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まさに、この面白さは忍法!!
安房里見家に代々伝わる家宝の球“忠孝悌仁義礼智信”が“淫戯乱盗狂惑悦弄”にすり替えられてしまう。
それらを取り戻すべく八犬士の末裔達が奮起する。
残酷淫猥、されど嫌らしさを感じさせない爽快感。
結びの美しさ、謐かさ。
さらに、それとなく滝沢瑣吉(馬琴)を登場させてしまうところなど、細部まで凝った一冊である。
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初・山風。たまりませんな。
大まじめな顔してふざけてるような、嘘はついてないけど化かしてるような。
姫の美しさ、精霊のような魅力は何度語られても褪せることなく、読んでいるこちらも焦がれてしまう。
ひねくれてるはずの犬士たちが姫にだけは頭があがらず、実は純粋な内面でもって、姫のためならあっさり死んでいく。
話には引き込まれているのに、全然かなしくない。ふしぎ!
しかしキャラクターだけの物語などではなく、
構想やらプロットやらミスリードやら、「小説のおもしろさ」でちゃんと屹立しているのです。
次は何読もうかな。
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のっけから始まるスピード感溢れる展開に、あれよあれよと乗せられてすぐに読み切ってしまいました。忍法が奇想天外なものばかりで面白い。
多数のメインキャラクターが死んでいく血腥い小説なのに、最後の一文があるだけでこの話全体を綺麗な英雄譚に仕立てあげる。山田風太郎の言葉のセンスに脱帽です。
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山風作品は甲賀忍法帖・魔界転生はすでに読んでますが、今回も面白かったです
血みどろの戦いに次ぐ戦いですが、最後のシメはさわやかさすら感じます
最後の一文が大好きすぎる
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里見八犬伝といえば薬師丸ひろ子・真田広之の角川映画。
子供心に、窮地を救うため一人ずつ犠牲になる八犬士に胸を打たれました。
それと同じように、それぞれ壮絶な見せ場があり散っていく。
なのに悲しいけれど、どうしてだか、良かったねという気持ちになりました。
それは八犬士の行動の根本が「正義」ではなく「恋」のためだったからかも。
序盤の切腹リレーに度肝を抜かれ、その後も摩羅蝋燭、陰武者に袈裟御前、陰舌、地屏風、肉彫りなど、なぜそこでエログロ忍法!?と思いつつも堪能。
里見安房守のダメっぷりがツボでした(笑)
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安房の里見家に伝わる伏姫の珠がすり替えられてしまった!? 仁義礼智忠信孝悌の八つの珠に変わるのは、狂戯乱盗惑淫弄悦の偽の珠。全ては里見家取りつぶしを狙う本多佐渡守の仕業――自分の所為で里見が狙われたと思い、奔走する村雨姫。彼女の為に八犬士の子孫、けれどもろくでもない男ばかりの面々は甲賀で修業した忍術を駆使し、伊賀くノ一八人衆に立ち向かう。凄絶かつ妖艶な珠の奪い合い、ここに開幕!
山風の八犬伝は読んだことあるけど、思えばちゃんとした彼の忍者小説を読んだのはこれが初めてでした。忍法~の方を先に知ってたんですけどね。読むのが大分遅れてしまった。最初雑事があってなかなか読書が進まなかったけど中盤に入るにつれじわじわ面白くなっていったので結構さくさく読めた気がする。忍者もの、どう反応すればいいかよくわかんないのだけど、現代の異能ものバトルみたいな感覚で読んでました。忍術すげーわ! でも、そもそも自分は忍者にそんなにひかれないのである…あと久々に読んだ時代ものだったからかな?
こういうアホで外道でいかれちゃってる犬士達は好きでございます。しかし解説の京極氏の文を読んで初めて気付いたけど、この八犬伝の犬士八人揃わねえww!すげえ!醍醐味潰してるわ! 一人一人死んでいくのが意外で、最初小文吾が脱落した時はまたまた~影武者だよね? って思ってたのだ…毛野ちゃんが好きなタイプだったので早々にリタイヤして残念であった…
村雨姫に惹かれる犬士どもはアホでバカでとにかく可愛い。特に信乃と姫が入れ替わった時の角太郎が可愛過ぎる。でも村雨姫自身にはそんなに惹かれなかったなあ…お姫様らしい誇りの高さがあってそれは良かったけど……まあヘタに活躍してもあれだけど。むしろこの作品の狙い目はこのファムファタルのような姫の為に命を散らしていく男達を描くことにあるんだろうな。
ラストが切なかったですね。つうか寂しかった。本編が荒唐無稽で面白かっただけに。ある意味では八犬伝の原典のラストに通じる切なさとか寂しさだと思います。
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設定がいいですよね。
自由奔放に生きている青年たちが好きな女の為に命を賭けて使命を果たそうとする・・・。ワクワクするお話です。
この八犬士たちがお互いさほど仲いい訳じゃないってのがまたいい味出していたように思います。
確かにね、皆村雨を狙っていると知っているなら、変に手を取り合うよりも抜け駆けも辞さぬ、いい所見せたいと考えるのが自然でしょうから。
忍法合戦については・・・、ちょっと意図が分からない点もあったかな?
意図と言うか、なぜそこまでして性を絡めようとするのか。
犬坂毛野のち●こ切り落として影を作る忍法とか、作者にとってち●こじゃないとダメな理由って何かあったのかな?と変な所が気になりました。
犬塚志乃が最期に球をスリ『入れる』部分、格好良かった。これでようやく任務が完了したんだ、と読んでいて嬉しいような切ないような、そんな気持ちになったなぁ。
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山田風太郎作品はどれも計算され尽くされている物語の展開が読後に「うわぁ!もー!すごい!」となって、読み返したくなります。今回も、この順番で戦わなかったら…という素晴らしい展開でした。甲賀忍法帳と同じようなシチュエーションでありながら、一人一人戦っていくことになる理由付けがきちんと書かれているのが素晴らしい。特に今回はその理由が色恋なだけに読みやすかったです。
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犬田小文吾の死に様がかっこよくてそこから一気に引き込まれた。相変わらず忍法は突飛だけどすごく面白かった。
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山田風太郎作品のエログロにいい加減慣れて参りまして、いちいちショックを受けずにすむように……なってきたはずなのに、相変わらずの奇想天外忍法に驚かされてしまいます。
これだけえげつないのに、なんでこんなにおもしろいんだろうとつくづく不思議。「えげつない」部分を除くと涼やかできらめいて美しく、かつ息をつかせぬエンターテインメント作品だからかな。「SHINOBI」はそれと知らず見て、なんて美しいのだろうと感心し、後に山田風太郎作品アレンジと知りましたがまさにそう。美しい。
村雨さまの美しさもこう、なんというか眼の前におられるかのように白く輝く肌が見える。里見の殿からうばってしまいたいわほんともう。
※そうして元ネタの「南総里見八犬伝」のさらに元ネタ、「水滸伝」を読もうと決心。なんとなく避けてた中国古典創作物語だけれど、いいきっかけをいただきました。
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忠孝悌仁義礼智信
淫戯乱盗狂惑悦弄
大事
行方不明の息子たち
六方者と軍学者
女郎屋者と狂言師
香具師巾着切
乞食と盗ッ人
童姫
めぐる村雨
挑戦状
忍法「悦」
念仏刀
忍法「盗」
八門遁甲
三犬評定
外縛陣
忍法「淫」
「蔭武者」血笑
虜
信乃姫様
陰舌
蔵の内外
地屏風
二人村雨
千秋楽は三月三日
内縛陣
忍法「弄」
大軍師
幻戯
空珠
著者:山田風太郎(1922-2001、養父市、小説家)
解説:中島河太郎(1917-1999、鹿児島市、文芸評論家)、京極夏彦(1963-、小樽市、小説家)、日下三蔵(1968-、神奈川県、文芸評論家)
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http://denki.txt-nifty.com/mitamond/2006/01/post_b7d3.html
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風太郎先生の小説はどれも外れがない。
今回は里見家が八犬伝由来の「伏姫の珠」を将軍家に献上するという設定下で、八犬士の子孫と伊賀忍者との間で戦いが繰り広げられるのだが、ヒロインの村雨が戦いの渦中に入るところから手に汗握る展開が加速し最後はハッピーエンド。
ああ面白かったで終われる娯楽小説。
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山田風太郎は本当に天才作家だと思う。
小説というのは、【終わりよければすべて良し】理論が適用されうるものだ。内容がいくらおもしろくても、結末が微妙だと中々記憶に残らない。
山風作品は、ストーリーのおもしろさは言うまでもないが、締め方まで完璧だ。その作品にふさわしいラストがいつも用意されている。そして、これは私の感想なのだが、どの作品も【切ないのに清々しい】読後感が残る。切ない結末の作品は世の中に数多くあるが、切ないのに清々しい作品はそうないだろう。
本作でも、最後の一文が素晴らしい。胸が締め付けられる切なさを感じるとともに、長く甘い夢が覚めたような清々しさも感じられる。
村雨という1人の女性を救うため、血気盛んな8人の若者たちが戦いに挑み死んでゆく。荒唐無稽なストーリーとその中に紛れもなく存在する純愛。このアンバランスさも、また山田風太郎らしい。