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今、赤ちゃんが‘再発見’されているそうな。
著者は、こどもがどのようにして他者の心を理解するかに注目した「心の理論」研究の創始者の一人であり、「理論理論(theory theory)」、つまり、子どもは科学者と同じやり方で学習するという説を提唱している。
赤ちゃんの知的な活動は大人より活発で、想像力や学習能力は大人よりはるかに高い。赤ちゃんの神経回路は大人より多く、成長するにつれて「刈り込まれ」、概念や分類で整理されるらしい。
図書館に購入されるのはいつかな~。待ち遠しい。(^^ゞ
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赤ちゃんといえども、言葉を発しないだけでわれわれと同じように世界のありようを見ている。幼児期における影響は、ともすればこれから先何十年にもわたって個々の土台となるほど大きいものだといえる。人との触れ合い、物の認識、周囲の環境、どれもこれもが赤ちゃんにとっては想像もできないほど多種多様で、それこそがまさに閉塞的で人工的だが、絶対的世界でさえある。子供は適度に放っておくのがいいとはいえ、大人の理屈を押し通すことなく、視線を落として同じ気持ちになって接していきたいものである。
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赤ちゃんを題材にガチな科学、哲学な本を期待してたらだいぶ違って肩透かしだったけど、これから育児する人には最高の良書と間違いなく言え、それを読んでみたという意味でそれはそれで良かったです。
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赤ちゃんを観察することで哲学上の難問への理解が深まる。因果関係とごっこ遊び,見落としと認知。子育て中の親におすすめ。
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20ページに及ぶ「はじめに」と言う序文がとても面白い。
しかし心の問題を取り上げながら、本文ではモノの世界のとらわれすぎていて矛盾を感じる所が多い。
机上の統計とか効率で自分の考えを証明しようとするあまりに、本質である実態を見失っていることが多いように思う。
面白い表現としては
過去は未来に対する対価であり、責任を伴うものである。
計画し期待を抱き責任を感じるからこそ未来を夢に見魅了されその過程の今に没頭したり逃げ込むことができる。
フィクションはこうした近い実現を予定する未来よりも、ずっと遠い反事実である。
心の世界には設定された自然な世界がない。
願望・感情・信念・信心・禁欲を
(民主主義・平等主義・平和主義・流儀・約束事)
これには「不自然」な願望や信念を理解する必要がある。
(外とつながりたいための苦労と内とつながりたいための苦労)
その反動が他害と自虐。
協調性と個性は在る面で対立しているようで、心の面でつながる個性を発揮できる関係性を追求すれば、相手と自分の両方を認め合える協調性を必要とする。
重複するけれど、この本は心を語りながら確率や統計を持ち出し本物を現実として空想を無益とし、驚いたことにその無益な体験が宇宙を征服することに役立つはずだと言う。
愛の道徳を産まれながらに持ち合わせていると言う一方で、人間の心が制服を目的にしていると思い込んでいるらしい。
それはおびえた不安恐怖におかされた心であることに気付いていないようだ。
シンプルとは単純明快なことで無駄のない洗練された姿で、臨機応変に振る舞って急がば回れだと言うことだろう。
幼児のゴッコ遊びは幼稚故なのではないと言いながら、年齢とともに増える知識で修正され、世界をより正確に反映し創造力を発達させ正しく学習できると言う。
(この正しいと言う意味は何を元にしているのだろうか?)
このことを別の言い方で表現すれば、幼児のもつ無限性による自在な感覚が利害と既得権の都合によってつくられたこの世の暴力的既成概念に脅されて、依存心に支配されて行くことを発達と言い、正しく学習しているとしているのだと言っているのだろう。
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せいぜい300ページぐらいしかないハードカバーですが、読みごたえは十分。
赤ちゃんに秘められた可能性を説き、「子どもは哲学の難問である人間の想像力や真実、意識、同一性、愛、道徳といったものを解き明かす手がかりを与えてくれる」として、その実例を豊富な実験データや著者の子育ての経験から展開しています。本来ならばかなり難しい「論文」となるはずのテーマですが、とても平易な文章で綴られているので(この辺は訳者が頑張ったのだと思いますが)、読みこなすのはそれほど難しくないと思います。
個人的には、大人と子供の「注意の向け方、注意の集め方」の違いが面白かったです。
大人は注意を抑制できる一方、子供は外の刺激に大きく反応するので集中力が弱く、余分な情報に反応してしまう」という事実から、「だから子供は広く浅く注意を拡散させていないと勝てない神経衰弱が大人よりも得意」という実例に展開した時は、ストンとこの論が腑に落ちました。友達の娘でやたらに神経衰弱が強い子がいて、手加減せずに本気で挑んでも負けることがあるんですが、そういう特性が子供にはあるんだなぁと納得でした。
他にも面白い実例や論証はたくさんあるので、子供というフシギな生き物に関心がある方は是非ご一読を。
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過去への反実仮想とそれに伴う後悔は、未来に向けた反実仮想の対価かもしれない。
実現しなかった過去を悔やむ事は、豊かな未来を思い描ける事とセットになっている。p36
ホモサピエンスの成功に貢献したのは、道具を使い、計画を立てる能力である。これは赤ちゃんも一緒。p40
言葉を覚える時期は、道具の使い方を思いつけれるようになる時期と一致します。
言葉を得た幼児は、幅広い可能性を思い描けるようになる。p45
空想の友達がいる事は、天才の証でもなければ、病気の兆候でもない。p78
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哲学的考察をめぐる長い歴史のなかで「赤ちゃん」は未完成で未成熟で未整理と考えられ、哲学界からは長く蚊帳の外に置かれていた。(ようです。)
Alison Gopnikは認知科学者の一方、子育てに奮闘した経験から、こどもには実は大人にない高い能力があるということに気付きました。
「幼児はある意味、大人以上に賢く、想像力に富んでいて、思いやりがあって、意識が鮮明だったのです。」
ここで、私と自分の2才になったばかりの姪っ子とのあるエピソードをお話しします。ある日、私がCDを持ってきてプレーヤーにかけた一部始終をその子が見ていたようで、自分でもやってみたくなったようです。そして大人たちが目を離した隙に、別のCDをケースから勝手に取り出してCDをかけるまねを始めました。でも操作がうまくできず、CDの裏面にたくさんの傷をつける結果となってしまいました。傷ついたCDをかけてみると、傷のため音が飛んでうまくかかりません。
音飛びを自分の耳で聞いて、私の表情を見たその子は、そのとき、そのCDがうまく聞けなくなったのは、自分のCDプレーヤーのかけ方に原因があるということ(学習・認識)、そして一般的にCDの裏に傷をつけると音楽が聞けなくなってしまうものだということ(反実仮想)、さらに、私が怒って悲しんでいるということの気づき(共感)、それらを、あのとても小さい頭のなかで系統立てているのでは?!と気付いたときの驚きは、おそらく著者がしたものと同じだと思います。
著者は、赤ちゃんがそういう高い能力をもつのは、人間というものが他の動物とは異なり、世界を認識する能力が高く、その認識によって世界にはたらきかけ世界を変革しようとしてきて独自の進化を遂げてきた、という“進化論”を裏付けるものであるとしています。
でも、「認識」「哲学」…といった用語に臆する心配は無用です。
この本では著者の母親としての顔がしょっちゅう表れ、愛情や笑いがあふれる内容になっています。だから、子育てのさなかでで赤ちゃんの不可解な言動と格闘中(?)のお母さんが、ほんの息抜きとして読むのもお薦めします。(2014/2/15)
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普通の小児科学本と違うのは、「赤ちゃん」の科学だけではなく、赤ちゃんとは何かと哲学的にも考察している点。
赤ちゃんであるとはどのようなことか。
赤ちゃんを愛するとはどのようなことか。
赤ちゃんを巡る人生の意味...。
科学と哲学が絡み合うような内容になっている。
科学的考察では、赤ちゃんが考えていることについて、確からしいとされていることを整理する。
哲学的考察では、赤ちゃんを考える観点から、自分たちの意識について、世界を認識することについて、考えさせる。
私感チックな記載ぶりがいくらか気になったし、もう少し深い記載を期待していた。
ただ、個人的な興味ジャンルの哲学と小児科学の邂逅としては、とても面白かった。
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小さい頃の人格形成に興味が湧き読んだ。(あなたの人生の科学の参考文献)
自転車に乗れるまでは物凄い力が入っていたけど、乗れたら何にも考えなくても乗れるように、子供の頃の方が視界に入るものをはっきり意識的に捉えているのかも。
過去も未来も考えず、今その瞬間に集中しているというのはイチローが小学生の頃のフォームが理想と言っていたり、バガボンドで宮本武蔵が剣を振り始めた頃のことを瞑想しているのと繋がっているなと思った。
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書店でノンフィクションのフェアをしており、吸い寄せられるように手に取った。
本書の赤ちゃんの定義は幅が広めで、幼児あたりも入っていたりするので、そこは意識しながら読んだ。
やはり一番印象に残ったのはランタン型意識だろうか。大人の様にスポットライト型ではなく、全てに意識を向けている。純真無垢だからこそ沢山の事を吸収していくのだろう。大人になる事はある意味視野が狭くなる事。生きる為には必要だけど、常識という檻に閉篭もる事なのかもしれない。
今赤ちゃん育て真っ只中。この幸せを噛み締めながら関わっていきたい。
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赤ちゃんのもつ深遠な世界、大いなる可能性を
科学的なアプローチで説明していく。
和訳もとてもわかりやすい。
ただ、項目は分類されて整理されているものの
様々な実験、立証の話がどんどん展開されていくので論旨を追っていくのが大変で
なかなか読み進めるには時間がかかった。
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赤ちゃんの意識はどのように発達しているのか、赤ちゃんはどのように世界を認識しているのかという疑問についての考察。
子育てエッセイなんかでよく見る、子供のちょっとおかしな行動や言動がなぜ起こるのか少し理解できるようになった。子供は彼らなりのルールで動いていて、そのルールが大人のルールと異なっていることが大人から見ると可笑しさにつながっている。
大人の意識はスポットライト型で一つのことに集中することができるが、子供の意識はランタン型で集中は苦手だが、複数のことを同時に見ているというのは意外であった。
哲学する赤ちゃんというタイトルだったのでかなり難しい読み口の本かと構えていたが、語り口はかなり優しくてわかりやすく書かれていた。