紙の本
時代の先頭を走りつづける写真家
2011/04/25 08:07
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
表紙の写真は、今や伝説の歌姫山口百恵の14歳の時のものだ。今から38年も前になる。
篠山紀信さんはこの後彼女が引退するまでずっと写真を撮り続けた。その多くの作品にどれほど魅了されただろう。
「混沌としながらも元気あふれる時代、その象徴が山口百恵でした」と、この本に篠山さんは書いているが、篠山さんの撮った山口百恵がいたからこそ、身近に彼女を感じられたかもしれない。
今人気絶頂のAKB48の少女たちにも同じことがいえる。彼女たちの明るさは一面でしかないと篠山さんは言う。「多感な少女期の不安や悩み、内に秘める嫉妬や凶暴性」をどう撮るか、篠山さんが被写体山口百恵にこだわったのはそういうことだったにちがいない。
本書は写真家篠山紀信さんの初エッセイ(なんだかそんな気がしないほど篠山さんは今までマスコミの最前線にいつづけた)集。篠山さんの写真とセットになって篠山さんの写真に対するこだわりが綴られている。
山口百恵、中村勘三郎、三島由紀夫、AKB48など時代の顔がつづく。篠山さんが撮ったから時代になるのか、彼らがいたから時代が生まれるのか。
写真家篠山紀信は常に時代とともにある。
本書には1991年の発売当時話題となった宮沢りえの写真集のことにも触れられている。
「18歳という幼い自分の裸身が本になり、大衆の眼に晒され、(中略)乗り越えてきたのが今の宮沢りえ」と篠山さんは評価しているが、そのことは篠山さんにもいえることだ。
常に時代の先頭をカメラを抱えて篠山さんは走りつづけてきた。だから、この本は写真家篠山紀信にとってまだ途中報告でしかない。
◆この書評のこぼれ話は「本のブログ ほん☆たす」でお読みいただけます。
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これは良かった!アイドル文化には否定的だったけど、篠山さんの明るいテンションで全肯定されると、なんで嫌だったのかも分からなくなった。写真家の哲学にも軽く触れられて、いろいろな気づきもある本。
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篠山紀信さんもアラーキーも死ぬまで現役なんだろうなあ。
つい、表紙の山口百恵ちゃんの写真と、「写真家人生50年。エッセイを初めて、今、書いた!」に釣られて買ったけど。
うーん。
紀信先生、官憲とかと闘いながらも、ゴージャスな写真撮り続けてください。アイドルから建築物から宝塚から男性ヌードまで。縦横無尽に。
追伸。
そして自分の中の篠山紀信先生は、素人の女の子を撮った『激写!』となんといってもあの宮沢りえの『サンタフェ』に尽きます。
ああ、あの村山くみ子嬢。確か、自分が大学浪人の時、郷里で、激写モデルの撮影会とかあって、友人がサイン入りポスター買ってきてくれた。ずっと置いてたのに、捨てちゃったよなあ。ああ、覆水盆に返らず。
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AKB48や、AKB48の「チームキシン」についての記述が、面白かった。
また、1991年(平成3年)11月13日に朝日出版社から発売された宮沢りえのヌード写真集『Santa Fe』(サンタフェ)の、あの写真と、宮沢りえについての考察も、興味深い。
デジカメで撮影するようになってから、また、写真の新しい楽しみ方が増えている、という点を、肯定的にとらえている。なるほど、と思った。
須磨海水浴場で知り合った女の子が、「私、篠山紀信に、グラビア撮ってもらったの」と言ったので検索すると、確かにヒットして、腰をぬかすほど、驚いたことを思い出す。携帯電話を落として、連絡がとれなくなったことも。
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タイトルに魅かれた。
時代の菩薩と呼ばれた「山口百恵」が可愛らしい目線を投げる表紙写真は素晴らしい。
大昔、山の手線で座る私の前に制服の少女が立った。ちょっと普通ではない(業界人風)の男2人挟まれていたので、顔を上げたら「テレビで見たことのある子」だった。
私の印象は「この人・・職業婦人」。
もちろん職業婦人という言葉は私の母の世代の言い方であり、私にとっては知っているけれど使わない言葉だったのに・・・。スカートの食べこぼしのシミが心に残った。
少女にしかできない恥ずかしげでまぶしい微笑は、時代を演じる「プロ」の表情であり、それを切り取る「プロ」ががっしり受けとめたということだろう。
「時代と寝た女」は、あの時代を「プロ」として演じきた。だからカムバックはない。
そんなことを思いながらパラパラと目を通したのだが、今の私には、AKB?などに興味はない。
篠山先生は「まだまだ現役なんだ」と思い、でもあの当時、被写体と共振したワクワク感はもう見えない・・とも感じた。
それは私が勝手に老いたからなのでしょう。
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山口百恵の表紙をちょっと気にしながら 電車内で読了。
紀信さんは 本当にいろんなものを撮られている人なんだと感心してしまった…ミッキーから三島由紀夫迄。。。
思っていたより控えめなお人柄な気がしました。
でも、どーんとした人間力とギラギラパッションに溢れた おじさま。
紀信さんが 何を考えて 写真を撮っていらっしゃるのか もっと知りたくなる本でした。
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日本を代表する写真家・篠山紀信のエッセー
スポーツニッポンで1ヶ月にわたって掲載されたエッセーを書籍化
過去を語るのではなく、いまを語る
過去は山口百恵や宮崎りえの少しだけ、いまはAKBなど多くある
エッセーの隣にある写真はやはりうまい
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後書きによれば、この本はスポニチ芸能面で31日間毎日連載したコラムを本にまとめたもの。
そのため、横に書かれる芸能記事に負けないようなコンテンツを意識して取り上げ、文章もお堅いのは避けたそうです。
それだけに本当に読みやすい。