紙の本
人を呪わば穴二つ
2020/09/14 20:33
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投稿者:earosmith - この投稿者のレビュー一覧を見る
エドワード4世妃エリザベス・ウッドヴィル。肖像画を見るとたしかに美人で、エドワード4世がこっそり結婚してしまったのも頷けます。王妃になるには身分が低すぎますが愛人になるにはプライドが高すぎるなんて言ってましたが、王妃になった途端大勢の弟妹達を貴族と結婚させまくり、どんどんがめつくなっていく様がリアルでした。ロンドン塔の王子達の悲劇も、孫ヘンリー8世の王妃達の悲劇も全ては彼女に原因があったのではないでしょうか。娘、エリザベス・オブ・ヨークの本もあるようなので邦訳を期待しています。
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森川久美の「天の戴冠」を詳しく解説してもらったようでした。系図から省かれていますが、廃位されたリチャード?世から、エリザベス?世までの間のイギリス王家の歴史を彩る紅白の薔薇。そして残された薔薇の色は血よりも濃い色をしてましたとさ。薔薇戦争シリーズと「ブーリン家の姉妹」を読んでみたくなりました。
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「ブーリン家の姉妹」の前夜を描く作品。
エドワード4世の時代の薔薇戦争の物語だが、身内同士で憎しみ戦う様子はすさまじく、英国王室の悲劇である。
英国の王室の歴史物語はフィリッパ・グレゴリーがおもしろい。
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下巻はテュークスベリー以後の話。こちらの方が上巻より物語の背景で起こっている事件が策謀渦巻く感じで面白い。が、いかんせん主人公がどこかに隠れてばかりの王妃なので戦場や議会等の歴史の表舞台のことは伝聞レベルの描写になるので物足りない。原文がそうなのか訳出の段階か分からないが、エドワードとエドムンド兄弟の順番やグレイの兄弟の順番がところどころ間違っているのが気になった。
17世紀の歴史家サー・ジョージ・バックが発見したと主張したエリザベス・オブ・ヨークがノーフォーク公に宛てて書いたとされる手紙の文章がうまく使われていたところと、ロンドン塔の2王子の殺害犯はバッキンガム公とヘンリー・テューダーだと思うとエリザベス・ウッドヴィルに言わせたところは作中のお気に入りの場面。
伏線が未回収のままボスワースの戦いの前で本作は終わり。最後まで読んでもついに魅力を感じられなかった主人公のエリザベス・ウッドヴィルにに比べて娘のエリザベス・オブ・ヨークの方が良いキャラなのでシリーズの次作が気になるが邦訳が出ていない。
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エドワード4世と結婚したエリザベス・ウッドヴィルの波乱の人生。
歴史上の謎とされる「ロンドン塔の二王子」の話をご存知でしょうか。絵画にもあるあの話、まさにあの頃です。
ヨーク家のエドワード4世は、母方の従兄でキングメーカーと言われたウォリック伯に後援されていましたが、ひそかにエリザベスと結婚したことで不仲に。
エリザベスの側も負けてはいず、家族の昇進や貴族との婚姻を推し進めて、宮廷絵巻(闘争?)が展開します。
エリザベスはエドワードとの間に10人もの子をもうけたので、幸せな時期もある程度あったわけですが…
運命は急変。
ランカスター家と手を組んだ反乱が起こり、エドワード王は捕えられてしまう。
エリザベスは隠れ住んで味方の再起を頼みにする日々。
混乱が続いた後、エドワードの末弟リチャードが権力を掌握、兄とエリザベスとの結婚を無効と宣言します。
こうなる前にも、エドワードたちの母親がダメな次男を可愛がって謀反を支援していたことや、ランカスター側のヘンリーの母親も名にしおう強気な女性だったことなど、女性たちが実にたくましい(笑)
ややこしい戦争の推移は割合あっさりと描かれ、ものすごく詳しくはないのがある意味読みやすいです。
エリザベスの息子たちはロンドン塔に送られて行方知れずとなり、リチャードに殺されたと長くささやかれました。
しかし…
エリザベス自身が最後に会った時、リチャードに語ったこと。これが作者の推理なんでしょう。
後に、エリザベスの長女が、ランカスター側のヘンリーに嫁いで、いわば英国統一、次代のテューダー朝へ。
以下の英国王家は皆、エリザベスの血を引いていることになります。
我が子を殺した犯人に向けられたエリザベスの呪いは…
そして、「ブーリン家の姉妹」に続く!(笑)
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母譲りの不思議な力は、娘に受け継がれていくのですね。
諸葛孔明が風を起こしたり、義経がモンゴルに逃げたりするように、歴史小説+ファンタジーとして楽しんだらよいのかしら。
権謀術数入り乱れの背景だけど、自分の子ども(と夫)には深い愛情を注ぎ続けた主人公。
彼女が長男を手にかけた人への呪いは結局どうなったのだろう・・・。