紙の本
よく分からないときは、自分でよく考えてみること。特に、難しい言葉だけで分かったような気にならないこと。
2006/06/14 23:22
5人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:未来のための哲学講座・主宰者 - この投稿者のレビュー一覧を見る
先哲の知恵の中から、レビューア自身の理解と解釈により再構成したものを、一つご紹介いたします。本書に出会うための一つのきっかけにしていただけたらと思います。
【よく分からないときは、自分でよく考えてみること。特に、難しい言葉だけで分かったような気にならないこと。】
難しい言葉で、いかにも深遠なことを語っているかのような、しかしよく意味の分からない議論に出会ったら、自分の理解力を信じて、そこで使われている言葉をよく考えてみること。しばしばあることだが、話している本人さえ、よく分かっていないことがあるものだ。
私たちは、すべての概念を言葉と結びつけてしか覚えておくことができない。このようなわけで、最初はそうでなくても後になると、その意味や概念よりも言葉のほうを簡単に思い出すものだから、言葉だけを相手にして、理解したと思いこんでしまうのである。
あいまいな議論は、彼らをして大胆に語らせるだろうし、また不明瞭ゆえに、彼らを説き伏せるのも難しいものなのである。彼らはまったく、目の見えない者が目の見える者と対等に戦うために、相手を真っ暗な洞窟に連れ込むようなものなのだ。注意せよ。
分からなかったら、自分でよく考えてみること。
(ルネ・デカルト 1596-1650)
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一部、二部の訳出。ナルホド、明晰判明な本。理屈はしごく解りやすい。中世スコラ学の用語を使いながら意味は微妙に違うという、デカルト流スコラ学とでも言おうか…そんな感じの本。考え方は革新的なのかもしれないが、スコラ学から抜け出しきっていないという感じがなんとなく好きだ。個人的には第一部がオススメ。
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デカルトの哲学が体系的に整理された著作。第1部が形而上学で、省察などよりも分かりやすく展開されています。教科書的なスタイルであるからかもしれない。第2部以降は、現代の目からは誤りも多く、現代的価値が失われていますが、形而上学との関わりが見られる点で、なお読む意義があるでしょうか。
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ここのとこ、哲学書とくれば圧倒的な読みやすさを誇る光文社新訳だったので岩波のひたすら堅い文体に四苦八苦。ですが「難点に拘泥することなく小説を読むようにざっと全体に目を通してほしい」という冒頭の書簡の言葉に甘えて、ざっと把握\(^o^)/すべてを疑えと言ったはずのデカルトがどうして神だけは信じることができたのか。自らの目を開いて歩いていたはずのデカルトでもそこは超えられなかったのか?そうまで内在化していたのか。異教徒の存在は前々からわかっていたはず。なのになぜこうも躍起になっているのか。わからない
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神の存在を肯定してしまったところから、こんなにもずれていってしまうのだな、と思った。正しい地点から、正しい順序で、哲学していっていたはずなのに、なぜ神の存在に疑問を抱かなかったのか。時代的なものも勘案しなくてはいけないかもしれないけれど。
それでも哲学の仕方は今でも勉強になる。
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個人的には省察よりもこちらのほうが明快で好きだ
方法序説と哲学原理、といくほうが、把握しやすいのでは?
省察は論理の組み立て方が独特過ぎて、ちょっと簡単には追えないと感じた
ただ、序説、省察、哲学原理と、整理されてはいくものの、続けて読むと、大筋は同じ話なので、段々とうんざりしてもくる
二部も面白そうだったが、割と飛ばした
また思い起こしたときに戻ってきて読もう
そんで、デカルトに戻ってくるときは、哲学原理に戻ってこよう、と思った
次は情念論
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自明的なこと
【哲学者たちは、最も単純で自明的なことを、論理学的な定義によって、説明しようと試みた点で誤りを犯している。】
「哲学者たちは、最も単純で自明的なことを、論理学的な定義によって、説明しようと試みた点で誤りを犯している、というのは、そうすることによって、それらを不明ならしめたからである。そして私が『我思惟す故に我あり』という命題が、誰でも正しい順序で哲学する人の出会う、最初のまた最確実な命題であると言ったとき、その故に、私はその前に『思惟とは何か』『存在とは何か』『確実性とは何か』、さらに同じく『思惟するものが存在しないことはあり得ない』等のことを、知らねばならぬことを否定はしなかった。しかしそれらは最も単純な概念であり、それらだけでは存在する事物を知らせはしないので、従って数え立てる必要を認めなかったのである。」
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人間認識、物質的事物の二部構成。
第一部は「省察」の内容とほぼ
同じ。第二部は物理に関する考察
になっている。
個人的には「省察」の叙述形式
で語る形而上学の方が分かりすく
感じた。哲学原理はその思想を
分解して数学的定義として整理
したものだ。
第二部は物理について語られて
いる。やはり引力の発見以前
ということもあり、解釈に誤謬
があったりもするが、概ね、
しっかりとした理論展開で納得
させられる。
例えば、物体はどこまでも
分割可能として、物質の
最小単位を原子とする学説を
否定している。現在、物質の
最小単位は素粒子ということに
なっているが、あくまで確定
ではなく現段階で発見された
単位に過ぎない。
つまり、デカルトの主張は、
まだ、覆されていない。