紙の本
難しい…
2020/04/17 08:43
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投稿者:うれい - この投稿者のレビュー一覧を見る
終戦直後に書かれたことに大きな意味があるのかも。26頁はじめちょくちょく出てくる天皇制に関することには、なるほどな、と思わされる。「彼ら(藤原氏や将軍家)は自分自身が天下に号令するよりも、天皇に号令させ、自分がまずまっさきにその号令に服従してみせることによって号令がさらによく行きわたることを心得ていた」もう一個共感したのは48頁、電車の中で席を譲るかどうかの話。確かに、2人組のどちらかに席を譲ったあと譲った席の隣が空いても、最初に2人組に席を譲った人ではなく譲られた連れが座る、なるほどなぁ
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〈人間は生き、人間は堕ちる。そのこと以外の中に人間を救う便利な近道はない〉と綴った「堕落論」により、戦後の日本人の価値観を変え、また勇気を与え、圧倒的な支持を得た坂口安吾。無頼と反逆に充ちた言葉の多くは、戦後の日本人への新しい指針を示し、一大センセーショナルを起こした。その魅力を堪能出来る「堕落論」を始め、「続堕落論」「青春論」「恋愛論」の随筆を四作品収録。
「堕落論」ほんと分かるような分からないような。思考の過程を綴っている、というのは納得。
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(2016年2月25日)
5年ぶりに再読。今回は、前回よりかなりストンと落ちてきました。
安吾のメッセージは、生きよ、カッコつけずに生きよ、今を生き抜け、負けるな。そして、つまんない社会のシステムになんか妥協するな、ということなんだな、と響きました。
一緒に収録されている「青春論」では、宮本武蔵の、何としてでも相手に勝って生き延びるという生き方にかなりのページを割いていますが、これこそ、彼の堕落論的な生き方なんでしょうね。
(2011年5月8日)
気になってたけど読んでなかった作品。
堕落論、続堕落論、青春論、恋愛論の4作。共通するのは、カッコつけずに、今の生活と向き合って全力でカッコ悪く生き抜け!というメッセージ。熱いね!
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値段も安くて時間もあったから、買って読んだ。心は青臭くていいから、若いままにいたいということなのか。
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視点の鋭さ。
共感できるものというよりも、納得できるものが多かった気がする。
戦後の日本人の価値観が逆説的に理解できていく?
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この本はもう少し若いころに読んだ方が感じるものが多そう。
宮本武蔵のことを書いている部分がおもしろい。
宮本武蔵は特に興味もないから、あまり逸話とかも知らないのだけど、
よく取り上げられる「五輪書」を
「深遠を衒って俗に堕し、ボンクラの本性を暴露しているにすぎない」と言い切るあたりがすごい。
そういう武蔵の見方もあるんだ。
戦後という価値観の転換期に、
新たな価値観から戦前、戦中への回帰をもとめる揺り戻し、そのような揺れ動いている社会的な背景の中で、自らの信念に基づいて発せられたメッセージの力強さは今でも力を持ち続けている。
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続堕落論が個人的に好きです。堕落論よりわかりやすい。編者風に言えば音楽的なのかな。堕落論は最初がかなりとっつきにくい感じがしました。
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戦後日本の歴史には、少なくとも二度にわたる「自爆」があった
自爆というのはつまり、それが輝かしい未来につながる事業であると
信じて邁進した道が、実はそのまま地獄への一本道だったという話である
おそらくは三度目の自爆も避けられまい
そうなる前に、生きることは堕ちることであるという言葉の意味を考えなおしたほうが…
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無頼派の一人である坂口安吾によるエッセイ。のらりくらりとかわすような文体で、天皇制や武士道を自由自在に斬りまくる。本書は敗戦直後の人々に衝撃を与え、当時の若者から絶大な人気を得た。それは、堕ちるところまで堕ちながらも生きることを志向する氏の文学が当事の人々に生きる希望を与えたからだろう。
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安吾節、とでもいうのか、わはは、と笑いたくなる切れ味。Twitterのような親近感は悪く言えば安っぽさかもしれないけど、面白いんだから良いじゃない。
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人間という生物の滑稽さ、欲望、そして敗北。歴史上幾度となく繰り返されてきたはずなのに、なぜこうも人間の心は変わらないままなのか。欲望に流され、自分の威信のために他人を利用し蹴落とす。それは、天皇制という一つの象徴こそが、日本人的な陰湿さや、いい加減さを露呈する巨大なシステムだということを、一つに言い表しているようでならない。自分さえよければ他人のことなどどうでもいい。現代の日本人の気質の一面が、こうして、昭和初期に書かれていたことに、驚きと落胆を覚えた。
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「堕落論」「続堕落論」「青春論」「恋愛論」の4篇のエッセイを収める。
【堕落論・続堕落論について】
著者が「堕落せよ」と言うとき、それは「自由に人間らしく生きよ、突き進め」と言うに等しい。
社会のパラダイムが一夜のうちに様変わりした終戦直後の青年には、この甘言は興奮をもって歓迎されたことだろうと想像する。
が、いかにも隔世の感ありという感じで、自由一辺倒に突き進んできた末の世代に生まれた俺には「自由!人性!淪落!」などと言われてもあまり響くものがなかった。
もっとも、戦後日本人が著者の言う意味での「自由」を全うしたかと言えばそうではない(どちらかと言えば「自由」の意味をよくよく考えもせずにワガママに振る舞ってきただけだ)し、日本人の性格からしてそれができないであろうことは著者の予想していたところだった。
【青春論について】
宮本武蔵について語った部分が面白い。武蔵の魅力は命を懸けた試合をしていた時期にあり、試合をしなくなった時点で武蔵の負けと言い、ジジイになってから訳知り顔で書いた『五輪書』をこき下ろす。痛快。
【恋愛論について】
40過ぎの作家が書く恋愛論がこんなもんかよ、ってのが正直な感想。
独身者をさげすむつもりは毛頭無いんだけど、結婚をしたこともない人間が「永遠の愛なんて無い」などと言っても説得力はゼロである。
「自分が見たことないものは存在するはずがない」という詭弁と変わるところが無い。
著者の主張には同意しかねる部分も多かったが、読み物としての面白さはピカイチだった。
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戦後、「堕落論」に勇気づけられた経験を語る瀬戸内寂聴の記事を読んで興味を持ち、初めての安吾読破。個人的には「続・堕落論」が好き。大義名分をもとに、自分の都合のいいように解釈してることって多いなぁと身につまされる思いがした。そして大義名分、義理人情には真実とは何たるやをうやむやにさせる一面もあることに気付かされた。脆弱な存在である人間。しかしそんな人間に対する厳しくも優しい目で見つめる安吾の愛を感じた。
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太宰にはまった人なら、ほとんど出会う本。
無謀な精神主義を批判し、落ち切れない人間の弱さを喝破した。
歳を取ると、かつて影響を受けた本ももはや再読することがなくなる現状は、あまりにも寂しい。
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戦後の日本人、特に困っている日本人に送られた本。
人が判断(それに伴う責任)を嫌うということを的確に指摘し、その上で戦後の自由を苦しみ堕落しながら生き抜けと力強く語りかける。
また、リズムの良い文体が読んでいて心地良い。