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トラウマ映画館 みんなのレビュー

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みんなのレビュー51件

みんなの評価4.5

評価内訳

51 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

トラウマよ、トラウマよ!

2011/04/12 23:58

8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:峰形 五介 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 著者には失礼な話だが、私にとって本書は『〈映画の見方〉がわかる本』の第三弾が出るまで(年内には刊行されるらしい)の繋ぎのようなものだった。
 で、軽い気持ちで読み始めて……打ちのめされた。キツい。これはキツい。かなりキツい。なにせ、本書で紹介されているのは、夢が破れ、絆が壊れ、良心が裏切られ、正義が踏みにじられ、愛が報われることもなければ、孤独が癒されることもなく、決して答えの出ない問題を突きつけて苦い後味だけを残す映画ばかりなのだから。
 幸か不幸か、私が見たことのある映画は一本もなかったので、「そういえば、こういう映画、あったよね」とか「この映画、子供の頃に見たことがあるような気がするな」というようなノスタルジックな気分に浸って逃避することもできなかった。
 そんな二十数本のトラウマ映画のなかで特に気になったのは以下の四本。


『悪い種子(たね)』
 罪悪感を抱くことなく殺人を犯していく八歳の少女(スチールに写っている顔がまた怖いんだ)を描いた作品。あまりにもショッキングな内容だったので、製作者は勧善懲悪な結末とカーテンコールを撮り足したという。しかし、凄惨な物語にお気楽なカーテンコールを付け加えたら、却って不気味な感じがするのでは?

『マンディンゴ』
 アメリカの奴隷制度の真実を描いた作品。「真実」であるが故に映画評論家たちから叩かれまくったらしいが、同じく映画評論家である著者は言う。
「『マンディンゴ』の物語は確かに差別的で笑ってしまうほど残虐で愚劣だが、それは実際に奴隷制度が差別的で笑ってしまうほど残虐で愚劣だからだ」

『眼には眼を』
 復讐する者と復讐される者との地獄の道行きを描いた作品。作品は当然として、母との確執についての著者の挿話も興味深い。ちなみに著者は本書を母に捧げている。

『愛すれど心さびしく』
 心優しき聾唖の男が寂しい人々の魂を癒して小さな幸せをもたらしていく様を描いた作品……ではなく、「共感を込めて描かれた登場人物すべての夢と希望が無残にも踏みにじられていく」(本文より)という残酷な作品である。しかし、ただ残酷なだけの映画ではないのだろう。『悪い種子』と『マンディンゴ』は日本でもDVD化されているが、本作は未DVD化(AmazonではVHS版に高値がついている)で原作も絶版。この原作も映画以上に残酷な物語であるらしい。


 これらのトラウマ映画を未見であることについて「幸か不幸か」と書いたが、「幸」だと言い切れる人――甘い感動だけを映画に求めている人には本書は必要ないだろう。もしかしたら、映画そのもの(だけでなく、物語というもの自体を)も必要としていないかもしれないが。

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紙の本

忘れるには美しすぎる

2011/06/28 08:15

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 「トラウマ映画館」という不思議なタイトル。その意味を「あとがき」で読むと、「観ている間、グサグサと胸に突き刺され、観終った後も痛みが残った」映画だということになる。そして、著者の町山智浩氏は「その痛みは、少年にとって、来るべき人生の予行演習だった」と続ける。
 映画から教わるものはたくさんある。恋情、嫉妬、歓喜、絶望、人生、老い、そして痛み。それがたとえどんなB級映画であったとしても。

 本書で紹介されている25本の映画は『質屋』のような名作が一部あるが、ほとんどはB級作品といっていい。しかもその作品の多くを町山氏は子供時代にTVの映画劇場で観たという。
 そういえば、昭和40年から50年にかけては、夜だけでなく昼の時間にもTVで映画を放映していたものだ。あれは自社で制作するよりも廉価で放映できたことによるものだったからだろうか。
 私にも記憶がある。町山氏のようにくっきりとした痛みにならなかったのは、町山氏と違い、ぼんやりした少年だったせいだろう。
 ただ、そのようにして大人の世界に一歩ずつ近づいていったのかもしれない。

 私が本格的に映画を観始めた作品はバーバラ・ハーシー主演の『去年の夏』(1969年)だった。
 その映画がこの本に取り上げられている。当時高校生になったばかりの私にはバーバラの早熟な裸身がまぶしいばかりで、今回久しぶりに全編のストーリーを思い出した。懐かしかった。
 それは『去年の夏』ばかりではないだろう。町山氏が紹介するその他の作品で、同じような思いにたどりつく人はたくさんいるのではないだろうか。
 それは、本書で紹介されている『去年の夏』のポスターの惹句、「去年の夏は、忘れるには美しすぎる。思い出すにはつらすぎる」とよく似た感情だろう。

 開演ベルが聞こえてきそうな映画エッセイである。

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紙の本

時代のずっと先をいっていた映画に時代が追いついたことを明らかにする、実に明晰な映画評論

2011/06/03 06:50

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:yukkiebeer - この投稿者のレビュー一覧を見る


 1962年生まれの著者が70年代にテレビで見た映画の中には、今ではDVD化もされていない忘れられた作品が山ほどあります。著者の幼い目と心に焼き付けられたそうした作品群から25本を選び出し、再評価の光を当てようと試みる一冊です。

 取り上げられる作品の多くが、公開当時には評論家の酷評を浴び、興行的に失敗し、映画史に名を刻まぬまま姿を消していきました。それはなぜなのか。
 著者の手によって解明されるのは、そうした作品の多くが、時代のずっと先を行っていたがゆえに正しく評価されていなかったということです。

 サイコパスの存在を予測していたといえる『悪い種子』(1956年)。
 濃密な近親相姦的母子愛がやがて60年代後半以降のカウンターカルチャー世代を生むことを予見していた『不意打ち』(1964年)。
 アイドルを政治利用するという全体主義的企みを描く『傷だらけのアイドル』(1967年)。
 80年代の武装民兵たちの思考様式を70年代に先取りしていた『コンバット 恐怖の人間狩り』(1976年)。
 時代を見抜く力を持ちながらそのことに気づかれなかったこうした作品群を、慈しみをもって丁寧に拾い上げる。そして著者の手によって埃を吹き払われ、新たに磨き上げられた映画たちは、思わぬ輝きをもって私たちの前にその姿を現すのです。
 あたかも17世紀の画家フェルメールを19世紀末に再評価する試みにも似た斬新な評論活動は、まさにこの著者ならでは。

 さらに著者は自らの出自に照らし、そのために味わった忌まわしい記憶を呼び起こしながら、映画の中に自己を探りあてる文章を綴っています。
 映画にしろ、小説にしろ、その中に自分の姿を見いだせた時、作品世界に分け入ることの真の充足感が得られる。痛みを伴う自らの来し方をさらけ出してまでそのことを訴えかけるかのような著者の文章に、強く胸打たれました。

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2011/04/03 03:20

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2011/04/03 05:33

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2011/05/09 14:00

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2011/04/07 02:53

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2011/04/13 22:29

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2011/04/11 03:01

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2011/04/14 00:29

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2011/04/18 20:55

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2011/05/06 01:39

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2011/05/18 08:52

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2011/05/10 16:22

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2011/05/15 00:30

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