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う~ん、いろんなことが中途半端で消化不良。っていうのが全体的な感想。心に引っかからない、終盤は特に無理矢理盛り上げてる感じがして…。
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途中がどんな絶望的でも、やさしい気持ちで終われるのが好き。
自分は評論家でも文学者でもないから、優れているかどうかなんて関係ないし。
上巻の、まるで今季の月9のようなありえない感覚―だけど、日本語に無理がなくって、とても読みやすく、内容的に吐きそうなのに軽快だったから、全然OKだった―とまるで違う空気だった。
自分の居場所、存在価値、絶対的に受け止めて受け入れてくれる人、場所が欲しいんだ。
親に、見捨てられた子どもだから。
それが、神、彌生くんは黒江にとって、そういう存在だから、誰とでも簡単にやっちゃう黒江は、彌生くんとそういうことをするのは耐えられなかった。
この論理、単純で、すごくわかる。
大事な大事な存在だから、男だったらだめ。
だけど、彌生くんは男の子だった。
自殺した聖良は、仁さんに神を見た。
聖良も、母親に見捨てられていた。
母親は、敬虔なキリスト信者だったから、近くに生きている娘を見なかった。
神だけを見ていた。
そして、黒江の親、特に、母親は、宗教に逃げていた。
宗教とか、神とか、
時々聞くんだけど、キリスト教は良くてカルトはなぜいけないのか?
黒江のセリフにもあるけど、黒江の母親は、反社会的であれ、法の前で間違っていても、彼女の救いであったことは確かなのだ。
もちろん、社会的な問題はあろうが、人の精神を救う、あるいは行動や生き方を救うということでは、その宗教のなんたるかを知らないくせに、いけない、って言うのはおかしいんじゃないかと、常日頃から思ってる。
じゃ、いいことなの?って問われたら・・・お金のこともあるし、犯罪に近づいたりする場合も多いし~だけど。
黒江は母とも父とも決別した。
だけど、なぜそうならなきゃいけなかったか、わかったから、いいんだと。
それから、そこにいて、いいことを知った。
生きてていいことがわかった。
自分が、仁さんの役に立ったことを知った。
写真は大きい。
写真をやりたいこと、仁さんの弟子入りをしたいこと、それが黒江の唯一絶対ぶれなかったこと。
上巻から、それが優しく流れてる。
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同性としては、もっと自分を大切にしたら?、と言いたくなってしまう黒江。黒江の周囲の男の子達にとってそうだったようにその危さは魅力的でもあり、私も惹きつけられた。島本さんならでは、の一冊。
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島本さんらしい作品。もがいても もがいても 闇からでられないかとおもったけど 100年後は明るい未来かな~って希望が…(笑)
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読みやすいし、主人公・黒江に同化したりして読めたけど、物足りない感じ。
ろくでもない男に振り回されるところとか、ろくでもない男に対して持つ感情や、いい写真撮ってやる、というような気迫は感じるんだけど、後半、カルトがらみの話になってきてから、混乱してきた。
本書のテーマは何だったんだろう。
カルトがテーマだとしたら、メインテーマに関する記述が足りないし、「恋愛」小説とも言えなさそうだし……
島本作品はほとんど好きだけど、これは「まあまあ」かな。
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読んでいて途中でやめることができずどんどん最後まで読みました。で、好きかって言うと、、、です。いつまでも子どもの頃の怯えを残した哀しい黒江。仁さんがいてくれて、本当によかったです。これからは幸せに生きていけますように。
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最後の行を読んで、この物語を読んで良かったと思えた。私は、許されてもいいのだと。
下巻も一気に読み終わった。島本さんは私をどこまで知ってるのかと言いたいぐらい、代弁された気分に今回もなった。真綿荘に出てくる晴雨さんの姿を、もっと具体的に書いたのが仁さんという印象を受けたのは気のせい?
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最初にあとがきあるかなーと思って後ろ見ちゃったんですけど…参考文献一覧である程度の展開予想ができてしまいました。
それでもその事実に対して主人公がどう向かっていくのか、どう受け入れてこれからを生きていくのか、それが見ものだった。
島本理生第2期(性暴力や心の傷がテーマの作品)のまとめになる作品だと思う。
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透明なグラスの硝子は割れて、光があたって輝いている。
あーやっぱりこういうものを書くのか、とちょっと嫌だなと思いながら、読み進めたら、しっかり好きになりました。
久しぶりに、手元に置いておきたい本です。
この本、装丁もめちゃめちゃいい!すごくいい!すべてをあわせて、いい本に出会えたなと思います。
私、装丁の女の子の髪、めっちゃ好き。ただいまショートカットだから、ああいうライン真似したい。笑
いい本。ありがとう
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(2011.02.21読了)(2011.02.16借入)
上巻を読み終わったところで、今後どんな悲惨な展開が待っているのだろうかと思っていたのですが、男関係が上巻ほどあれこれ展開するわけではなかったけれど、幼児期の体験のために彌生君とはうまくいきませんでした。
感情の起伏が激しくて、自分で自分がコントロールできないのでしょう。自分で自分がコントロールできない人を相手にするには、同年代の男では、振り回されるだけでどうにもなりません。そういう意味で、浦賀仁は、うまい配置だったかもしれません。
浦賀仁には、女性関係で、過去に事件があったようで、下巻のもう一つの柱は、浦賀仁の過去の女性がらみの話、ということになります。
主人公の藤枝黒江が、浦賀仁に助けられながら、もう一方で、浦賀仁を助けながら、黒江の写真家としての仕事のとっかかりを見つけて行く展開になっています。
この辺は、うまく構成された物語になっていると言えるでしょう。
また、上巻で肩すかしを食ってしまったと思っていた、自転車置き場で黒江を襲った人物や幼いころ黒江に性的悪戯をしている写真を送りつけてきた人物が明らかにされています。作者は、忘れていたわけではなくて、意図的に、後回しにしたようです。
幼い子供に性的悪戯をしようとする人たちが後を絶たない世の中では、この本の物語をはじめとする、島本理生が繰り返し取り上げるテーマが意味を持つのかもしれません。
それはそれとして、廃墟を取っていた浦賀仁がグラビアを飾る女性を撮るカメラマンになってしまうなんて意外な展開でした。島本さんは、最初から意図していたのでしょうか?それとも、書いてゆくうちにそうなってしまったのでしょうか?聞いてみたいところです。
●タレント(25頁)
色んな女の子がいた。テレビの印象のままに感じの良い子。大人しそうなルックスとは裏腹に、女王みたいに振る舞う子。いつも仏頂面で、不機嫌そうな子。
でも、どの子もカメラを向けられると、いきなり花が咲くように目を大きく開いて、全身の神経を使って、表情やポーズを作った。一番魅力的な撮られ方を知っていたし、売れて行く子ほど、どんどん飽きさせない工夫をしていた。
●好み(28頁)
(紅子)「外見がすごーく好みで性格が合わないのと、外見はいまいちだけど性格のいい子だったら、どちらを選びますか」
(仁)「一生独身でいますね。僕の好みは、美人で性格とスタイルがよくて僕に優しい人ですから」
●好きだけど嫌(186頁)
彌生君が好きだ。でも普通の男の人になるときの彌生君は嫌だ。
●セックスは(194頁)
セックスは、私が人に必要とされる数少ない方法で、それ以外には意味なんてないのに。
●新興宗教「赤と青の門」(227頁)
単に個々が集まってきて「悪とは何かを教え合い、互いに懺悔して、反省する」場所なんです。
信者の中で、一番多かったのが、自分の親に虐待された人でした。
●生きること(254頁)
生きることは素晴らしいことだと思い込まされて、だから、そう感じないのは変で、いつか素晴らしくなるから生きるべきだと信じていた。
でも本当は、生きることなんて、つらいのが大前提���ゃないだろうか。
何かを傷つけて、死んだものを食べて、欲望に追い立てられて。あるいは欲望を持つ者に追いかけられて。誰かを救ったって、そんなの罪滅ぼしと変わらない。
●女の人(327頁)
女の人というのは、たぶん僕らが思っているよりもずっと多くのものから傷つけられて、生きてる。
藤枝黒江、彌生君、
浦賀仁、聖良さん、
小田桐綾乃、
西田君、梨華子さん、
☆島本理生さんの本(既読)
「大きな熊が来る前に、おやすみ。」島本理生著、新潮社、2007.03.30
「あなたの呼吸が止まるまで」島本理生著、新潮社、2007.08.30
「クローバー」島本理生著、角川書店、2007.11.12
「CHICAライフ」島本理生著、講談社、2008.06.26
「波打ち際の蛍」島本理生著、角川書店、2008.07.31
「真綿荘の住人たち」島本理生著、文藝春秋、2010.02.10
「あられもない祈り」島本理生著、河出書房新社、2010.05.30
「アンダスタンド・メイビー(上)」島本理生著、中央公論新社、2010.12.10
(2011年3月8日・記)
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ずっと憧れてきたカメラマンの仁さんの家に転がり込んで
弟子入りした黒江は半ば家政婦のように暮らしていた。
仁さんのほかに、昔アシスタントをしていた西田君にも仲良くしてもらい、
なんとかアシスタント業務をこなしていた。
茨城に戻ることをずっとためらっていた黒江だったが、
中学の同級生の葬式のときに思い切って戻り、
再会した彌生君と再びつきあうことになった。
仁さんとは本当に何もないのかと聞かれるが、
昔自殺してしまった美人の彼女を未だに引きずっている仁さんには
驚くほど女っ気がないのだ。もちろん黒江に対しても。
仁さんの仕事で試写会に向かっている途中の歩道橋で
その彼女にそっくりの綾乃さんと出会う。
是非モデルにと猛アプローチをかけるも冷たく断られるが、
繰り返し彼女の元を訪れることで黒江が撮るならとOKをもらう。
そのことを話した夜、なかなか手を出してこない彌生君に
業を煮やした黒江は彼をホテルへと誘った。
しかし自分から誘ったにもかかわらず、
黒江は彌生君と寝ることに違和感を拭うことができなかった。
彌生君は黒江にとっての神様だったから。
そのことがうまく伝わらずに彌生君と別れ、
綾乃さんとの撮影旅行から帰ると、
黒江の母が行方不明になったと警察から留守電が入っていた。
母は今世間を騒がせている通り魔事件に関係する
宗教団体『赤と青の門』の信者だったのだ。
そして黒江はすべてを思い出した。
耐え切れなくなり自殺未遂を図った。
教団の集会に行ったことがあること。
罪を実践し、共有する団体の仕組み。
父親の居場所を訪ね、母親へ積年の思いをぶつけ、
黒江は再び写真の世界へ飛び込んでいく。
装画:小林直未 装丁:多田和博
辛い事件がどんどん重なっていく上巻とは異なり、
重い過去が明らかにされていくことで
未来へと目を向けられるようになる下巻です。
コンプレックスとかトラウマとか
軽々しく使っているけれど本当はこんなに深刻な意味を
持っている言葉なのだと気づかされました。
そしてこれだけ不幸なことが立て続けに起こっても
前を向いていける黒江の強さが頼もしいです。
人間にとって救いとは何なのか。
許す、許されるとはどういうことなのか。
それを宗教団体に見出す人もいれば、
付き合っている人に感じる人もいるし、
顔も知らない女の子に救われる人もいる。
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長編小説でした。何の変哲もない一人の女性が、新宗教にのめりこむ母と幼児性愛の性癖を持つ父、自分を強姦する男性、どうしても普通にすることのできない恋愛などを通して、自分の本質に気づき、崩壊し、やがてゆっくりと羽ばたいていく。多くをなくしたけれどそれでも前を向こうとする主人公は、実はこんなにも多くの人に愛されていたのだと、徐々に気づかされます。苦しくなるストーリーですが、読み終えた後、読んで良かったのだと思えました。
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上巻では不安定さがあった主人公が、色々な経験や体験をした事もあって、徐々に力強さが増してくる。生きる事、自分の夢に向かって行く事。何が正しくて、何が間違えだったのかを気づき、少女が大人になって成長していく。今まで読んだ島本さんの作品の中で一番好きかも知れないです、はい。
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表面は若者の恋愛ものでリズムよく展開していった上巻には、いろいろな仕掛けがしてありました。下巻は、それらを受けて重たいテーマ(家族・宗教・幼児性愛)を人物描写の魅力で力強く展開させています。
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カメラマンの師匠 仁さんのことが好きだったのかなぁ
黒江にとっての神様
私にとっての神様って?
どんどん引き込まれていって一日で読んでしまった