっと拍子抜け。
ミステリー要素を含む作品だが峠草平がどうしてあんなにモッテモテなのかが一番の謎だったかも。
正直何故世間の評価がこんなに高いのか解らないなあ。
個人的には全巻所持している『ブラックジャック』の方が断然面白かった。
ずっと手元に置いて何度も読み返したい作品ではなかった。
紙の本
手塚治虫晩年の傑作
2014/09/07 13:26
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:あずきとぎ - この投稿者のレビュー一覧を見る
雑誌「週刊文春」に1983年1月~1985年5月まで連載されたものを、加筆編集の上1985年に単行本4冊にまとめ刊行された作品。
これは、三人のアドルフを巡る物語。
一人は、かのヒトラー。
あとの二人は、日本の神戸に住む8歳の少年。
一人は、ドイツ総領事館員の父を持つカウフマン。
もう一人は、ユダヤ人のパン屋の息子カミル。
二人は、親友である。
物語は、1936(昭和11)年8月ナチスドイツ主催のベルリンオリンピックから始まる。
取材に訪れていた日本人記者峠草平は、当地に留学中の弟から電話を受ける。
ある文書――それが公表されれば、ヒトラーは失脚しナチスは崩壊する――を渡したい、と。
後日、峠が、弟のアパートに遅れてやってくると、弟は無惨にも殺されていた。
峠は、弟から何者かに渡った秘密文書の行方を追う。
しかし、文書を奪取せんとドイツのゲシュタポが、峠に共産主義者の嫌疑をかけた日本の特高警察が、彼を執拗に追い回す。
この峠による文書追跡のスリリングなドラマと、三人のアドルフの物語が、並行して描かれ、時に交わったりして絡み合いながら、戦争(第二次世界大戦)の推移と共にクライマックスへと収束していく。
前半、ややもたつく感じがあったが、後半から加速していくかのように一気に読ませられた。
特に、神戸の空襲場面は、手塚自身が大阪大空襲を経験しているだけあって、爆撃の様子や瓦解した建物、犠牲になった人々などの描写が、真に迫り説得力がある。
第二次世界大戦の時代を中心に据えた作品であるので、戦時下の生活、特高やゲシュタポの横暴・非道ぶり、ナチスによるユダヤ人への虐待・殺戮、度重なる爆撃により失われる生命とささやかな日常……こうしたものが描かれるのは当然のことだろう。
しかし、手塚はここまででは済ませていない。
これらを描いた作品は、他にもいくつもあるだろう。
だが、手塚はここより一歩深い部分にまで掘り下げて、読者の前に提示する。
「ヒューマニスト」と呼ばれることを嫌った手塚が描いた、終盤の展開。
ぜひ、最後まで読み通して、各々感じたり考えたりしていただきたい。
手塚治虫晩年の傑作の一つ!
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