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紙の本

サブタイトルが今後の行方を示している

2010/11/18 23:43

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:DSK - この投稿者のレビュー一覧を見る

本巻は少々変則的な構成となっている。

【本編】 P.196まで
三方台学院に勃発した騒動を通じて何かを得た清美が決意する、物語としての終わり方は良いのだが、騒動自体の行方には少し釈然としないものを感じた。やや迂回するように話を展開させる傾向があり、ステレオタイプな正義を常に志向するでもない舞阪作品らしさの一環かもしれないが、たとえ別の理由や思惑が絡む現実的な展開だったとしても、この結果は正直どうかな?と思った。第5巻の最後にあった、実に悪役らしいセリフの内容も放置されている。

【後日談】
カタリーナ、暁波麗、愛香&毬藻、化野雪野、佐々木薫子それぞれの後日談が相当に面白い。清美は訳あって登場しないのだが、本編終了後しばらくしてから、あるいはその2ヶ月後くらいの各人の顛末が綴られている。愛香達を除く(これも訳あって不要なため)4人の話をさらに膨らませた後日談だけで1冊読みたいほどである。雪野が漏れなく付いてくるので、清美とカタリーナの、犬猿の仲からの「その後」に絞ったスピンアウトでもいい。

【愛香を救った男(読み切り短編)】 初出『GAマガジン Vol.4』
愛香の過去編。幼少期の壮絶な思い出に触れつつ、愛香の根本的な部分が描かれている。序盤で年相応に要らんことをする小僧が出てくるのだが、これに対する制裁が作中にもあるように大人げなく、若干狭量に見えてしまったのが少し残念だった。その前に、ここで明らかとなる「長所の数」が(笑える意味で)図々しいにも程がある。

【新たな始まりの序曲】
本巻のサブタイトルからも、この章題からも示唆される内容がさり気なく最後に登場。あらすじに記された『怒涛の急展開』の真相とも言えよう。

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