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大学の文系の教員の生態については、『文学部唯野教授』をはじめいろいろ書かれたものがあるが、工学部の教授の生態について書かれたものはほとんどないという。先にあげた長尾真さんの本などは珍しいものに属するのだろう。研究テーマに対する取り組み、「問題の発掘」などは当然ながら似通ったものを感じるが、長尾さんがつぎからつぎへと新しいテーマを発掘していったのに対し、ヒラノ教授は新しい鉱脈を見つけても、古い鉱脈をすててしまわないことだと言う。それは、従来からの仲間との軋轢を防ぐことにもなるし、また、二つあるとデッドロックにのりあげたとき、「食いつなげる」のだという。自分自身について言えば、だいたい文法研究と語誌研究がそうで、この間を行き来していると精神的にバランスがとれる。今野さんは、東工大の研究科長まで勤めた人であるし、学問的には国際的にも活躍した人である。長尾さんのように学長までもいかないまでも、行政、研究で秀でた人である。それが、長尾さんの本と違った魅力をもつのは、今野さんが大学、いわんや工学系では冷や飯的存在である一般教養の教員時代を経験し、決していつも大学の主流にいたわけではないところにある。本書で、ぼくが面白いと思ったのは、今野さんがあげる、「時間を守る(納期を守る)」以下、工学部の七つの教えで、これは実にあじわい深い。
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東大、筑波大、東工大、中央大の工学部を経験した、純粋エンジニアではない工学部教授による、工学部の実態。
私も工学部出身だが、「そうだよね」と腑に落ちるところと「そうだったんだ」と初めて知るところと様々あった。
特に最近の、大学院重視や独立行政法人化、予算削減のあたりには、危機感を感じる。
(我が母校もいろいろ変わったけれど、原因はこれだったのか。)
文学部唯野教授を意識している文章表現もちらほら見え、ほほえましい。
工学部に無縁な方もぜひ一読を。
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息子が理系大学を目指すらしいので、文系の私は、理系大学が知りたく、読んでみた。
大学のセンセーなるのもの、研究と教育にいそしんでいるのかと思いきや、諸事雑事が多いらしい。
出張旅費支給のためにキオスクの領収書が必要、というのは、冗談かと思った。
国もくだらない天下りをさせるのであれば、もっと、優秀な人材に思いっきり研究させてやってくださいよ。
東工大が理系国公立の雄であることは、なんとなぁーく解っていたが、スゴイ学生3人の記述は度肝を抜いた。こういう学生を国家の頭脳にできないのであろうか。それこそ頭脳輸出になったら、目も当てられない。
就職難の今、理系大学を出ても、大学院に進まなければ希望した職にはつけないらしいし、ましてや、大学に残るなんて至難の技。
あー、息子よ、それでも理系に進みますか???
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工学者の著者が、工学部の実態をつづった本。過去に著者の本を読んだ事があるが(確か、そっちは経済学者etc.への恨みつらみが書かれていて、何か避けてしまった覚えがある)。
読了後の感想は、教授を無駄遣いしていいの?いいわけないだろ、だった。入試業務、学内会議、学会雑務、とか、えっ、これって先生がやる必要あるの?って、自分で見ていても思う。著者がアメリカの例を持って来るのは相も変わらず癪に障るんだが(失礼!)、比較したくなるのも当然だとも思う。。根が深い問題な故、これだけで何か発言するのはいけないと思うけど、本当に大学はヤバい場所だと思う。そもそもこういう話が外部に漏れてこないと言う意味でも。
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東大、筑波大、東工大、中央大と渡り歩いた著者の「大学すごろく」について書かれた本。
日本の理工系大学の実態に関する、ある意味「暴露本」。
大学の先生は、しなくてもよい仕事に追われている、という私も感じるような実感が、よく現れていると思います。
研究や教育に時間を割きたいのに、あまりに他の事に時間を取られすぎています。
なんとかならんもんでしょうか。
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平教授の役得 1好きな研究が出来ること2若くて優秀な学生とともに過ごせること3好きなときに海外出張できること
工学部の教え
1決められた時間には遅れないこと 納期を守ること
2一流の専門家になって、仲間たちの信頼を勝ち取るべく努力すること
3専門以外のことについては軽々しく口を出さないこと
4仲間から頼まれたことは(特別な理由がない限り)断らないこと
5他人の話は最後まで聞くこと
6学生や仲間をけなさいこと
7拙速を旨とすること
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あとがきにあるように、日本の世の中は文系人に牛耳られ、理系人を扱いやすい働き蜂にしか思ってないようだ。私自一応身理系人で「キーッ」と思うが、いろいろと締め付けがきつくなる中、それなりに生き生きと仕事(研究)をしている人が多いのは、好きなことを仕事にしている人が多いためだと思う。日々接する人のほぼ100%が理系人の私はそう感じる。(読書メーターにも掲載)
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ちょっと回りくどい言い方もあるけど、大学教授というポジションの姿を筆者の経験を元に書いた本。読んでいて今まで知らない面がいっぱい見れてよかった。
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工学部の内輪話シリーズ第三弾.前著「すべて僕に任せて下さい」との重複も多い.表紙は東工大の本館.私は近寄りがたさを感じさせるこの建物がどうも好きになれない.
内容は,相変わらず.一流大学の工学部で過ごした研究者人生の自賛.
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各種書評に取り上げられている話題の本。確かにすいすい読めておもしろい。著者の力量に脱帽。特に、理学部&工学部出身で,現在,総合大学に勤務する私にとっては「そうそう、そうなのー!」と共感できる部分が多くて。
お気に入り箇所をいくつか引用。
P.53 文系一匹狼たちの頭の中は・・・
○一匹狼は、東工大に対して忠誠心を抱いていないこと。
彼らは大学や学生のことより、自分のことが大事なのだ。
○彼らは、必ずしも本音を述べているとは限らないこと。
相手を論破するためであれば、詭弁を弄することを厭わない。
○議論はその場で首尾一貫していれば、それでいいと思っていること。
一ヶ月後に180度違うことを言っても、状況が変わったと言えばそれで済む。
○彼らは数学ができる人に対して、劣等感(もしくは嫌悪感)を抱いていること。
彼らが理系人間を敬して遠ざけるのはこのためである。
P.97 工学部の教え7ヶ条
第1条 決められた時間に遅れないこと(納期を守ること)
第2条 一流の専門家になって、仲間たちの信頼を勝ち取るべき努力すること
第3条 専門以外のことには、軽々しく口出ししないこと
第4条 仲間から頼まれたことは、(特別な理由がない限り)断らないこと
第5条 他人の話は最後まで聞くこと
第6条 学生や仲間をけなさないこと
第7条 拙速を旨とすべきこと
心します。
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大学教授の処遇がわかる。教授のポジションは数に限りがあり、運がよくないとなれず、研究予算を獲得するために様々な手を尽くさなければならない。
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読まなくても良かった。面白くはないけど、何だけど、って思う。著者は、
エンジニアとそのコミュニティの慣例の優れている部分とそうでない部分を
誠実に記述していると思う。「役に立つ一次式」は、とても面白く、この著書も
そうだろうと手を伸ばしたが、冒頭の批判が尾をひき複雑な気持ちで読み進めた。
老害や不毛なしがらみに対しての不満は、中盤に記載されている世界競争を
勝ち抜く責任感に素因するのかなと思えた。簡易な動機で研究する姿勢は、
駄目だと改めて感じさせられたと思う。
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現役の工学部教授が書いた工学部教授の実態。ご自身の体験をモデルにしたノンフィクション風小説、。
大学の先生って、こうなんでしょうとうい感じ。エンジニアだという気概をお持ちの学者さんが多いらしい。文系からすると、理系は理学も工学もいっしょくたにしがちですが、とっても違うらしい。
考えてみれば、物理とか数学ってつきつめると哲学に近くなっていくようなきもするし、生物学や天文学も哲学的な発想に近づいていくけれど、建築や機械ってそれとは違うなあと思う。まあ、文系だって人文科学と社会科学じゃえらく違うけれどね。
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工学部ヒラノ教授の優雅な生活といった感じ。民間ビジネスマンと比べると言い過ぎかもしれないが「気楽な家業ときたもんだー」。とはいえ教授商売を淡々と教えてくれた点は評価。
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大学教授ってこういうものなのか・・・。工学部だけど、共通するところもあるんだろうな〜とか思いながら読みました。おもしろかった。