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深川に住む青菜売りの棒手振の少女・朋乃の物語。
橋の上で拾った財布が騒動の許。そこには何と50両もの大金が入っていた。しかも共に入っていた書き付けは、朋乃の生家である鼈甲屋のものだった。
自身番小屋で語られる少女の生い立ちと、落とした財布を知らないと言い張る鼈甲屋当主長男との間に繰り広げられるやり取り。
自分たちを追い出した姑の心持ちと、生家の有り様と、下っ引きたちの駆け引き。
潔しという言葉が魅力的に語られる山本作品だが、筋を通しつつも清濁併せ持つ事を主人公が会得していく成長物語である。
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舞台は江戸・日本橋。
青菜の担ぎ売りの朋乃は、海辺橋で大店・堀塚屋の財布を拾う。
五十両の大金が入った財布。
とある事情もあって届け出るも、そこでひと波乱あり・・・。
山本さんに、まっとうに生きる人を書かせたら天下一品だな~。
今回はオチもよく、ラストまで気持ちよく読む事が出来ました。
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目力のある表紙に惹かれて読んだ一力作品。
どんな状況に陥っても自分を失わない暮らしの真っ当ぶりこそが大事だということがこの作品でも中心に据えられていた。
私もおいしいお茶が入れられるといいのだが……。
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早朝の江戸の町を、天秤棒に野菜を吊るして売り歩く少女が
50両もの大金が入った財布を拾った事から、とんでもない一日が始まる。
「氏より育ち」とは、この事なのでしよう。
健気に生きる彼女の身は、望まぬ方向に展開していく。
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ちょいとミステリアスな時代物でござる。
時は寛政元年、幕府は債権を消滅させお侍を救済する為に棄損令なるものを発布した。
江戸の町の不景気は一向に収まらない・・・こうして17年が経った文化三年(1806年)。
事の発端は青物売り・朋乃が深川の海辺橋で飼い犬ごんによって
見つけられた財布を拾い、自身番小屋に届けたことから始まる。
財布の中には封紙に包まれていた五十両と日本橋室町堀塚屋と記した書付が入っていた。
皮肉なめぐり合わせで、老舗の鼈甲問屋堀塚屋はなんと朋乃の生家だった。
当時、十両の金を盗めば斬首刑と云われていた時代である。
朋乃の話を訊き訝る銀蔵と五作は言い争う。
咎人扱いされてる朋乃を白黒はっきりさせるべく御用船で堀塚屋へ出向く三人。
しかし奇妙なことに、堀塚屋の頭取番頭、惣領息子らは落とした金はうちのものではない
と頑なに言い張るのであった・・・・。
十手にものを言わせるようなやり口の銀蔵、我が儘で了見の狭い跡取り息子、
その態度を諫める思量深い頭取番頭、朋乃の母に心ない仕打ちを為した姑、
必死にのれんを守る八代目当主・・・など
人間の奥底に潜む善と悪という部分は、ある一面では断じ切れない
そうした心の機微が登場人物を介して描かれている。
権威、権力を振りかざす者たちに対し、朋乃の言葉でこう言わしめる場面がある。
「どうしてひとは、我が者顔で振る舞いたがるのか。なぜ、ひとより一歩先に行きたがるのか。」と、俺が俺がという傲慢な者どもを蹴散らし、どこまでも弱い者に寄り添おうとする作者の温かな眼差しを感じる。
ラストで、朋乃が下した江戸っ子らしい粋な計らいに拍手喝采を送りたくなるスカッとした爽快感!これにて一件落着( ^^) _旦~~
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くどい~娘ながらに青物の棒手振に精を出す朋乃は愛犬ごんと仕入れに向かう早朝,海辺橋で縞柄の財布を拾い,高橋の自身番小屋に届けた。年配の下っ引き・五作が中を改めると本両替の三井の封が施された25両の包みが二つと書き付けがあり,書き付けに記された日本橋室町の鼈甲問屋・堀塚屋を朋乃は知っていると云い,生家であるが50両の手切れ金で跡継ぎを産まない母と共に4歳の時に離縁されたと話し始める。五作は竿の先に黄色い木綿を掲げて仲間を呼び,青物市場の元締め泰蔵にも連絡をした。同僚の鉄蔵は信じられないと日本橋まで出掛けて確かめるべきだと主張し,御用舟を用意する。25歳と若い次期頭取番頭・俊介は8畳間で頭取番頭の九右衛門と当主長男・正悟に対面させる。財布と書き付けを示しても,正悟の知らない・身に覚えがないとの一点張りの対応に,頭取番頭は自分の執務室に呼んで問い質すが態度は変わらず,二番番頭の俊介を呼んで財布を見せると,自分よりも一つ年上の手代・拓二郎のものに違いないと答える。拓二郎も店に内緒で正悟と鼈甲を横流しして得た50両について口を割らず,売った業を煮やした下っ引き二人が十手をちらつかせた時,拾った私が貰うと宣言し,不景気のために川開きのための仕掛け花火を取りやめた堀塚屋の名で50両分20発の打ち上げ花火を注文した~愛する子犬ゴンは人の子よりも賢い。半日の間に飲んだ茶の量は相当のもの。おしっこが凄い回数になるはずだ。3年半余りの連載で,月刊誌を読む人には復習の為の書き方が必要だろうが,単行本にするために加筆修正したと書いてあるが,大幅な削除が本当は必要だった筈。かなり文量は減るだろうから,勿体ない気持ちは分かるけど,諄すぎてダメ。キャラクターがはっきりしているのは主人公の朋乃と犬のごんだけで,それ以外の人物は話が進んで性格の描き方が変わってしまう。そりゃあ,人間,いろんな面を持ってはいるけど
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メインはシンプルな爽やかさの山本パターンと違い、この作品は財布を拾って届けた少女の半日に限定し、舞台劇めいている。立場は違っても人間の格の違いを描いているが、人物の設定は丁寧でも絡みが少ない。ストーリーに面白みがなく、ラストも期待外れ。もしかして、これは紹介編で今後の作品に活躍するのかな~
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青物の棒手振りをしている朋乃と飼い犬のごん。
ある朝、50両もの大金が入った財布を拾ってしまったことから、朋乃の長い一日が始まる…。
この時代、日銭稼ぎをしているものにとって、財布を届けることがどれだけ大変なことかを知ってちょっとびっくりした。でも、いまでもそういうところはあるか…。
下っぴきのもとで聴取されているうちに、朋乃と母の静江が昔味わった辛い過去もだんだんと明かされていく。
いいお母さんだな。すごく辛かっただろうに、そんな顔一つ見せずに、ここまで立派な娘に育てあげた。
そこには、棒手振りの師匠である源次郎さんや元締め?の泰造親分たちからの影響もたくさんあるんだろう。
もうちょっとこのあたりも読みたかったかな。
朋乃が最後に言った
「引っ込んでろ、ばか息子」
で、胸がスーッとした(笑)
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くどく感じる山本一力
莫迦(若)旦那が手代と企んだ遊び金づくり
肝心のお金を落として拾ったのが、昔追い出した
最初の内儀の娘朋乃(今は棒手振り)
50両のお金をめぐりざわめく周囲に、朋乃は
爽快な解決策を・・・
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内容紹介
江戸情緒満点!
大人気作家が放つ、ファン待望の力作!
濃やかな人情あふれる傑作時代長編。
舞台は文化3年の江戸・日本橋。
担ぎ売りの朋乃は、海辺橋で50両もの大金が入った財布を拾う。
中には老舗問屋・堀塚屋の書付が。
この財布をめぐり、朋乃は大きな揉め事に巻き込まれていく--。
平成30年1月29日~31日
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色々と、中途半端な部分を感じる1冊でした。
主人公は、生い立ちに色々あって、青菜の棒手振を生業にする女性、朋乃。
青菜市場の元締めの、泰蔵に目を掛けてもらう程の目利きだが、そうなるまでの修業時代や、実際に仕入れたり売ったりするシーンは無く。
お茶を飲むシーンが沢山出てきて、読んでいてトイレに行きたくなった。。