サイト内検索

詳細検索

ヘルプ

セーフサーチについて

性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示を調整できる機能です。
ご利用当初は「セーフサーチ」が「ON」に設定されており、性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示が制限されています。
全ての作品を表示するためには「OFF」にしてご覧ください。
※セーフサーチを「OFF」にすると、アダルト認証ページで「はい」を選択した状態になります。
※セーフサーチを「OFF」から「ON」に戻すと、次ページの表示もしくはページ更新後に認証が入ります。

e-hon連携キャンペーン ~5/31

hontoレビュー

ほしい本の一覧を見る

殺す手紙 みんなのレビュー

新書

予約購入について
  • 「予約購入する」をクリックすると予約が完了します。
  • ご予約いただいた商品は発売日にダウンロード可能となります。
  • ご購入金額は、発売日にお客様のクレジットカードにご請求されます。
  • 商品の発売日は変更となる可能性がございますので、予めご了承ください。

みんなのレビュー8件

みんなの評価4.0

評価内訳

  • 星 5 (2件)
  • 星 4 (2件)
  • 星 3 (3件)
  • 星 2 (0件)
  • 星 1 (0件)
8 件中 1 件~ 8 件を表示

紙の本

密室から離れると、こんなに面白いミステリが書ける、やっぱり変なシバリは小説を殺すな、なんて思ったりして。それにしても、なぜ、ドーシテで一気に読ませるなんて想像もしていませんでした、アルテを読んで初めて驚いた・・・

2011/10/08 22:28

4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

密室の 文字見て無くす 読む意欲 (字余り・・・)。昔から密室ものは好きじゃありませんでした。長篇で感心したのはルルーの『黄色い部屋の秘密』だけ。ま、あれを密室というのか、消失ものではないのか、とか定義はあるでしょうが。短編になると、好きなものが増えます。カーの「魔女の隠れ家」なんて好きですし、高木彬光の「妖婦の宿」は詳細は忘れたものの、解決の鮮やかさに感心した記憶があります。

今でも、都筑道夫の「なめくじ長屋」シリーズにある密室ものは好きですし、エドワード・D・ホック作品を楽しんだ記憶もあります。私が感心するのは、殆どが読者の盲点をついた解決をする作品で、延々と探偵の解説が続くようなものや、機械的トリックは全くダメ。ですから、人がなんと言おうと横溝正史の『本陣殺人事件』を評価しません。そういうわけで〈密室不可能犯罪の巨匠ポール・アルテ〉に魅力を感じることはない、普通なら。

でも、どこか気にかかる。日本人作家だったら読まないです。新本格の連中の作品なんて読む気もしない。でも、ガイジンなら、っていう脇の甘さが私にはある。昔、藤沢周平の小説の暗さに辟易しながら、いつか明るい小説を書いてくれるんじゃないか、っていうただそれだけで新刊が出るたびに買っていた、あの気持ちと同じ。いくら愚かでも、どこかで密室とさよならして楽しいミステリを書いてくれるんじゃと、それだけ。

だから、〈新機軸に挑んだ巻き込まれ型サスペンスの傑作〉は、いいな、やっときましたか日本の夏が、なんて思う。そういう意味で、帯の言葉
         *
密室不可能犯罪の巨匠ポール・アルテが
新機軸に挑んだ巻き込まれ型サスペンスの傑作

 戦争の傷跡が残るロンドン。
   一通の手紙が誘う
陰謀と逆転のめくるめく逃亡劇
         *
は、アンチ密室人間には心地よいわけです。ま、水戸部功の装幀に、密室ものは似合わないともいえます。手元に同じポケミスの新刊、ユッシ・エーズラ・オールスン『特捜部Q 檻の中の女』がありますが、こうしてみると、ポケミスも変わったんだから、アルテも変わらなきゃ、なんて思ったりもする。ま、密室ものじゃないならもう少し分量があってもいいんじゃない、水戸部デザインの本は、分厚いほうがしっくりくるんだけど、なんて思いながら・・・

で、カバー後ろの言葉ですが
       *
空襲の焼け跡にある空き家へ行
き、指定の時刻ちょうどにラン
タンを灯してほしい。そして何
が起こっても、決して逆らって
はいけない……親友からラルフ
に届いた奇妙な手紙。友の正気
を疑いつつも、事情があるもの
と察したラルフは指示通り夜の
町へ出た。だが問題の空き家に
警官が踏み込んで来たのを皮切
りに、あっという間に事件の連
続に巻き込まれてしまう。空襲
で死んだ自分の妻を見かけ、つ
いには殺人事件が!不可能犯罪
ものの名手がストーリーテリン
グの才を発揮するサスペンス。
       *
となっています。全体は、22章の本文とエピローグ、訳者あとがき、という構成で、プロローグがありません。脱線しますが、最近、この手の海外作品をいくつか見受けます。プロローグなしでエピローグだけある。日本人作家の場合は、こういうことは極めて稀で、プロローグとエピローグはセットになっているのが殆ど。手紙に〈拝啓〉を入れたら〈敬具〉で締める。こういう文化があるせいでしょうか。

本文があって、エピローグで終わる話って、挨拶もなにもなく話を始めて、最後に唐突に〈敬具〉を持ってくるようなもので、なんだか変。これって、海外小説では当たり前のことなんでしょうか、翻訳出版専門の早川さんにはぜひお尋ねしたいところではあります。はい。

主人公は、ラルフ・コンロイ、五年前のロンドン空襲で妻を亡くし、今も失意のそこにある元英国諜報部員です。妻との結婚を母親から反対されたことを、いまだに根に持ち、酒と賭け事に明け暮れています。その亡き妻、というのがジョゼフィーンで、その美貌は今もラルフの脳裏を去ることはありません。父親のエリオット・ウェインライトは成功した実業家で、彼女にはリチャードという兄がいましたが、この人も亡くなっています。

ちなみに、妻のことがラルフの脳裏を去らない理由の一つは、結婚に際しての母の仕打ちになりましたが、もう一つが、空襲にあう直前、ラルフと彼女が、ポーランド人を家に入れたことで口論をしたことです。それ自体は些細なことですが、そのあとに不幸が訪れると「あのことがなければ」と思うのが人の常。ラルフもその徹から逃れることはできません。

そのラルフの数少ない友人というのが、フィリップ・マクドーネルで、すらりとした中年の30男。ラルフとは学生時代からの遊び友だちで、元諜報部の同僚でもあります。資産家の美しい娘と結婚しようと、女漁りが耐えないのですが、端正な顔立ちと明るい性格もあって、女性にはよくもてます。チェスが得意で、政府暗号学校で訓練を受ける。ルーシー・ブラウンは、そのフィリップの恋人で、美人ではありませんが、気がいい娘とはいえます。

そしてラルフは、友人の変わりにパーティに参加することで殺人事件に巻き込まれていきます。必死の逃亡と不可思議な事件、ちょっと雰囲気は違いますが、リチャード・ニーリィを思わせます。『亡き妻へのレクイエム』がそれで、手紙が物語の発端になること、亡き妻が絡むこと、主人公が疑われることなど、オーソドックスな展開をしながら捻りを加えるところも似ています。ただし、切れ味、という点ではニーリィに一日の長があります。

とはいえ密室とは異なる不可解な状況を生み出そうとするアルテの意欲は評価されるべきでしょう。二転三転するスピーディな展開も、今までのアルテ作品には見られなかったものです。とはいえ、今回はあくまでその一歩。次はどういう傾向の作品で勝負してくるのでしょうか、結局、次作にも手をださないわけには行かなくなってしまいました。いやはや、です。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

2010/12/25 20:32

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2010/11/01 23:40

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2010/12/22 13:58

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2011/05/27 19:10

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2011/07/06 16:21

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2011/04/25 11:56

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2012/04/27 22:59

投稿元:ブクログ

レビューを見る

8 件中 1 件~ 8 件を表示
×

hontoからおトクな情報をお届けします!

割引きクーポンや人気の特集ページ、ほしい本の値下げ情報などをプッシュ通知でいち早くお届けします。