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紙の本
時代は三間飛車
2011/02/05 21:49
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ココちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
杉本七段の著作がなかったらアマ間でここまで相振りが指されなかったのでは、
とまで言われる「相振り革命シリーズ」、第5作は「相振りレボリューション」でした。
レボリューション=革命なので、このタイトルはどうなのかと思いますが(笑)。
杉本七段の「相振り革命シリーズ」は向かい飛車や中飛車など多彩な戦型が扱われるのですが、
本書は三間飛車がらみの戦型を中心にいろいろな指し方が紹介されています。
序章には本書で解説されている戦型への導入部として、
相振りで三間飛車が流行し、向かい飛車が減少している理由が詳しく書かれています。
第1章と第2章は先手三間VS後手△5三銀型三間で、
▲7六歩△3四歩▲7五歩△5四歩からの相振り飛車です。
それぞれ先手ジックリ型、先手軽快型の解説と分けられています。
出版時点では石田流対策の相振り飛車としては一番ポピュラーな形のようです。
双方が美濃に組む形が中心で、結論としては左銀の差から先手が面白く戦える変化が多く、
(といってもアマレベルではかなり難しいです)第3章での後手の工夫につながって行きます。
第3章は相三間後手の秘策で、
「△8二角転換作戦」と「後手穴熊作戦」の2つが紹介されます。
この2つは先手の序盤の対応により使い分ける必要があるので、両方きちんと押さえておきたいです。
△8二角転換作戦は先手が7筋の歩を交換してきた時、△5五角と飛びだして△1九角成の筋を狙います。
先手は当然目障りな角を追いますが7三の歩がいない効果で、
△8二角と転換し角の睨みを維持できる、というものです。
後手は玉が囲いにくく守りは薄いですが、第1章や第2章の展開と違い後手から積極的に動くことができます。
後手穴熊作戦は先手が7筋の歩を交換してこない(=△8二角転換がない)時、
美濃では作戦負けになりやすいので穴熊にしようというものです。
ここで1・2・3章総まとめが入ります。
どの章も先後ともに主張があったので、流れを明快にしておこうという趣旨だそうです。
第4章は先手向かい飛車VS後手三間で以前は主流だった戦型です。
後手からの画期的な仕掛けが発見されたことで、先手の矢倉を恐れなくなりました。
その仕掛けや先手がそれを避ける駒組みをしてきた時の戦い方が解説されます。
第5章はその他の相振り、速攻三間、左穴熊対策です。
「その他の相振り」では4つもの戦型が解説されます。
「三間対後手角道不止め四間」は▲7六歩△3四歩▲7五歩△4二飛に先手が妥協しない形。
「先手向かい飛車対後手三間」は第4章とは違う昔ながらの定跡。
「先手三間対後手△5三銀型向かい飛車」は1~3章とも関連しており、
久保二冠VS羽生名人(段位は現在のもの)の王将戦でも登場した、以前は主流だった戦型です。
「相三間、阿部新手」では後手が受身になりやすいとされていた、
▲7六歩△3四歩▲7五歩△3五歩からの相三間の新手が紹介されています。
特に最初と最後は面白い戦型であり、指してみたくなりました。
「速攻三間」は先手三間超急戦で、石田流対居飛車でなんと相振り飛車じゃありません。
▲7四歩を突き捨ててから▲5八玉とする形ですが、急遽原稿を差し替えて最新形の紹介をしたとあります。
現在もこの戦型に関しては新構想が出ており、まだまだ進歩していくでしょう。
最後は「東大流左穴熊中飛車対策」です。
▲5六歩からの中飛車に対しては後手は相振り飛車にするのが有力なのですが、
それを見た先手が左に玉を囲い居飛車風の駒組に変化する、というのが東大流左穴熊中飛車作戦です。
後手からの有力な対策が紹介されており、この戦型に手を焼いている方は必見です。
杉本七段らしい多彩な戦型を扱いつつも丁寧なつくりの本書、シリーズファン納得の出来です。
前著の「相振り革命最先端」よりも試したくなる面白い戦型が増した印象です。
相振り党は本書も当然「買い」でしょう。
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