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紙の本
文体=構造
2011/01/06 09:21
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:わたなべ - この投稿者のレビュー一覧を見る
オーストリアを代表する大作家の1985年の作品。ウィーンの美術史博物館、テントレットの「白ひげの男」が展示されたボルドーネの間の天鵞絨張りの長椅子に二日に一度午前中すべて使って陣取る音楽批評家のレーガーと、彼を敬愛する監視員のイルジーグラー、そして語り手の「私」ことアッツバッハーの三人の会話を中心に展開する「芸術」をめぐる小説。
読みながら、その何と言うことはないモチーフを、反復と変奏によって享受者が思いもよらぬところまで連れて行ってしまうかのようなスタイルがベートーベンみたいだ、とぼんやり思ったところで作品内でベートーベンに関する言及が出て来たので驚いた。
ベルンハルトの作品は文体がイコール構造と言えるようなものなんだが、一見破格と思わせてよく見るととても端正であるというのが不思議だ。それは、延々と続く告発と罵倒が、読者を次第に大きな共感と締念へと導いていくのと少し似てる。まるでおおがかりないたずらのような結末もふくめ、まったく素晴らしい。代表作とされる自伝五部作がまだ未訳なのが非常に残念だ。
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