紙の本
突き詰めるとこうなるのか
2023/07/17 20:35
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投稿者:Ottoさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
大学教養課程アルアルで生協で買った。しかしいきなり「なぜわたしはこんなに賢明なのか」ときた。やはり学生らしく、「なに言ってんだ、偉そうに」と放り投げた。それでカントやハイディガーなどとともに本棚の隅でほこりを被っていた。
数十年の年月を経て、ようやくこの本を読んでみようと思うところまでたどり着いた。ニーチェは、神は死んだといったが、中世なら異端審問にかけられ火あぶりだろう。最近はあまり言わないが「天才と〇〇は紙一重」という言葉がある。ニーチェのことか?神と道徳を否定し、一切の価値の転換を行うことがどれほど危険なことか。精神が崩壊するのは、超人にしてもなお止むを得ないところなのか。ヨーロッパにおいてキリスト教の呪縛がそれほど根深いということだ。
なお、177頁「偶像のたそがれ」2の2行目 永遠の「偶然」は「偶像」の誤植、2010年に改訂版が出ているが修正されていない。
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尾崎豊に似た、ニーチェ
2009/07/05 00:28
5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ホキー - この投稿者のレビュー一覧を見る
●キリスト教道徳は、ルサンチマンという負の感情から発達したもので、自然(ピュシス)の本性に反する忌むべきものを価値あるものと思い込ませ、人間本来の生のありかたを障害するデカダン(退廃主義)である。
●そのデカダンの起源は、現実の世界より観念の世界に重きをおいたソクラテスの哲学にまでさかのぼる。
●人間本来の生のありかたとは、絶え間ない自己超克、すなわち、超人による永劫回帰である。
という、ニーチェの基本思想が、ニーチェ自身の言葉で理解できる本である。
しかし、偉大な自己の力をもった超人がわざわざ行う「永劫回帰」というコンセプトが、ちっとも魅力的ではない。仮に僕が超人だったとして、永劫回帰の人生を送っても、死に際に「僕の人生ってなんだったんだろう」という不全感が残る、見返りのないものに思える気がする。
この魅力のなさは、当時のドイツの状況まで含めるとどうなのか知らないが、おそらく、自己をあまりにも独立的に位置付けたせいだと考える。
ニーチェの議論と裏腹に、「真理をはじめて創り出す者、世界を統治する精神」(p.146)と言う時の、超人の「自己」すら、もともとは他者や世界に依拠して成立しているのである。もしくは、「われわれはしっかりと自己の上に腰をすえ、毅然として自分の両足で立たなければ…」(p.88)という時の「自己」や「自分」が腰をすえている場所が、他者や世界なのである。「人間的な、あまりに人間的な」という時の「人間」も同様である。
つまり、本の趣旨上仕方がないとはいえ、自己が自己として存在するための世界や他者の必要性を、ニーチェは欠いている。
このことと矛盾せず、現実の他者や世間の習慣への評価が、不必要に辛口で、一方の自分を「人間と時間を超えること六千フィートのところ」(p.133)にいるとして、あらゆる人間や存在と自分が無関係のように説いているところからも伺われる。
実は、ニーチェ自身も指摘しているように、永劫回帰と思われた超人の在り方もまた、自然(ピュシス)の原理に依拠しているはずである。したがって、あらゆる人間の本来の自己に、共通して必要な、自然(ピュシス)的生の在り方にもとづく、社会や集団のありかたが検討されるべきであったのである。
他者や世界と自己との関わりをないものとみなし、自分一人が、世界より六千フィート上方に位置している、と考えていたニーチェは、その思想と矛盾せず、この執筆の翌年、我々の位置から見れば「彼岸」に、文字通り飛んで行ってしまったのである。
以下は、蛇足だが、このような人間観ゆえに発狂せざる負えなかったニーチェのシソウ(思想・死相)は、中原中也や尾崎豊に似ていると思う。
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この人をみろ
2001/09/09 14:44
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投稿者:げっぷ5号 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ニーチェが今まで書いてきた作品に対する自分の評論をまとめたもの。相変わらず、ニーチェらしく自意識が強いというかナルシズム旺盛な評論である。ニーチェをもっとより深く知りたい人にお勧め。
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ギャグなんじゃないかと思うくらい冒頭から自信満々で読んでいて清々しい気持ちになります。
凹んだときに読むと元気が出ます。
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ニーチェという人は人は非常に高慢というか、自信過剰というか、毒舌なオッサンなのですが、それが逆に人間臭くて、そう言う所も魅力なのでは無いかと思うのです。しかし、これを出版しようとした事自体が凄いと思う。
もう、これを書いた時点で少し狂乱な状態だったのかも知れないけれど、所々、ジャックナイフ的にハッとさせられる
セリフがあったりします。
個人的には「死後にも残る作品を生み出すには、その作品を創造している間に何度も死ななければならない」という言葉が印象に残りました。つまりはそれぐらいの苦労が必要だという事だと。でも、結局の所、言い訳ばっかりなんですよね。なんで、俺を認めてくれないんだ!!…って言う感じが文章からひしひしと伝わってきます。そう言うところからドイツを批判してばかりなんだろうなって。あとはワーグナーが好きなんだなって。
まぁ、人間臭い人ですよ。「超人」では無いと思います。お後がよろしいようでw
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「あらゆる理想主義は、必然的なことを隠し立てしている虚偽だ――、そうではなくて必然的なことを愛すること……」
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「私はどうしてこんなに偉大なんだろう」
悶々と独りで思索を続けたニーチェ。
でも晩年梅毒におかされ、生ける屍のようになってしまう。
嫌っていた姉の長年介護された後、この世を去る。
姉はニーチェの著作を利用し、ナチスに協力していたという説あり。
切ないのう。
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おっさん、どんだけ自意識過剰だよとも思うのだけれど、
神を否定し、主張する「超人」の概念。
非常に納得する部分がある。
宗教や道徳は理性なんだ。
その理性に統制されて達することは可能か。
否。なぜなら、言語は経験した範囲でしか理解できないから。
つまり「隣人愛」という概念を頭に入れたところで、
そこから自身の行動を統制することがあるにせよ、
認識が追いついていないし、隣人愛という概念を悟った経験がないから、
結果的に理性先行、人間の破壊にむかうというわけかな。
だから必要なことは、ただ自分を規定しないこと、規定によって行動の範囲を狭めないことになるのか。
結局は、自分ってのは克服を重ねることでしか見えないわけだから、
その時点ではわかりようもない他者であるのだと思う。
「ひとが本来のおのれになるということには、その前提としてそのひとが本来のおのれをいささかも予感していないということがなければならない」
「わたしにはかつて何かを営々努力したという記憶がない」
「何事かを欲する、何事かを求めて励む、ひとつの目的、ひとつの願望から目を離さぬ、こうしたことを経験したことがない」
「体験上理解できないものに対しては耳を持たない」
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それはギャグで言っているのか?
というような各章の章題が衝撃的でした。
あまり内容を覚えていないけれど、後に陥った狂気が垣間見えるような気がします。
あ、「ドイツ人は食ってるものが悪い!」と怒ってましたね
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ニーチェ本人による自著の解説。
もう一度、『悲劇の誕生』から読んでみたいという気持ちにさせられた。
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だめだめ、こういうの読むのやめよって思うんだけどねー。
危険だよね、よくわかんないのにこうして訳書を読んで、
断片的に理解して、勝手に暗くなるのって。
危ない危ない。
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初めてのニーチェでしたが読み始めて絶対ニーチェとは友達になれないと思いました。自意識の高さ、プライドのあまりの高さ、、最初は辟易としました。が、このテンションの高さにだんだん押されてくる。ここまで言い切る力強い、狂気は引き付けるものがあります。
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とりあえず読み終わってよかった。挫折するかと思った。
ニーチェの自慢話です。「俺ってスゴクね?」と言っています。
読んでいてもかなり不愉快ですが、
でも何かある気がします。
だまされてるだけかもしれないけど。
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『なぜわたしはこんなに賢明なのか』、『なぜわたしはこんなに利発なのか』、『なぜわたしはこんなによい本を書くのか』など「なぜ~」シリーズと『ツァラトゥストラはかく語りき』、『善悪の彼岸』など各著書の解説文を収録した本。
この本でも人々のルサンチマンの温床となる「道徳」を捏造してきたキリスト教に矛先を向けて筆を揮っている。これを読むとニーチェがやたらとポジティヴ志向であることがよくわからない。
「出来のよい人間は、堅くもあるが、同時に弾力性をもってよいにおいのする木で彫られているということ、これがその目安である。」という一節を心に留めておきたい。
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ひゃっひゃー(・∀・)
おもしろすぎたww
真剣に「なぜ私はこのように賢明なのか」
「なぜ私はこれほど利発なのか」
「なぜ私はこのようなよい本を書くのか」
電車の中で笑いをこらえるのに必死でした。
この1,2週間電車で乗り合わせたたくさんの人の中でまさか19歳の女の子がニーチェ読んでると思った人はいないだろう。
途中からの著書の解説は元の本を読んでないのでよく分からなかったけど、一貫してたのは
ドイツ大っっっ嫌い!!ヽ(`д´)ノ
「飛びきりドイツ軽蔑者と見られることは私の野心でさえある」
どんだけ嫌うねん(笑)
よくもここまで嫌いである理由を書けるなぁと感心するほどです。
ドイツ生まれがww
こんな本は初めてですね。
文体といい主張といい、他にはない。
他にあったとしても気が触れてると無視されるだけです(^q^)
いや~、刺激物だった。